~カネミ油症事件の発信力はなぜ?~
映画「母と子の絆~カネミ油症の真実」を上映してから
まもなく2年が経過する。全国公開前に、摂南大学の学生
(薬学部250人)に視聴してもらい、アンケートを収集
したところ、およそ95%の学生が「カネミ油症事件は
知らなかった」「こんな悲惨な事件を知って、これからの
仕事をしっかりしなくては、と思った」と書いてあった。
学生の80%は女子で、卒業後、看護師、薬剤師、ドラック
ストアに勤めるのだと聞かされた。次に群馬大学医学部の
学生にも、見てもらったところ、同様の反応が見られた。
なぜ、こんなに「カネミ油症」は知られていないのか?
比較するのはどうかと思うが、水俣病は全国に知られており、
いまも各地で「水俣展」(写真などを展示)が絶え間なく
開かれているのに。
今回映画「幻のかくめい」に「サークル村」(1960年1月号)
が登場し、「奇病」というルポルタージュが掲載されている
のを見つけた。作者は石牟礼道子さん。「奇病」とは水俣湾の
魚を食べて、精神障害、身体障害の症状を現した人々の記録
であり、後に「苦海浄土」(1969年、講談社刊)にまとめられた。
この1冊のノンフィクション作品が社会に与えた影響は甚大で
あった。また写真家桑原史成氏ら、数多くの写真家が長く撮り
続けた写真が持つインパクトが大きかったのである。
さらに作家や文筆家、メディア記者などが熊本県水俣に駈け
つけ、報道を多角的に繰り返した成果なのだと感じている。
事件から半世紀が経過した今、水俣病報道との格差を嘆いて
いても始まらない。
今できること、これからできることを見つけなくてはいけない。
そこには人々、国民、中高校生と置き換えてもいいのだが、
皆さんに”刺さる”物語(ストーリー)を構成し、適確に伝える
方法を見つけ出すことが、必須と考えている。
もちろん”物語”は、”作り物”ではない、真実、事実の裏づけが
なくてはいけない。今後一人でも多くの”未認定被害者”
(カネミ油症被害者と認められていない)を掘り起こすこと
に”注力”することが、その一歩となるに違いない。
身近にカネミ油症の被害に苦しんでいる方がおられましたら、
ぜひお知らせください。
カネミ油症被害者救済プロジェクト 稲塚秀孝