「カネミ油症」上映通信㉖

 ~継続は力なり・・~

 10月25日夜、福岡県北九州市黒崎駅前で続けてきた「母と子の絆~カネミ油症の真実」上映会が終了しました。映画に出演した原田和明さん(北九州市立大学)が主催し、この日は10名の参加でした。18時30分から会場とオンラインで結び、来場者の方々とお話をしました。

 「今日2回目の鑑賞です」「チラシの写真が”怖い“という知人がいます」「地元『小倉昭和館』ではいつ上映しますか?」・・・など、活発なやり取りののち、19時から上映。上映後は、21時の退出時間まで、意見交換がギリギリまであった、と原田さんから連絡がありました。

 10月21日夜、小倉昭和館を訪ね、来年1月以降の上映を模索する方向が出ていました。劇場公開に向けての”勉強会“が趣旨だった上映会は、この日で終えるつもりでしたが、原田さんとの話し合いで、11月も“ミニ上映会”を続けることを決めました。

 今回から「北九州映画サークル」の有志の方々も数人参加してくれて、直近の会報に「上映会情報」を掲載してくださるようです。北九州映画サークルの会員は500名を越え、小倉昭和館を借りて上映会を行っているのです。「継続は力なり」1回目は原田さんを除いて2名から始まった上映会でした。11月は2回行う予定です。そして明日29日は、12月14日札幌上映会開催に向けて、各団体や友人と会い、映画鑑賞をお願いして回ります。

 ”特報“でお伝えしたのように、「へその緒ダイオキシン類分析結果報告書」が届きました。今、研究者、医師の方々に、更なる分析を依頼しています。11月半ばには、メディアの皆さんにお知らせ(記者会見を予定)し、広く皆様に伝えられたらと思います。

                                    映画監督   稲塚秀孝

「カネミ油症」上映通信㉕

 ~製作者と観客との距離感~ 

 今晩(10月25日)は、北九州における上映会が行われました。参加者10名。小さな会場です。3回目のオンライン参加をしました。会場の都合から、上映前に30分間お話をします。「母と子の絆~カネミ油症の真実」を観るのは2度目、という方と話しました。一度ならず、二度も観ていただき、ありがたく思いました。そして、「前回とは違った視点、目線でご覧ください」と伝えました。

 情報がてんこ盛りのこの映画は、正直一度では見過ごすことが多いのではないかと思っていました。製作者は、映画完成後は、観客の皆さんに委ねたいと思います。なぜなら、一番最初に観る観客ですから、よくも悪くも、中身を知り尽くしているのです。そして加害者も被害者も混在する北九州の街について、話し合いました。加害企業のカネミ倉庫が今も現存し、「ライスオイル」を作り続けていることに、来場者の方は驚かれます。北九州映画サークルの会員の方もお二人見えたそうです。

 今日で「市民上映会」は終了する予定でしたが、11月にも実施したいと、主催者の原田さんから提案があり、「ぜひ!」と応えました。
                                 映画監督 稲塚秀孝

「カネミ油症」上映通信㉔

 ~北九州は”グラウンド・ゼロ“か?!~

 昨日夕方、長崎から高速バスで3時間半、北九州市小倉に入り、メディアの取材を受け、地元の小倉昭和館を訪ねた。地元の大きな市場の火災に巻き込まれた歴史ある映画館で、これまで数本の作品を上映していただいた。上映に向けて、館主は悩まれている。小倉駅の北、港に面して「カネミ倉庫」が現存している。1968年「カネミ油症事件」の原因企業だ。そして北九州市内には、数多くのカネミ油症被害者が生活されている。

 北九州市黒崎で数回開かれた「上映を兼ねた勉強会」に参加した女性は、小倉昭和館の常連の客で、先日館主に尋ねたのだという。
「カネミの映画を上映しないのですか?」と。
 北九州市(小倉)は、カネミ油症事件にとって、加害者と被害者が”混在“する街、カオス(混迷)の街である。私は圧倒的な”熱量“を持って、劇場が上映するためのサポートを創り出さないといけない、そう思って昨晩小倉を一旦離れる事にしました。
                               映画監督    稲塚秀孝
(注)グラウンドゼロ:爆心地

