~編集前半戦から後半戦へ~
7月7日から博多市内で始めている「カネミ油症」映画の
編集は前半戦を終え、およそ4時間の“固まり”となっている。
今日7月18日から21日は、一年前から決まっている
第6回「ナガサキ映画と朗読プロジェクト」(7月21日・22日
長崎原爆資料館ホール)に取り組む。昨日の長崎新聞には、
例年通り寄稿させていただいた。
「被爆体験の継承」を主要テーマに掲げ、故 山口彊さん(二重被爆者)
の「人間の世界に核はいらない」がキャッチでもある。
一旦頭と身体は、映画と朗読プロジェクトに切り替えるが、常に
「カネミ油症」編集後半戦に向けて、映画の構成を考え続ける
予定だ。
ようやく九州も「梅雨明け」となる中、五島列島の実景映像(ドローン)を
地元の皆さんにお願いし、力を借りる手はずが整った。
来週前半には、過去の映像とともに、映画のディテールを詰めて行く作業に
取り組む。
基本は、「なぜ、いまカネミ油症なのか?」
既にカネミ油症事件から56年が経過した今、問い直す日本最大の食中毒事件の
実相に迫りたい。
映画監督 稲塚秀孝
投稿者: inatsuka
「カネミ油症」編集通信⑦
~日ごとの営み~
編集も半ばに差し掛かろうとしているが、項目ブロックの整理に
手間取り、先が見えない状況が続いている。
昨日の「博多山笠」は雨の中で繰り広げられ、湿気の高い日々が
続いている。
宿舎として博多駅前のカプセルホテルは、WI―FIの精度が高く、
ワーキングスペースがあるので、眠くなったら眠り、起きたら
大浴場とサウナで汗を流し、バスで30分ほどの編集所に向かう。
編集所そばに北九州のコインランドリーチェーンがあるので、
そこは便利。
「カネミ油症事件」は実に複雑で、人々の葛藤がすさまじい。
そして半世紀前の迸るような運動の“熱量”は今は全く残っていない。
感じられない。
今、この映画が世に出ることの意味を連日追い求めている。
映画監督 稲塚秀孝
「カネミ油症」編集通信⑥
~編集の“相棒”は最初の観客~
7月7日から始まった博多での編集も、五島取材をはさんで
第6日目の朝を迎えた。
今日からいよいよ「ペタペタ」が始まる。
「ペタペタ」とは、編集の項目を書いた紙を白板などの並べ、
編集の流れを作って行くプロセスで、これから際限もなく、
貼ったり、外したり、入れ替えしたりしながら、構成を
形作って行くことになる。



そしてすでに編集担当者とは、編集を進めるうえでの”用語“や”進行“に
ついて、すり合わせが済み、彼には「最初の観客」として、感想や意見を
聞きながら進めて行くことになる。
「母と子の絆・・」というタイトル(一年前に決めているのだが・・)
の意味は、カネミ油症被害者で、母親でもある5人の女性たちの生活と
証言から感じ取ってもらっている。
今日から17日までの4日間で、ほぼ3時間まで絞って行きたい。
映画監督 稲塚秀孝
「カネミ油症」編集通信⑤
~臨機応変の日々~
昨日朝、フェリー「太古」で五島市福江に到着。
あいにくの雨。しかも断続的に降り注ぐ。
カネミ油症被害者玉之浦分会、会長代理の山下さんに
お話を聞く。山下さんは先日、九州大学油症対策会議内で
「へその緒検査」を!と質問された。
山下さんの考えをじっくり聞いたのち、玉之浦支所で行われた
カネミ油症被害者の一斉検診会場へ。
今回は40名ほどの方々が」受診。いわゆる認定、未認定の
方々が混在している。長崎県庁生活衛生課の担当者に話を聞く。
井持浦教会や玉之浦の港の実景を撮影後、五島中央病院に向かい、
入院加療中の岩村定子さんへ、お手紙を届ける。面会可能なのは、
ご主人とお二人のお子さんのみ。
奈留島のドローン撮影について、技術会社と相談。これから天候具合を
見ての撮影。初対面だが、そこは率直に相談することができました。
映像が月内に無事届くことを期待したいと思う。
