●facebookより(2月12日)

 今晩は。今は故人になられた原田正純医師の『宝子たち 胎児性水俣病に学んだ50年』(弦書房)のご著書をぜひご紹介させてください。
 この本の中に、私のことが書かれているからご紹介したいわけではなく(チョッピリはありますが(笑))、「胎児性カネミ油症病」のことを取り組むのにたいへん参考になることと、この本の中でカネミ油症事件にも触れられて、カネミ油症被害者自主検診調査団団長として長崎県五島市に検診に行っていただいたことについても書かれていることから、ぜひともご紹介したいと思いました。

facebookより

 今晩は。カネミ油症の継世代影響を紐解くために、堤治氏(山王病院長、国際医療福祉大学大学院教授)のご著書をこの1ヶ月かけて読み終えました。①環境生殖学入門、②生殖医療のすべて、③新版生殖医療のすべて、④妊娠の新しい教科書、⑤授かる 不妊治療と子どもをもつこと

 追記・堤さんはこれらの本の中で、医師として環境ホルモン問題を徹底追求されてます!母乳のダイオキシン汚染と子宮内膜症との関連や、流産防止剤のDESの服用による子どもの膣癌や精巣癌の発生など。

山木戸啓子
 厳しい継世代影響が記されているのでしょうね。 P CB 汚染の恐怖を知らない世代がたくさんいるでしょうけれども継世代影響の現実からは目を逸らしてはならないし二度と同じ過ちを繰り返してはならないと思いますね。
藤原寿和
 化学物質による健康被害で3世代、4世代への影響が明らかになっているのは、ベトナム枯葉剤被害と台湾油症、カネミ油症だけではないかと思います。おそらくイタリアセベソのダイオキシン汚染の影響も継世代への影響が出ていると思いますので、その実態の調査が必要と思います。

facebook記事(転載)

facebook記事の転載です。(藤原寿和)

 私が20年前から取り組んでいるカネミ油症事件の全面解決は、決してPCBやダイオキシン類で汚染されたライスオイルを食べた被害者だけの問題ではなく、世界でも北側の工業先進国の中で一番と言っても間違いがないほどの日本はダイオキシンの汚染大国です!

それは1970年代から母乳を保管してきた大阪の保健所の母乳中のダイオキシン類、その中にはカネミ油症の主たる原因物質のジベンゾフランの他にコプラナーPCB濃度も極めて高いことがわかってますので、世界でも高濃度に汚染された魚類を好んで食する日本の食生活や、世界でも焼却大国と言われた日本のごみ焼却場の影響を殆どの日本人は影響を受けてますので、決して他人事ではないはずだと思います。
 その汚染被害の実態を厚労省も環境省も専門家集団も疫学調査すらも行なうことなく、影響を否定しています!

 改めて今日的なダイオキシン問題を考えてみませんか!

                                 
 facebook記事の転載です。(稲塚秀孝)

1月27日(土)今日も快晴でした。

「カネミ油症」(西日本新聞刊1976年)を19歳から10年間取り続けたカメラマン、河野祐昭さんにお話を聞きました。カネミ油症被害者を撮影した方では、出色のカメラマンです。半世紀前に九州取材中に、建築現場のアルバイトで資金を作り、撮影を続けたこと、素晴らしいです。写真の記録は今では「歴史を刻んだ」ことになるのです。

河野さんは私と同じ年。しかも闘争に明け暮れた神田駿河台にあった同じ大学に在籍していたのです。何という偶然、何という運命でしょうか?

今週は、「しんぶん赤旗日曜版」に投稿した記事と、今日は朝日新聞夕刊に大きく、記事が掲載されました。カネミ油症被害者のすべての方々が救済されることを願って、活動いたします。映画へのご支援をお願いします。
 母と子の絆〜カネミ油症の真実
クラウドファンディングのページ      



多様な症状 未認定患者でも カネミ油症 水俣協立病院の藤野医師が調査発表

 1960年代に発生したカネミ油症の主な症状である皮膚の色素沈着などが、被害が集中した長崎県五島市奈留町の未認定患者にも高い割合で現れていることが6日、水俣協立病院(水俣市)の藤野糺[ただし]医師らの調査で分かった。(01/06熊本日日新聞)