「カネミ油症」上映通信㉓

 ~映画は”誰のもの“か?~長崎5日目。
 今日から広島と長崎で二度被爆した福井絹代さん(94)と弟 國義さん(故人)の企画展が長崎追悼平和祈念館で始まります。

 一昨日はあの日(8月9日)に一夜を過ごした「防空壕」跡を訪ねました。79年ぶりのことです。
「あら、こんなに小さかったのね。あの頃は小さかった(14)から、もっと大きいと思っていたわ」
が第一声でした。昨日はゆっくりとお話が聞けました。

 そして11月29日から上映が始まる長崎セントラル劇場に宣材(ポスター、チラシ等)を届け、地元新聞社の記者と懇談し、長崎の知人、友人に「母と子の絆~カネミ油症の真実」について伝えます。

 これまで同様、映画製作を終えると、その後はご覧いただく皆さんが”主役“です。どう見ていただけるのか?映画は観客の皆さんのものだと思います。

 全国公開の皮切りとなった元町映画館(神戸・元町)でご覧になった方々から、様々な感想が寄せられました。
「カネミ油症事件は、もう済んだものだと思っていた」
「実際にカネミ油を食べていない子どもや孫にまで被害が及ぶとは、酷い」
「カネミ油症事件の全容が、初めて分かった」など。

 一方、9月26日に摂南大学薬学部一回生にご覧いただいた感想文を今も読み進めています。18歳から20歳の男女学生の声は貴重です。 

   映画監督  稲塚秀孝

「カネミ油症」上映通信㉒

 ~10月14日東京上映会報告(2)~

 当日カネミ油症映画「食卓の肖像」の金子サトシ監督が会場に来られました。「被爆者の声を受け継ぐ映画祭」(今年は武蔵大学)の実行委員で、これまで数回「二重被爆」映画を上映いただいています。 金子監督は見終わった後のトークセッションで、 カネミ油症事件は、食中毒事件だった。そのことを国や九州大学が限定的な被害と矮小化するために「認定基準」、認定・未認定を生み出した、と。金子監督は「カネミ油症被害者支援センター」のメンバーでもある。

 この春、私はカネミ油症被害者支援センターの幹部と面談し、映画製作に関するの”仁義“を切ったところ、思いがけない言葉が返ってきた。「映画製作や『へその緒プロジェクト』は“一過性の花火”に終わらないことを願っている」と。とてもカネミ油症被害者の支援をしている方達の発言と思えなかったが、映画製作が必ずしも”順調”ではなかった時期だったので、あえて反論はせず、「見ていてください」とだけ答えたのである。映画製作は、今後カネミ油症被害者救済に向けて、”大きな武器になる“
と考えています。
映画監督   稲塚秀孝

「カネミ油症」上映通信㉑

~10月14日東京上映会報告(1)~
 昨日東京上映会2回目が行われ、16名の参加を得ました。秋の天気の休日、うれしいです。長年交流があるメディア文化部記者やカネミ油症映画の監督など、上映後のトークは1時間にも及びました。

 さまざまなドキュメンタリー作品の上映を応援してくださっているTさんは「カネミ油症被害者の方が、顔出しでインタビューに応じていることにビックリした」との感想でした。でも私の”ドキュメンタリーは告発である“では、ごく当たり前なことです。当事者と取材者の信頼関係はとても大事です。唯一父親当人の精子により、お子さんに症状が現れた方のみ、顔出しせず、声はそのままで登場いただきました。

 次に長年読売新聞文化部で、映画、文学批評や賞の選考委員を続いえてきたSさんは、「メディアの責任」について意見をおっしゃいました。映画のエンディングで私は「無策な国、厚生労働省、九州大学を始めとする医師、研究者、弁護団、支援してきた方々には”応分の責任”がある」と告げました。カネミ油症事件において、メディアの責任は重いのです。カネミ油症の原因究明に力を尽くさず、わずか2~3年で担当を外れては、深い記事は書けません。当たり前です。だから平気で“食品公害”とステロタイプな表現に安穏としているのです。