15時台のフェリーで奈留へ。雨はさらにひどい状態となる。
今回の実景撮影は諦めざるを得ない。編集の日程は決まっているので、
見極めをする、臨機応変の判断、決断が欠かせない。
先日撮影に協力いただいた、地元の写真店の方に、相談のメールを送る。
今朝、雨は上がり、曇り空。予報では昼頃から雨らしい。
予定を早めて、昼のフェリーで長崎経由、高速バスで博多に向かう。
明日からの編集再開に備えたいと思います。
映画監督 稲塚秀孝
「カネミ油症」編集通信④
~発見が何より~
2年前から何度も通ってきた五島市奈留の岩村定子さんは、今闘病を
重ねている。編集の画面で、一昨日からインタビューを見直すと、
頬がこけ、顔色もよくない。ここ10カ月で10㌔もやせたという。
元気を取り戻して欲しい。
今日は15時に編集室を出て、JRで篠栗(ささぐり)駅に下車。
田中あつ子さんにお会いし、インタビューを行う。
かつて明治炭鉱の炭住跡に住んでおられる。ご主人を亡くし、子供たちは
独立して、一人住まい。お部屋はきれいに整頓されている。
中学生の時、カネミ油を口にし、入退院を繰り返したと聞く。
5人兄弟の4番目で、一人だけ女性だったので、毎日のように炊事をしたのだと
いう。父は炭鉱、7人家族の食事は大皿に盛り、皆食べ盛りだから油を使う料理が
中心という。
体中から、しぼりだすように「脂分」が出てくる。悪臭もひどい、おそらく
学校でいじめられたのだろうが、男勝りの迫力で、問題にしなかったらしい。
お子さん、お孫さん、曾孫さんを含めると20人、という。
「すべての子どもを守りたい」
それが母親の切なる思いだ、と私も思う。
そして博多に戻り、23時45分発、五島行きのフェリー「太古丸」に乗船した。
ほぼ3週間前も乗ったが、WI-FIが航海中もほぼ通じるのがありがたい。
福江着は明日朝、8時15分。
今日の編集で、いくつかの”発見“があった。
編集担当の伊野さんの前で、思わず手を叩き、びっくりさせてしまった。
こうした”発見”の積み重ねが、「編集の楽しみ」でもある。
「カネミ油症」映画の航海(公開)は、思いがけない展開を辿るかもしれない。
映画監督 稲塚秀孝
「カネミ油症」編集通信③
~編集は生き物・日々変化する~
7月7日から博多に編集拠点をおきました。
博多駅からバスで30分、三宅本町下車で徒歩3分。
映像製作会社の一角で、始まりました。
今日は4日目。
約3年間の撮影素材を見直し、まずブロック編集から。
毎日9時から19時をめどに行います。
合間に奈留島のドローン映像や過去の映像の検索・交渉、
追加取材の段取り、ナレーターの手配など、やることは山積して
います。時間に追われて、見落としがないか?気にかかります。
今晩遅く「太古丸」というフェリーで五島列島に向かいます。
明日五島市玉之浦、明後日は五島市奈留で「カネミ油症被害者」の
一斉検診(年1回)が行われますので、取材とインタビュー。
天候は今一つですが、実景も撮影したいと思います。
船中と奈留の「宮の森キャンプ場」のバンガローの2泊となります。
12日から編集再開です。
映画監督 稲塚秀孝
「カネミ油症」編集通信②(7月8日)
朝日新聞 福岡本部 御中
お世話になっております。
映画「母と子の絆~カネミ油症の真実」の編集に昨日7月7日から博多市内で始めました。今回編集拠点を博多に置いたのは、追加取材を適宜行うためでもあります。7月10日~12日は、福岡市内、五島市玉之浦、奈留の一斉健診などの取材を行い、8月10日頃までに、完成させたいと考えています。関係者向け試写会は、9月半ば、全国公開は10月12日から順次行う予定ですので、改めてご案内申し上げます。
一方「へその緒プロジェクト」については、岩村定子さんの3人のお子さん(故 長男満広さん、次男、長女さん)のへその緒を関西・四国の検査会社2社(共同で取り組み)に託しました。検査結果(9月初めと想定)が出次第、また途中経過を随時お伝えしてまいります。引き続きよろしくお願いいたします。
