「カネミ油症」上映通信⑰

 ~メディアと研究者の怠慢と錯誤~
 昨晩10月10日夜、福岡県北九州市黒崎駅前で「母と子の絆~カネミ油症の真実」2回目の勉強会が行われました。上映後、オンラインで来場者とお話ができました。
 今回は北海道苫小牧市から参加。勉強会には、長年カネミ油症を研究し、その学識を披歴している研究者と地元新聞社の記者も参加していました。まず記者は映画の中で、何人の被害者に取材し、認定、未認定の方の比率などを聞き出そうとしますが、一言でいえば“ナンセンス”な問いかけに終始しました。
 この映画では「カネミ油症被害者」とのみ表示し、国(厚生労働省)や九州大学が認定・未認定と被害者を分断し、大勢の被害者を放置してきた“事実”を弾劾しましたから、国や九州大学の無作為な策動に与するような”仕分け“には断固反対です。映画を観てもなお、そのことが分からないのかと感じ、残念を越えて失望しかありません。

 一昨日、NHK福岡のスタッフから「メディアに所属する私たちは何を伝えたらいいのでしょうか?」というストレートな問いかけがありました。
「まず、自分の取材姿勢をきちんと見つめ、そのうえで、今伝えるべきことは何かを考えてほしい。そして一人の人間として、何ができるのか、行動に移してはいかがでしょうか?」と話しました。NHK内で番組企画を通すのは、至難の業ですが、彼女はラジオ番組で伝えたいと、その後のメールで知らせてきたした。私は“大賛成です”と答えておきました。

 一方、半世紀近くカネミ油症研究をされてきた地元の研究者は、かなり錆びついたお考えと思いました。カネミ油症被害者の支援団体の申し入れがキッカケで九大の次世代の調査が進んでいると、平気で“楽観的な”考えを述べていました。今年6月の九大油症治療研究班では、歯の欠陥(永久歯の欠損等)について、あたかも研究の成果のように報告していましたが、それは今更な内容でした。九州大学油症治療研究班は、毎年数億円の研究調査費を厚労省から受け取り、半世紀に渡って“飼いならされたペット”に等しいと思います。

 いよいよ明日から劇場公開が始まります。私は本日北海道から神戸へ移動いたします。神戸・元町映画館の来場者の皆さんには、映画をご覧になった後、“勇気と力”を発揮してくださるよう、“鼓舞”したいと考えています。
      映画監督     稲塚秀孝

「カネミ油症」上映通信⑯

 ~カネミ油症事件報道から56年~
 今日は2024年10月10日です。今から56年前の今日、朝日新聞西部本社の片隅に「奇病発生?」の見出しがありました。それは初めて報道された「カネミ油症事件」でした。

 それから56年。その日に間に合うように、8月中旬に「母と子の絆~カネミ油症の真実」を完成させ、明後日の12日から全国劇場公開が始まります。まず元町映画館(神戸)です。そして朝10時30分からの上映後に、20分ほどいただいて、舞台挨拶に立ちます。映画を通じて伝えたいこと、そして今も”現在進行形“であることなどをお話ししたいと思います。

 劇場公開と上映会活動が続きますが、2025年1月1日から、「母と子に絆~カネミ油症の真実」DVD販売を行います。予約はこのHP宛にお願いいたします。
あて先は、「母と子の絆~カネミ油症の真実」製作委員会
連絡先は、inazuka@takionjapan.onamae.jp
・FAXは、042-444-3082
・携帯は、090-3433-6644(稲塚)までお願いします。
料金は、3,500円(税込み・送料込)です。
DVD発送と共に、振込先案内を同封いたします。
                         タキオンジャパン 稲塚秀孝

「カネミ油症」上映通信⑮

「母と子の絆~カネミ油症の真実」の劇場上映交渉はいくつか返事待ちです。
 6館目のシネマ・トーラス(北海道苫小牧市)は、長年私の映画上映をしていただいた40席のミニシアターですが、12月7日か14日開始の予定です。今朝青森県八戸に到着。昼のフェリーで7時間かけて、苫小牧港に行きます。明日シネマトーラスの堀岡支配人に会うことにしています。