2024年1月、「へその緒プロジェクト」始動❗


 既にHPでお伝えしている「へその緒プロジェクト」が1月に始動します。
1月12日午前、カネミ油症を取材して来られたメディアの記者の方々と記者懇談会を企画しました。
「へその緒プロジェクト」から参加するのは、宮田秀明さん(摂南大学名誉教授)と藤原寿和さん
(カネミ油症被害者支援センター・初代事務局長)です。
 宮田さんは2007年から、カネミ油症被害者のへその緒におけるダイオキシン類の検査を行い、
2009年「福岡医学雑誌」に報告しています。年内に詳細をお伝えします。
                             12月26日 映画監督 稲塚秀孝

「へその緒」とは何だろうか?

 「カネミ油症事件」発生は1968年。九州大学油症治療班が、「へその緒」の検証をしたのは、
2007年以降で検証報告は2009年でした。事件発生から数年後には、原因物質がPCB(ポリ塩化
ビフェニール)と言われていたので、当然被害者が女性の場合、体内に蓄積した毒性物質が
「へその緒」を通じて、胎児の体に送られることは容易に理解でできたはずである。

 では「へその緒」とは何であろうか?「胎児は胎盤を通して母側から酸素や栄養分を受け取り、
老廃物を母体側に渡し、胎児と胎盤を繋いでいるのが臍帯、つまりへその緒である。概ね太さは
2㎝、長さは50~60㎝の管状である。」

 今こそ「へその緒」の検証・鑑定することで、ダイオキシン類は母親から子に繋がっている
証明を求めたいと考えている。そして認定、未認定に峻別される不条理を粉砕し、幅広く被害者
救済を国にさせたいと願っています。 
                               映画監督   稲塚秀孝

なぜ、”今“「へその緒」なのか?

 1968年に発生した「カネミ油症事件」は単なる食中毒事件ではありません。普段見聞きする
食中毒は、夏場のお弁当やこの夏は「流しソーメン」の機材の衛生環境から、実際に食した、口に
入れた皆さんが、下痢や嘔吐などを繰り広げるものですが、当事者の健康が回復すれば、収まる
傾向のものです。ただ「カネミ油症」では、「カネミライスオイル」を口にした母親から子や、孫
に、ダイオキシンの毒性が伝達されて、障害が起きていることに、特異性があります。

 九州大学油症治療班は、事件発生から40年経過した2007年~2009年にかけて、へその
緒を集め、検査をしました。そして2009年5月発行の「福岡医学雑誌」で2たつの報告が掲載
されています。

 一つは九州大学と福岡県保健環境研究所のチーム。もう一つは摂南大学薬学部宮田秀明教授を
中心としたチームです。その頃、ある新聞では「カネミ油症 胎児期汚染を証明」と見出しに書か
れています。しかしそれ以来15年間、「へその緒」調査は一向に進んでいないのです。

 「母と子の絆」である「へその緒」の徹底調査こそ、カネミ油症が次世代に及ぼす甚大な影響を
考察できる大きなツールであると思います。近々ご報告を続けます。
                                映画監督   稲塚秀孝

延岡訪問

延岡訪問

  昨日は延岡でカネミ油症の未認定被害者とその介護支援専門員の方の同席のもとで1時間半近く、じっくりとお話を聞くことが出来ました。

  被害者の方とは2006年小倉で開催されたカネミ油症被害者大集会電子お会いしてからですので、実に17年ぶりに再会が出来ました。当時はお元気でしたが、今では車椅子生活なのと、化学物質過敏症を併発されてますので、外出ができず、油症検診にも受けられないでおられます。油症治療研究班も厚労省も在宅訪問検診はしてくれないので、汚染油を食べて油症の被害があるにもかかわらず、認定のための検診が受けられないため、この55年間、未認定のままでおられます。

  したがって私の課題は、現在、月2回訪問検診をしてくださっている延岡市内にある「縁・在宅クリニック」の院長さんにお願いして、被害者の方に症状がカネミ油症であることのシンダンシを作成していただき、汚染油を買って食べたことの証明をすることで、宮崎県知事と交渉してくださっている認定するように要請交渉を行うことです。これからその準備を行ったうえで、次回には県知事交渉のために宮崎入りする予定です。
                                  藤原寿和

