24日まで待ってほしい、と二度の回答延期メールが届いていましたが、昨晩厚労省から五度目の回答を受け取りました。
じっくり読みました。まともな”回答”とは言えません。こちらの質問に答えていないからです。皆さんにも”感じ取って”いただきたいので、全文掲載いたします。
諦めず、近々6回目の「要請書」を送る予定です。
映画監督 稲塚秀孝
【回答書全文】
厚生労働省 健康・生活局食品監視安全課指導係今川 正紀 指導課長 さま
片桐 達 指導係長 さま
昨年(2024 年)12 月に「母と子の絆~カネミ油症の真実」・「へその緒プロジェクト」名で「要請書」をお送りしてから、今回は 5 回目となります。過去 4 回に渡り、そのつど、ご回答をいただき、感謝申し上げます。これまでのやり取りを精査・検証の上で、5 回目の「要請書」をお送りいたします。ぜひご回答をお願いいたします。
① 「カネミ油症被害者に対する診断基準」に法的根拠はありますか?
と質問を数回繰り返しましたが、明確なお答えをいただけませんでした。そこで「カネミ油症被害者に対する診断基準」に法的根拠はない、と判断いたしました。カネミ油症事件発生は昭和 43 年(1968 年)でしたので、60 年近く法的根拠がないまま、被害者を”認定“”未認定“とカネミ油症被害者を”分断してきた責任 “は極めて重いと言わざるを得ません。
国(厚生労働省)の統括の下、診断基準を全国油症治療研究班(九州大学が中心)が策定してきた経緯を見ると、これは両者が緊密に連携してきた”歴史”であったと言えます。
改めて「カネミ油症被害者に対する診断基準」に法的根拠(法律かそれに類する)があるのか、ないのか?を、真摯にご回答願います。
第 4 回の回答で「食中毒事件においては」と、カネミ油症事件が”食中毒事件“と、初めて認識を示されており、今後未認定とされる被害者の診察内容を保健所へ提出する道(食品衛生法に基づき)が残されている証しと考えております。
「原因等の特定のために臨床症状から患者を特定する必要がある場合については、専門家の意見を聴いて診断基準が策定されます」。
また「診断基準を参考に、血中のダイオキシン濃度のほか、患者の症状等を総合的に判断した上で」と書かれていますが、そのように”患者の症状等を総合的に判断“する根拠(厚労省から の通達文書など)を具体的に明らかにしていただきたいと思います。
(厚生労働省回答)
カネミ油症の診断基準については、カネミ油症患者に関する施策の総合的な推進に関する法律に基づく「カネミ油症患者に関する施策の推進に関する基本的な指針」にあるように、「今後とも、カネミ油症に関する調査及び研究の成果、検診の結果等を踏まえ、最新の科学的知見に基づいて随時見直しを行っていく必要がある」ものと考えています。
② 「不適切な映像使用」に関する見解を求めた件について。当方の問いに対し、まともな回答をされていません。まず「不適切な映像使用」とは、映画「母と子の絆~カネミ油症の真実」の中で、「厚労省と九州大学油症治療研究班の関係」について取材し、原澤朋史課長補佐と辻 学班長(当時)の会見内容を描いた部分を指していると理解していますが、間違いありませんか?
本年 6 月 13 日「油症対策委員会」後の記者会見で、中原剛士班長は、「その通りです」と認めていました。前回の回答の中で、三者協議後における国への取材の取り扱いについて、
「協議内容について、補足的に説明する機会を設けることとしているものであり、そうした趣旨に沿った取扱いとしています」とありますが、従来の「三者協議」で は、”ぶら下がり会見“という表現が使われていることから、あくまで”公式会見“だという認識を会場に参加したメディアの方々は持っています。
その会見映像は、取材側(放送局及び当方=タキオンジャパン)が編集して、使用することに、何の問題もないと認識しております。しかしながら「不適切な映像使用」として本年 6 月 14 日の三者協議後の記者会見では、”撮影・録画の禁止“という措置が急遽なされました。
後日「厚生労働省記者クラブ」に所属する新
社の担当記者が、厚生労働省の広報担当者に尋ねたところ、「それは現場が勝手に判断して行ったことで、厚生労働省の広報は関知していない」という返事だったと
いております。本当に省内の”事前確認”のないまま、食品監視安全指導係の”独自の判断“を行ったのか? ぜひ真相を教えていただきたいと思います。
また映画「母と子の絆~カネミ油症の真実」の内容が、なぜ「不適切な使用」と判断されたのか?明らかにしていただきたいと思います。
(厚生労働省回答)
前回の三者協議(令和7年6月14 日開催)後における国への取材の取扱いについてですが、元々、三者協議について、一般的な報道関係者に対する対応としての冒頭撮影の他、三者の合意を得た上で、三者協議当日に会場別室にて、三者協議を、一部を除きオンラインでオープンとするなど、報道関係者の皆様へ議論の内容を情報提供させていただいております。
- それに加えて、協議内容の理解促進を図るため、三者協議後に厚労省と農水省から報道関係者の皆様に対し、協議内容について補足的に説明する機会を設けることとしているものであり、そうした趣旨に沿った取扱いとしています。
③ 「カネミ油症被害者のへその緒検査」の要望。今回の回答の中で、
「臍帯におけるダイオキシン類の測定は、技術的に可能であるが、臍帯の保存状況によっては、ダイオキシン類の測定にあたり、正確性、再現性などの問題があると全国油症治療研究班から伺っています」とありました。
「正確性、再現性に問題がある」とは、民間の中で特に信頼性の高い島津テクノリサーチ・大塚製薬のスタッフが行った検査結果を否定する内容であり、改めて厚生労働省及び全国油症治療研究班に、当プロジェクトが預かっている「へその緒」(未認定の被害者と家族の 4 体)の検査を実施していただきたいと思います。
なお 故 岩村定子さんの 3 人のお子さんのへその緒検査の結果を基に 宮田秀明(摂南大学名誉教授)さんが行った分析資料をお送りいたします。
(厚生労働省回答)
油症治療等に関する調査研究については、引き続き、当事者であるカネミ油症被害者全国連絡会からのご要望を伺いつつ、三者協議の場において議論していきたいと考えています。
なお、油症認定患者の子については、母親を介してダイオキシン類等が移行する場合もあることから、油症認定患者の子や孫といった次世代の方々の健康状態を把握するための調査を令和3年度から実施しています。
今回のご回答は、2025 年 10 月 10 日(金)をメドにお送りいただければ、と思います。
☆「母と子の絆~カネミ油症の真実」製作委員会・「へその緒プロジェクト」は、「カネミ油症被害者救済プロジェクト」と名称変更をしました。
2025 年 9 月 18 日
カネミ油症被害者救済プロジェクト代表 稲塚秀孝孝