~国(厚労省)と対峙する方法~
50年前に生まれたカネミ油症被害者のお子さんの「へその緒検査結果」が出て、先週2回に渡っておよそ30人の新聞・放送記者に伝えました。最初に報じたのは、カネミ油症被害者が多い、長崎新聞でしたが、今週から次々と報道されることを期待しています。
今週中には、厚生省記者会加盟の記者の方々に送り届けます。その為には、報告書という“原資料”の解読、読み解きした“手引き書”を作らなくてはなりません。 今回の「へその緒検査」で何が分かったのか?今後の国の施策を改善、反映しなくてはならないことは何か?いわば国に無策、意図的なサボタージュを正す、糺す中身が問われるのです。
今朝、見逃し配信のティーバで、昨晩放送の「海に眠るダイヤモンド」を観ました。長崎市の沖に浮かぶ“端島”(1958)が舞台のドラマです。第4話では長崎の被爆が取り上げられました。今こそ伝えないといけない、被爆の実相と信仰の意味を鮮やかに描く傑作です。忘れてはいけない、伝えないといけない、何度でも・・・ それはカネミ油症事件にも共通する“テーゼ”だと思います。
映画監督 稲塚秀孝
投稿者: inatsuka
「カネミ油症」上映通信㉛
~じわじわと迫ってゆく~
今週月曜日(11日)に「へその緒検査報告」(HPトップ記載)を全国でカネミ油症取材で知り合った新聞・放送メディアの記者の皆さん30名に送りました。2日後(13日)には、「へその緒検査報告」(宮田秀明摂南大学名誉教授)を同じく送りました。既に長崎新聞で記事化され、報告内容についての問い合わせが届いています。
その中で注目は、岩村定子さんの長男、満広さん(1973年生、生後4か月で死亡)のへその緒のダイオキシン類のデータについてです。岩村さんが2013年に九州大学油症治療研究班の古江増隆班長(当時)にへその緒検査を依頼し、2年後に担当した技師、梶原淳睦さんから検査結果がFAXで届いています。その内容は、重篤な症状があったにもかかわらず、カネミ油症の影響ではなく、農薬の成分(PCP)の数値が高いというものでした。岩村さんはこの内容に納得しておらず、2021年からしばしば岩村さんを訪ねた際に、カメラに向かいお話しくださったのです。
今回わずかに残された満広さんのへその緒を改めて検査したところ、2013年に託したへその緒検査の過程で、農薬の成分が混入(コンタミネーション)した可能性が高いという宮田先生の見解が得られたのです。この事実はとても重要だと思います。改めて皆様に詳しくお伝えしたいと思います。
映画監督 稲塚秀孝
「へその緒プロジェクト」新聞報道
現在進行形のカネミ油症
50年前死去の子 へその緒に希望託し(京都新聞11/8)
(転載許諾得てます)
「へその緒プロジェクト」新聞報道(11/13)
カネミ油症 被害者の苦悩描く (長崎新聞)
(転載許諾得てます)
「へその緒プロジェクト」新聞報道(11/12)
毒性等量濃度最大13倍 次世代3人分へその緒を調査 (長崎新聞)
(転載許諾得てます)
「母と子の絆~カネミ油症の真実」製作委員会 へその緒プロジェクトより
今回、岩村定子さんの3人のお子さんの「へその緒検査」報告書をもとに、宮田秀明摂南大学名誉教授に分析していただいた報告書を添付いたします。
以上の報告結果から、岩村定子さんの3人のお子さんには、母体からへその緒(臍帯)を通して、胎児(出生児)にダイオキシン類の毒性物質(カネミ倉庫製「カネミライスオイル」が原因)が移行して、カネミ油症の症状が見られることが明白となりました。つまり「へその緒」検査こそが、カネミ油症被害者であることを認めることになるのです。
「へその緒プロジェクト」は訴えます。
① 国(厚生労働省)と九州大学油症治療班は、早急にカネミ油症被害者の「へその緒」検査体制を立ち上げ、検査を推進すること。
② そして、未認定を含む、すべてのカネミ油症被害者の救済に取り組むことを強く要望します。
なお「へその緒プロジェクト」では今後もカネミ油症被害者の「へその緒検査」を続けます。新たに山口県下関市に住むカネミ油症被害者の2人のお子さんの「へその緒検査」に着手いたします。そして、2025年1月24日(予定)、「へその緒プロジェクト」記者会見(第2回・福岡にて)を行うことをお伝えいたします。