タキオンジャパン 稲塚秀孝090-3433-6644 inazuka@takionjapan.onamae.jp
「カネミ油症」編集通信①
今日(7月7日)から「母と子の絆~カネミ油症の真実」の編集が始まります。しかし、まだ撮影取材を続けたいと思っています。そこで今回は編集拠点を福岡県博多におくことにしました。博多にある映像技術会社の一角で行います。
ドキュメンタリー映画の編集は、あらかじめ立てた構成案を基にしながら、映像を確認しながら、どんどん変化を重ねて行くものです。ですから編集が始まる直前では、ワクワク感がいっぱいです。最終的な映画の完成見込みは8月10日頃。どんな展開となるのか?大きな楽しみでもあります。
とことん悩みながら、どのように映画ができるのか?皆さんにお伝えしてゆきたいと思います。ほぼ毎日、編集通信を発信、更新して参ります。どうぞよろしくお願いいたします。
映画監督 稲塚秀孝
「カネミ油症」編集通信①
今日(7月7日)から「母と子の絆~カネミ油症の真実」の編集が始まります。しかし、まだ撮影取材を続けたいと思っています。そこで今回は編集拠点を福岡県博多におくことにしました。博多にある映像技術会社の一角で行います。
ドキュメンタリー映画の編集は、あらかじめ立てた構成案を基にしながら、映像を確認しながら、どんどん変化を重ねて行くものです。ですから編集が始まる直前では、ワクワク感がいっぱいです。最終的な映画の完成見込みは8月10日頃。どんな展開となるのか?大きな楽しみでもあります。
とことん悩みながら、どのように映画ができるのか?皆さんにお伝えしてゆきたいと思います。ほぼ毎日、編集通信を発信、更新して参ります。どうぞよろしくお願いいたします。
映画監督 稲塚秀孝
「へその緒プロジェクト」通信(51)
~へその緒検査に着手、新たなステージへ~

6月20日、長崎県五島市奈留に住む岩村定子さんから、3名のお子さんのへその緒を預かりました。 既に通信において、6月22日の三者協議(福岡県合同庁舎)後の、ぶら下がり会見で厚生労働省健康・生活衛生局の原澤課長補佐にへその緒を示したことは、既報通りです。そして6月25日に京都にある検査会社の幹部の方と面談し、へその緒を託しました。その後、岩村さんにもお伝えしたところです。検査が速やかに行われるかは否かについては、7月1週まで待つこととなりました。
九州大学油症治療班は、へその緒を検査し。母体から胎児に毒性性が示唆したことは、2009年5月発行の「福岡医学雑誌」における2つの報告で明らかになっています。一つは長山淳哉准教授、検査技師の梶山淳睦氏(福岡県保健環境研究所)が関わったもの、もう一つは摂南大学 宮田秀明教授(現在名誉教授)のグループの報告です。さらに2013年頃には、故 月森清巳医師(福岡こども病院)らの研究報告で、母体から胎盤を経て胎児へ、かなり高い濃度で毒性物質移行の実態が明白になっています。
ここでいくつかの疑問が湧出いたします。
1. カネミ油症事件が明らかになり、「黒い赤ちゃん」が次々と生まれてきたことから、へその緒により、毒性物質の移行が推定されたにも関わらず、40年近く研究がなされなかったことは何故か?
2. 母体から胎児へ高濃度の毒性物質移行が明らかになって(2010年代)から、なお10年以上「へその緒」研究と検査が行われなかった理由は何か?
そして、カネミ油症研究と治療対策の責任者、班長が、皮膚科教授が代々担当しているのは何故か?(今年4月から、中原剛士皮膚科学教授が班長に就任)
今からでも遅くないので、へその緒については産婦人科他の分野の医師が前面に出るべきと思うのですが・・・。
まもなくこの映画は編集に入りますが、“一つ一つの疑問”を明らかにしていきたいと考えています。
映画監督 稲塚秀孝