「カネミ油症事件」現状描く
「カネミ油症」上映通信㉝
~高校生・学生の皆さんへ~
10月から神戸・元町映画館、京都シネマで上映し、いずれも終了しました。
カネミ油症事件が発生したのは、1968年(昭和43年)の事です。私は高校3年生の頃、北海道に住んでいた私は、おそらく地元・北海道新聞で読んでいたかもしれませんが、カネミ油による「食中毒事件」だという認識はありませんでした。
従って2006年夏、長崎のミニシアターでカネミ油症被害者の方に「カネミ油症を知っていますか?」と声をかけられるまで、関心を持つことはなかったことを、今は心から恥ずかしいと思っています。
これまでご覧いただいた方々は、「カネミ油症事件」を同時期に知った方々、70代以上がほとんどで、20代と思われる方はわずかでした。そこで年明け行う東京上映会、1月13日(祝)では、学生以下無料でご覧いただくことにしました。
教科書には、良くて数行しか書き込まれない「カネミ油症事件」を“今こそ”知っていただきたいと思います。「食の安心・安全」が大きく叫ばれる今、知っていただきたいと切に望みます。
映画監督 稲塚秀孝
「ひらく」11月号のシネマ評
「カネミ油症」上映通信㉜
~国(厚労省)と対峙する方法~
50年前に生まれたカネミ油症被害者のお子さんの「へその緒検査結果」が出て、先週2回に渡っておよそ30人の新聞・放送記者に伝えました。最初に報じたのは、カネミ油症被害者が多い、長崎新聞でしたが、今週から次々と報道されることを期待しています。
今週中には、厚生省記者会加盟の記者の方々に送り届けます。その為には、報告書という“原資料”の解読、読み解きした“手引き書”を作らなくてはなりません。 今回の「へその緒検査」で何が分かったのか?今後の国の施策を改善、反映しなくてはならないことは何か?いわば国に無策、意図的なサボタージュを正す、糺す中身が問われるのです。
今朝、見逃し配信のティーバで、昨晩放送の「海に眠るダイヤモンド」を観ました。長崎市の沖に浮かぶ“端島”(1958)が舞台のドラマです。第4話では長崎の被爆が取り上げられました。今こそ伝えないといけない、被爆の実相と信仰の意味を鮮やかに描く傑作です。忘れてはいけない、伝えないといけない、何度でも・・・ それはカネミ油症事件にも共通する“テーゼ”だと思います。
映画監督 稲塚秀孝
「カネミ油症」上映通信㉛
~じわじわと迫ってゆく~
今週月曜日(11日)に「へその緒検査報告」(HPトップ記載)を全国でカネミ油症取材で知り合った新聞・放送メディアの記者の皆さん30名に送りました。2日後(13日)には、「へその緒検査報告」(宮田秀明摂南大学名誉教授)を同じく送りました。既に長崎新聞で記事化され、報告内容についての問い合わせが届いています。
その中で注目は、岩村定子さんの長男、満広さん(1973年生、生後4か月で死亡)のへその緒のダイオキシン類のデータについてです。岩村さんが2013年に九州大学油症治療研究班の古江増隆班長(当時)にへその緒検査を依頼し、2年後に担当した技師、梶原淳睦さんから検査結果がFAXで届いています。その内容は、重篤な症状があったにもかかわらず、カネミ油症の影響ではなく、農薬の成分(PCP)の数値が高いというものでした。岩村さんはこの内容に納得しておらず、2021年からしばしば岩村さんを訪ねた際に、カメラに向かいお話しくださったのです。
今回わずかに残された満広さんのへその緒を改めて検査したところ、2013年に託したへその緒検査の過程で、農薬の成分が混入(コンタミネーション)した可能性が高いという宮田先生の見解が得られたのです。この事実はとても重要だと思います。改めて皆様に詳しくお伝えしたいと思います。
映画監督 稲塚秀孝
「へその緒プロジェクト」新聞報道
現在進行形のカネミ油症
50年前死去の子 へその緒に希望託し(京都新聞11/8)
(転載許諾得てます)
「へその緒プロジェクト」新聞報道(11/13)
カネミ油症 被害者の苦悩描く (長崎新聞)
(転載許諾得てます)
「へその緒プロジェクト」新聞報道(11/12)
毒性等量濃度最大13倍 次世代3人分へその緒を調査 (長崎新聞)
(転載許諾得てます)
「母と子の絆~カネミ油症の真実」製作委員会 へその緒プロジェクトより
今回、岩村定子さんの3人のお子さんの「へその緒検査」報告書をもとに、宮田秀明摂南大学名誉教授に分析していただいた報告書を添付いたします。
以上の報告結果から、岩村定子さんの3人のお子さんには、母体からへその緒(臍帯)を通して、胎児(出生児)にダイオキシン類の毒性物質(カネミ倉庫製「カネミライスオイル」が原因)が移行して、カネミ油症の症状が見られることが明白となりました。つまり「へその緒」検査こそが、カネミ油症被害者であることを認めることになるのです。
「へその緒プロジェクト」は訴えます。
① 国(厚生労働省)と九州大学油症治療班は、早急にカネミ油症被害者の「へその緒」検査体制を立ち上げ、検査を推進すること。
② そして、未認定を含む、すべてのカネミ油症被害者の救済に取り組むことを強く要望します。
なお「へその緒プロジェクト」では今後もカネミ油症被害者の「へその緒検査」を続けます。新たに山口県下関市に住むカネミ油症被害者の2人のお子さんの「へその緒検査」に着手いたします。そして、2025年1月24日(予定)、「へその緒プロジェクト」記者会見(第2回・福岡にて)を行うことをお伝えいたします。
2024年11月11日
映画「母と子の絆~カネミ油症の真実」製作委員会 へその緒プロジェクト
藤原寿和・稲塚秀孝
【問合せ・連絡先】稲塚秀孝090-3433-6644 iazuka@takionjapan.onamae.jp
「カネミ油症」上映通信㉚
~「へその緒プロジェクト」からの報告~
本日11月11日午前11時をメドに、各メディア(主に新聞関連)に向け、「へその緒検査」報告を配信いたしました。長崎県五島市奈留に住む岩村定子さんの3人のお子さんのへその緒におけるダイオキシン数値などです。報告書はこのHPでも公開いたしますが、確実に母体から胎盤を通じて、カネミ油症の原因物質であるPCDF(ポリ塩化ジベンゾフラン)の高い数値が認められています。国(厚生労働省)は、早急に「へその緒検査」を主体的に実施するとともに、すべてのカネミ油症被害者の救済に全力で取り組んでいただきたいと思います。
56年前に発生した食中毒被害をこのままにしてはいけません。今日は、東京・大阪・神戸・京都・長崎・福岡でカネミ油症被害者を取材してこられた記者(約20名)の方々にお伝えしました。中には全国的な通信社の記者の方も含まれています。この報告を基に、より広く全国の皆さんに伝わることを願っています。
映画監督 稲塚秀孝