 先月福岡市内の交差点付近でタクシーに乗ったところ、運転手さんが振り返り、「隈研吾さんですか?」と聞かれました。高名な建築家の方で、面識はありません。
「ええツ?、違いますよ」と答えると、よく似ていらっしゃるし、設計図を持っていらっしゃるから、と言う。その時の私は、プラスティック製の筒の中に映画のポスターを持っていましたが・・・。
「隈さんが自分で設計図を持ち歩きますか?持っていたとしても助手の方でしょう」と応えると、運転手さんは「確かに、そうですね」と二人は笑うしかありませんでした。後日ネットで隈さんのお顔を見ると、確かに似てなくもないと感じました。旅をしているといろんなことに遭遇します。それも楽しみですね。

 来年1月から公的機関(図書館や学校、自治体など)など向けに、「母と子の絆~カネミ油症の真実」のDVD販売を始めることにしました。これまで10作品を託したBBB社と取り決めました。劇場公開、上映会と共に、カネミ油症被害者の救済に向けて、あらゆる方法で広げてゆこうと考えています。

 東京上映会、次回は10月14日(祝)14時から、文京区民センター3C会議室です。

       映画監督  稲塚秀孝

紙の街の小さな新聞ひらく

稲塚監督が”紙の街の小さな新聞ひらく”に先に投稿した記事①に続き投稿した今回投稿した記事②を紹介します。
 記事①記録映画「カネミ油症の真実~母と子の絆」「取材の経緯」(2023年11月号)
 記事② ドキュメンタリーは社会活動である(2024年10月号)

「カネミ油症」上映通信⑭

 ~カネミ油症事件の”グラウンドゼロ“から~

 福岡県北九州市黒崎の小さな会議室に9名の方が集まり、今日午後2時から「母と子の絆~カネミ油症の真実」上映会が行われました。

 上映後に、会場とオンラインでつなぎ、小一時間ほど、会場の方々とお話ができました。主催してくださったのは、原田和明(北九州市立大学)さんで、映画にもご協力いただいた方です。

 北九州市小倉には、カネミ油症事件の原因企業、カネミ倉庫が現存しており、被害者の方々も多くいて、かつては抗議行動を展開していました。原田さんは、「ここ北九州はカネミ油症事件の「“グラウンドゼロ“だ」と呼んでいます。加害者も被害者も半世紀に渡って闘い、生き続ける場所です。

 次回の追加上映会は10月10日(木)19時からです。10月10日は朝日新西部本社版の片隅で「奇病発生?」と記事掲載(1968年)され、カネミ油症事件が発覚した日。56年が経過した、この日を「母と子の絆~カネミ油症の真実」の上映日にしています。私は北海道苫小牧から会場の皆さんとお話しすることになります。

 こうしてオンラインで映画をご覧になった皆さんと、上映後の交流を図る試みを広げてゆきたいと思います。
                    映画監督  稲塚秀孝

食品公害「カネミ油症」のいま 「終わった問題ではない」と映画に

朝日新聞デジタル版有料記事(9月29日)
食品公害「カネミ油症」のいま 「終わった問題ではない」と映画に

 国内最大規模の食品公害について伝える記録映画「母と子の絆 カネミ油症の真実」が、10月から関西を皮切りに劇場で公開される。国や原因企業による救済が不十分だと訴え、子や孫への影響を心配し続ける親たち。そんな姿を前にした監督が、今も苦しむ人や研究者らの証言を一つひとつ集めた。

 1968年、カネミ倉庫(北九州市)製の食用の米ぬか油にダイオキシン類が混入する「カネミ油症」が発覚した。皮膚や内臓の疾患、全身の倦怠(けんたい)感などの被害の訴えは、長崎県や福岡県など西日本一帯から約1万4千人に上った。

 だが、厚生労働省によると、今年3月末時点の認定患者は累計2377人。患者と認定され、カネミ倉庫から見舞金などを受け取るには、血液中の汚染物質の濃度が一定基準を超えなければならない。症状を自覚していても認定されない人たちが国や企業に対し、救済を求めている。