2024年11月11日
映画「母と子の絆~カネミ油症の真実」製作委員会 へその緒プロジェクト
藤原寿和・稲塚秀孝
【問合せ・連絡先】稲塚秀孝090-3433-6644 iazuka@takionjapan.onamae.jp
「カネミ油症」上映通信㉚
~「へその緒プロジェクト」からの報告~
本日11月11日午前11時をメドに、各メディア(主に新聞関連)に向け、「へその緒検査」報告を配信いたしました。長崎県五島市奈留に住む岩村定子さんの3人のお子さんのへその緒におけるダイオキシン数値などです。報告書はこのHPでも公開いたしますが、確実に母体から胎盤を通じて、カネミ油症の原因物質であるPCDF(ポリ塩化ジベンゾフラン)の高い数値が認められています。国(厚生労働省)は、早急に「へその緒検査」を主体的に実施するとともに、すべてのカネミ油症被害者の救済に全力で取り組んでいただきたいと思います。
56年前に発生した食中毒被害をこのままにしてはいけません。今日は、東京・大阪・神戸・京都・長崎・福岡でカネミ油症被害者を取材してこられた記者(約20名)の方々にお伝えしました。中には全国的な通信社の記者の方も含まれています。この報告を基に、より広く全国の皆さんに伝わることを願っています。
映画監督 稲塚秀孝
映画が追及する「カネミ油症事件」の真実と謎
K・サトル様から転載の了解を得ましたので、ブログ「アリの一言」の投稿を以下に転載致します。
映画が追及する「カネミ油症事件」の真実と謎
2024年11月09日 | 事件と政治・社会・メディア



「カネミ油症事件」。言葉は聞いたことがあってもその内容、経過を知る人は多くないでしょう。ましてそれが過去のことではなく、今なお多くの謎を含んでいることはあまり知られていない、知らされていないのではないでしょうか。
そんな日本社会(マスメディア)に一石を投じたのがドキュメンタリー映画「母と子の絆~カネミ油症の真実」(監督・プロデュース=稲塚秀孝氏)です。京都市内では8日に公開されました。
「カネミ油症事件」とは何か。
「森永ヒ素ミルク事件(1955年)、熊本水俣病事件(公式確認1956年)とともに、日本の三大食中毒事件の一つ。初めて公にされたのは、1968年10月10日付朝日新聞夕刊で、「正体不明の奇病が続出」と報道された。
原因は、鐘淵化学工業(鐘化、現在のカネカ)が製造したPCB(ポリ塩化ビフェニル)が、カネミ倉庫(北九州市)製造の米ぬか油(写真中)に混入し、それを摂取したこと。福岡、長崎、山口、広島など西日本一帯で皮膚疾患、内臓疾患、免疫疾患、神経疾患など様々な症状を訴える被害者が続出。その数は約1万4000人。被害者は今も苦しみが続いている」(映画パンフレットより)
この事件が現在進行形だというのは、第1に患者認定が遅々として進んでいない(国がすすめていない)ことです。厚労省が発表した最新の認定患者は2377人(2024年3月31日現在)。発症者(約1万4000人)の2割弱にすぎません。申請していない潜在的被害者数はいまだに不明です。
第2に、カネミ油の毒(PCBに含まれるダイオキシン類)は母体から胎盤を通して生まれる子どもに移り、子どもは短命であったり病気がちであるにもかかわらず、患者認定されていないことです。
そして、事件は発生当時から不条理と謎に包まれています。
①食中毒事件であるにもかかわらず、食品衛生法に基づく保健所への届け出がなされなかった(食品衛生法に基づいて処理されていれば認定は不要)。
②最初の報道から4日後に、九州大学医学部の教授らによって「油症研究班」が編成。以来、国(厚労省)と九大医学部が連携して患者認定を抑制してきた。
③患者認定は、検診→診断(九大油症班)→診定(診定委員会)→認定(知事)の4段階で行われる。診定委員会はメンバーも非公開というブラックボックス。不認定でも異議申し立てもできない。
④原因物質はPCBと分かっているが、それがどうして油に混入したのかはいまだに不明(「ピンホール説」か「工作ミス説」か)