◆「カネミ油症事件」は食中毒事件である。
◆国と九州大学が長年結託した「被害者の認定・未認定」の”罠“にはまったまま、取材したり、記事を書いてはダメだ。そもそも「カネミライスオイルを食べた方、その方らの子や孫は全員カネミ油症被害者であることを肝に銘じないといけないのです。

 次回の東京上映会は、11月30日文京区民センター3C会議室です。

      映画監督     稲塚秀孝

「カネミ油症」上映通信⑳

 ~「古里や へその緒に泣く 年の暮れ」
 松尾芭蕉~松尾芭蕉が詠んだ俳句です。母と子をつなぐ絆「へその緒」が日本で保管される習慣は、すでに江戸時代からあったと考えられます。へその緒を大事に保管する習慣は、日本だけでなく、東南アジアにあるようで、インドネシア、フィリッピンなどでしょうか?欧米では、へその緒は捨てられるとのことです。へその緒を敬うことは、美しい日本の伝統文化ではないでしょうか?

 まもなく岩村定子さんの3人のお子さんのへその緒検査の結果が明らかになります。とても興味深いことだと思います。今日このお話を元町映画館でさせていただきました。ご婦人からの反響は大きく、良かったです。
  映画監督  稲塚秀孝

「カネミ油症」上映通信⑲

 ~全国公開始まる~
 昨日10月12日、元町映画館にて「母と子の絆~カネミ油症の真実」の劇場公開が始まりました。
昨日に続いて、本日も上映後に20分弱のお話をいたします。

 「カネミ油症事件」発生から56年経った今の視点から「カネミ油症事件」を検証する映画であることをまず伝えました。なぜならカネミ油症被害者の救済は進むどころか、被害者の認定・未認定に”分断”されているばかりか、何ら問題は解決していないからです。取材を続けてきた中で、
「カネミ油症事件って、終わったことじゃないの?」という”言葉“を何度聞いたことでしょうか?
そして「カネミ油症事件」の根幹、本質、問題の核心を多くの皆さんに伝えること、”ドキュメンタリーは告発である“”ドキュメンタリーは社会活動である“ということをしっかりとご覧になった皆さんに”認識”していただきたい、と考えています。

 そしてこの映画の中で、
1.本来「食中毒事件」にもかかわらず、初期対応で国と九州大学は“認定基準”なる欺瞞的な策動により、カネミ油症被害を”矮小化“したこと。
2.PCDFというダイオキシン類によって、母体から胎盤を通じて、胎児に”毒性物質“が移行した事実があるにも関わらず、15年前から「へその緒検証」を無視し、事実を隠蔽してきたこと、今も一切顧みようとしていないこと。
を明らかにしたことを伝えようとしています。そして”これからどうしたらいいか?!“について、これからできることを提案していきたいと思います。

 私はこれからも映画上映を通じて、広く、深く真実・事実を伝えるとともに、すべてのカネミ油症被害者の救済のために、発信してゆきたいと思います。みなさんの”勇気とお力を“お待ちしています。

   映画監督    稲塚秀孝

「カネミ油症」上映通信⑱

 ~全国の学生を対象にするプロジェクト~
 群馬大学の鯉渕典之教授(日本内分泌攪乱物質学会長)から一か月前に、一つの提案が届きました。「母と子の絆~カネミ油症の真実」(86分)のダイジェスト版を作成してもらえないか?授業の一枠は90分、できたら35分位で・・・。という内容でした。
 そして9月20日東京上映会に鯉渕先生はわざわざ来られて、ご覧になりました。因みに当日はラフな私服でした。10月24日・25日に北海道苫小牧市の編集室で作成します。そして、今後全国の医療系、社会学系などの大学に呼び掛けたいと思います。

 先日摂南大学薬学部一年生220人に聞いていただいたことも”背中”を押してくれました。劇場公開は今日10月12日から始まり、すでに上映会は各地で行われ、DVD販売は2025年1月から、今回は可及的すみやかな展開を進めたいと考えています。
                       映画監督   稲塚秀孝