油症被害者の次世代以降の子孫を対象とした汚染実態を究明するための「保存さい帯(へその緒)」試料の有効性

摂南大学名誉教授 宮田秀明の論文です。

 受精から出生までの胎児期は、細胞が激しく分裂・増殖しており、染色体は、環境汚染物質や化学物質等による影響を受けやすい状態となっている。それ故に、胎児は、環境汚染物質に対する感受性が成人よりも10倍程度も高いと推定されている。換言すれば、胎児は、成人よりも10倍程度も環境汚染物質等の汚染影響を受けやすい。

さらに、近年、胎児期において、超微量の環境汚染物質や農薬等による遺伝子の化学修飾(エピゲノム変化)が起こり、その生体影響が系世代的に及ぶことが問題となっている。

事実、上記の事象を反映して、京都で開催されたDioxin2019国際シンポジウムでのFijinoらの研究発表1において、北九州市に在住するカネミ油症認定者の子供4人全員が異常出産で生まれ、その後、小中学校への登校拒否などの発達障害および全身倦怠や労働困難などの障害で発症している。

また、名古屋市に在住するカネミ油症認定者の第二世代の子供4人は、いずれも血小板の機能異常であるグランツマン血小板無力症を発症しており、また、その中の2人は、臼歯あるいは切歯の先天性欠損症が認められる。切歯の先天性欠損症は、第3世代の女児にも確認されている。

このように、カネミ油症の原因物質である残留性の強いダイオキシン類は、原因油を直接摂取した当事者だけでなく、当事者の次世代子孫(第2世代子孫、第3世代子孫等)にも有害性を及ぼす。

上述したように、胎児は、油症原因物質であるダイオキシン類に対して成人よりも10倍程度も感受性が高いこと、および次世代への遺伝子の化学変化による影響を受けることを考慮すると、油症原因物質による次世代胎児の汚染実態を究明することが極めて重要である。しかし、残念なことに、油症原油摂取者(被害者)の次世代子孫(第2世以降の子孫)を対象とした出生時における血液の分析は、皆無の状態である。

新生児を暴露している油症原因物質の濃度は、新生児の成長に伴う体重の増加による物理的希釈、体内の代謝機能による排泄および体内の代謝機能によらない排泄等によって、新生児の成長とともに低下する。

このようなことを考慮すると、「保存さい帯(へその緒)」は、新生児の出生時における汚染実態を把握するための最適な試料と考えられる。即ち、「保存さい帯」は、母体と胎児を結ぶさい帯の一部を出産後に切り取られ、家庭で保存されたものである。従って、さい帯の原因油物質濃度は、出産時点での母親から新生児の体内に移行する原因物質濃度を反映しているものと推察される。事実、この推察は、福岡県保健環境研究所の梶原らの研究2によって実証されている。即ち、油症原因物質の中でも最も毒性と在留性が強い2,3,4,7,8-五塩化ジベンゾフラン(2,3,4,7,8-PeCDF)が油症患者のさい帯に高濃度で残留しており、その濃度は健常者(非汚染者)の約40倍にも達する。

油症原因物質に対する胎児の高い感受性やエピゲノム変化による影響を考慮すると、油症原因油摂取者の次世代子孫の汚実態の究明が極めて重要であり、「保存さい帯」は、その汚染実態究明における最適な指標試料であると強調される。

引用資料

1 Tadashi Fujino, Reiko Takeda, Yasuichi Miyakawa: SYMPTOMS IN CHILDREN OF THE SECOND AND THIRD GENERATIONS OF KANEMI YUSHO PATIENTS、Dioxin2019 Short paper(Kyoto、2019)、474-477

2 梶原淳陸、戸高 尊、平川博仙、堀 就英、安武大輔、中川礼子、飯田隆雄、長山淳也、吉村健清、古江憎隆:油症患者の保存さい帯(へその緒)中のダイオキシン類濃度、福岡医誌、100、179–182、 2009