映画製作に協力し出演もしている原田和明氏(北九州市立大学)は、「複雑な「認定制度」といい、汚染原因の歪曲といい、カネミ油症事件は単なる「食中毒事件」ではなさそうだ」(映画パンフレット)と指摘しています。
原田氏はパンフレットではここまでしか述べていませんが、自著『ベトナム戦争 枯葉剤の謎』(飛鳥出版2024年5月)では、三菱モンサント化成がPCBの国内製造を開始したのが事件発覚の翌年(1969年)であったことや、それまでカネミとは取引がなかった離島に突然事故油が持ち込まれたことなどをあげ、「人体実験疑惑」を指摘しています。
こうした疑惑の究明とともに、なによりも重要なのは、苦しみ続けている被害者の認定を抜本的にすすめること、あるいは症状がありながら申請をためらっている被害者を救済することです。
映画上映のあと舞台挨拶した稲塚監督(写真右)は、認定をすすめる上で“母と子の絆”である「へその緒」の検査が決定的なカギを握っていると強調しました。国や九大がやろうとしないので、監督は自ら被害者の岩村定子さんの3人の子どもの「へその緒」を預かり、自費で民間の機関に検査を依頼しました。
その結果が先月22日に報告され、母体から胎盤を通して毒性物質が移行したことが明確になりました。
稲塚監督は、「今後、国と九大油症治療班に対し、へその緒検査を推進するよう働きかけねばならない」と述べるとともに、「周りのかたがたに「カネミ油症事件」を伝えていただきたい」と訴えました。
「食品公害」をめぐる国の不条理・被害者切り捨て、企業、大学と一体となった事件の矮小化・隠ぺい、枯葉剤と通底するPCBの製造―「カネミ油症事件」は多くの問題を突き付けています。このまま闇に埋もれさせることはできません。
「カネミ油症」上映通信㉙
~濃密な出会いがある~
11月8日・9日と京都シネマで舞台挨拶を連続で行った。決して観客の数は多くなかったが(京都シネマさん、力不足ですみません)、濃密な方々に出会い、ご覧いただけたことが良かった。
テレビ番組制作においても、映画製作においても、放送と上映となれば、視聴者と観客にどのように見ていただくかであって、作り手が口をはさむことは許されない、とかつて大先輩に告げられた。
その通りだと思う。完成後に「ああすればよかった」と思ったとしても、決して口に出さないのが私たちの“矜持”ではないだろうか?
今日HPに転載させていただいた鬼原さんのブログを見て、こう見ていただけたなら、製作者として何も代えがたいほど幸せだと感じたのである。
今日も上映後、グイグイと質問攻めにあった。それぞれの皆さんが抱えている問題とかテーマはそれぞれなのだが、共通するのは、「この不条理な、理不尽な社会、ひいては日本に生きる上で、自分に何ができるのか?」そのヒントはどこにあるのか?と求めているのだ。上映活動はまだまだ続く・・・。 新たな”濃密な出会い“を求め、期待したい。
映画監督 稲塚秀孝
「カネミ油症」上映通信㉘
~ここから次のステージ突入だ!!~
先週(10月末)、待ち焦がれていた「へその緒検査」報告書が届きました。資料を含め、報告書は94ページに及ぶ膨大な内容です。「母と子の絆~カネミ油症の真実」で取材した岩村定子さん(長崎県五島市奈留)の3人のお子さんのダイオキシン類の数値が高いことも分かりましたので、週明けには全国のメディアの方々に配信したいと考えています。
そして本編(86分)のダイジェスト版(35分)を作成しましたので、群馬大学、北九州市立大学、大阪府内の高校へ送りました。
大阪 シネ・ムーヴォでご覧になった社会科の高校教師の方と上映後、市内移動の電車の中でお話して、「ぜひ高校の授業で取り上げて欲しい」とお伝えしたところ、昨日「DVDを送ってください。活用させていただきます」と連絡があったのです。今後このような動きを広げたいと思います。
また映画のDVDは2025年1月から一般販売(予価、3000円)いたします。個人視聴用ですので、上映会の申し込みはこれまで通り、製作委員会宛(090-3433-6644稲塚)にお願いいたします。代理店を通じて、同じく1月から図書館、自治体向けのDVD販売も開始します。
「カネミ油症事件は終わってはいない」
「すべてのカネミ油症被害者の救済に向けて」
今後も様々な”社会活動“を展開して参ります。
映画監督 稲塚秀孝