 今回の映画を制作・監督した稲塚秀孝さん(74)はこれまで、広島と長崎で二重被爆した人や東京電力福島第一原発事故に遭った人たちなどを主人公に映画を作ってきた。
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「カネミ油症」上映通信⑬

 ~摂南大学薬学部上映会②~

 26日に行われた摂南大学薬学部上映会で書いていただいた感想用紙は212通ありました。みなさん鉛筆書きのため、明るい昼間に見ないと夜はよく読めません。

 いま抜き書きを進めています。上映後担当部長の先生は、
「途中で会場を出る予定でしたが、最後まで観ることができました。皆さんに3点について、お話し
します」と語り始めました。

 その内容は、
1.カネミ油症事件を始めて知ったと思いますが、今日知ったということを、この内容を忘れないでほしい。今後どういう道に進もうが、きっと役に立つと思う。

2.56年前の日本で起こった食中毒事件ですが、今もさまざまな食中毒事件は起きている。当時毒性化学物質による食中毒は珍しかったに違いない。しかし今は、いつ起きてもおかしくないので、日常的にニュースなどに気を付けてください。
3.最後に、私はカネミ油症事件が起きた1968年生まれです。従って、自分が生まれた年に、このような大変な事件が起きていたことを知って驚いたし、これからも皆さんや後輩の方々に伝えてゆかなければ、と思いました。

 というもので、短い時間ながら、素敵なお話だったと思います。今回の上映会では、知ること、伝えることの大切さを、改めて再確認いたしました。
      映画監督   稲塚秀孝

「カネミ油症」上映通信⑫

 ~9月26日 摂南大学薬学部上映会①~

 9月26日(木)摂南大学薬学部1回生の上映会を行った。若い世代の声を聴きたい、の願いをかなえて下さった大学関係者の皆さんに感謝を申し上げます。

 再び30度を超す日の午後、上映会場は3号館1階の大講義室に、200名を越える学生の皆さんが集合。
上映に際してお願いした映画の感想用紙は、212通に及んだ。

 カネミ油症事件が起こったのは、1968年(昭和43年)。18歳~の学生にとっては、祖父の時代の話に違いない。どのようにこの映画を観てくれたのか?今後丹念に感想用紙を読み進めてみたいと思う。

 日本中に薬学部があるのは、81大学。国立14、公立6,私立61校に上る。一方医学部は82大学。国立42、公立8,私立31、それに防衛医大が加わる。

 カネミ油症事件は、カネミライスオイルに毒性物質ダイオキシン類が混入した化学物質が原因となる
特異な事件だが、国民にとって「食の安心、安全」に関わるもので、ぜひ学生の皆さんに知っていただきたい、と短い挨拶をさせていただいて、映画上映が始まった。

    映画監督 稲塚秀孝

「カネミ油症」上映通信⑪

 ~東京先行上映会~
 9月20日(金)平日の午後、東京・文京区民センター
で東京先行上映会を開催。70名を超える方々にご覧いただいた。
 福岡・西日本新聞の顔なじみの記者は、8月から東京勤務に
なったそうだ。カネミ油症被害者の多くは、福岡県、長崎県に
おられるので、長崎新聞とともに、両紙はこれまでも、これからも
発信をし続けてくれるに違いない
 86分の上映後、映画製作委員会を代表して「今後の展開案」の
説明をさせていただいた。近日中にこのHPにアップしていただく
ので、ぜひ見ていただきたいと思う。
 これまで「ドキュメンタリーは告発である」とキャッチフレーズを
掲げてきていましたが、この映画では「ドキュメンタリーは社会活動
である」
と加わった。なぜならカネミ油症被害者の救済は全くと言って
いいほど進んでいないからである。
あえて、映画のエンディングで言葉を加えた。
この映画をご覧いただいたみなさんに考えてほしい、と。
 9月29日には福岡県北九州市黒崎で、小さな上映会が始まる。
私はオンラインでメッセージを送ることにしている。
とにかく、「どこまでも行くんだ」と同世代の詩人の一節のように、
前へ、前へ進みたいと思う。
       映画監督   稲塚秀孝