
●新聞報道(苫小牧民報)(1/22)


~小倉昭和館上映の2日間~
1月18日・19日、福岡県北九州市小倉昭和館で「母と子の絆~カネミ油症の真実」上映会を行いました。80名を越える方々にご覧いただきました。
カネミ油症事件(1968年)から57年。今も油症被害に苦しみ、子や孫の次世代にも症状が現れていて解決していないことを痛感する2日間でした。見終わってお帰りなる来場者の方々のお顔を拝見すると、明るさとか暗さではなく、”歴史と事実“をそれぞれかみしめていらっしゃる、のだと感じました。
私も座席で2日間見ました。日によって、感じ方が違いました。これは不思議な体験でもあります。上映後のトークに、カネミ油症被害者全国連絡会 三苫哲也事務局長を迎えました。三苫さんは、カネミ油症被害者が置かれた現状を丁寧に、ユーモアを交えて話してくれました。
25日からナゴヤキネマ・ノイで上映が行われます。
映画監督 稲塚秀孝
~国と関係者へ「要請書」送付~
明日は12月24日。思いがけない“クリスマス・プレゼント”を各所に送ります。「へその緒検査」結果を踏まえて、要請書に書くのは、国と関係機関へ、カネミ油症被害者の救済の具体的な“実行”を迫る内容になります。年末・年始を挟んでいますが、2025年1月20日までに回答を求めようと思います。
1月24日には次回の「油症対策委員会」が開かれ、翌25日は「三者協議」が行われます。今年度内に何らかの進展があるように、プッシュいたします。今年も残り少なくなりました。でも被害者救済に“時間はありません”から・・・。
映画監督 稲塚秀孝
~”潮目“が変わるのだろうか?~
映画「母と子の絆~カネミ油症の真実」が完成したのは、8月13日、北海道苫小牧市「苫東映像プロジェクト」でした。本編86分、予告編1分30秒、サンプル版もできました。その完成から4か月が経過。実はずっと私の心の中で“もんもん”という思いがありました。それは私もその一角を担う”メディア“が果たした役割と功罪についてでした。1973年から51年間、テレビ番組の製作を続けています。2006年「二重被爆」から映画製作は13本目となります。
映画の映画のエンディングの語りについて、以前この欄で取り上げています。
「・・ずっと無策だった国、厚生労働省、九州大学を始めとする医師、研究者、弁護団、支援してきた人々、皆さんに“応分の責任”があると思います・・」
そこに”メディア“は入れなかったのは、いつか”メディア“からの”反撃“を起こさないといけないとい”思い“があったからなのです。
今朝12月16日(月)の記事「へその緒からダイオキシン類」「有志が分析依頼 進まぬ子世代の救済『政府が調査を』」「カネミ油症事件母親から伝わる影響を調べたら・・・」の見出しが躍っていました。今、カネミ油症事件から56年経った今、真実に迫るメディアの発信が行われた、これで”潮目が変わるだろうか?」と思うのです。勿論、単純ではありません。これまで半世紀の中で、核心に迫れず、途絶したことは数え切れません。中には”裏切り”もありました。でも信じたいと思います。「カネミ油症被害者」全員の救済のために‥何ができるのか?みなさん、ご一緒に考え、行動してください。 映画監督 稲塚秀孝
~北の大地・札幌から~
昨日から「母と子の絆~カネミ油症の真実」は北海道へ上陸しました。シネマ・トーラス(苫小牧)で上映開始、夜は「札幌上映会」が行われた。元参議院議員を含む地元テレビ局のOBが駆け付けてくれた。10年ぶりに会うの”先輩”たちだ。
上映後、私も”テンション”が上がった。「へその緒検査」の今後の展開、加害企業、カネミ倉庫の”怪しい疑惑“などを伝える。地元医師は、“ピーファス”(千歳市・苫小牧市)問題、紅麹問題の行方に広がる。濃密な40分の意見交換会、地元室蘭に存在する“PCB処理施設”にも話が及んだ。「ぜひ室蘭で上映会を」と盛り上がる。
1月25日から、ナゴヤキネマ・ノイで1週間上映が決まった。「名古屋シネマテーク」の後継劇場公開に向けて、準備を整えたいと思う。 映画監督 稲塚秀孝
~北九州“2つ目の楔(くさび)見つかる~
昨日、驚きの”発見”がありました。全国紙の北九州総局内に「カネミ油症小倉裁判」の公判記録の一部が見つかったのです。

映画製作を始めて間もなく、「カネミ油症裁判」に関わった弁護団の幹部の方に問いあわせました。
「『カネミ油症裁判』の公判記録を見せていただけませんか?」と。弁護士からの返事を聞いて“驚愕”しました。「公判記録を保管していた弁護士が、すべて捨ててしまっている」というのです。”ありえない“話です。歴史的な裁判の記録を捨てるなど、弁護士にあるまじき行為だと思いました。その後も公判記録は見つからず、諦めていました。「母と子の絆~カネミ油症の真実」に盛り込めず、今に至っています。次回年明け1月半ばに、公判記録を見せていただきます。
私は「憲法を武器として~恵庭事件 50年目の真実」において、残されていた計40回の公判記録を半年間に渡って読み込み、110分の上映期間の3分の2は法廷の場面でした。公判記録を読み込んだのち、どのように活用させていただくべきか?じっくり考えてみたいと思います。とにもかくにも、小倉昭和館上映に続き、”第2の楔“ができました。
映画監督 稲塚秀孝
~北九州上映で、”新たな楔(くさび)“を~
お待たせいたしました。ようやく、ようやく福岡県北九州市の劇場「小倉昭和館」での上映のメドが立ちました。年明け1月18日(土)~19日(日)の”特別”上映です。
小倉の港付近に「カネミ倉庫」が現存します。今から56年前、「カネミ油症事件」を起こした原因企業の「カネミ倉庫」です。そして今は販売元の名前を変えて、“ライスオイル”を製造しています。私はこうした”現実“を理解できません。そして小倉を始め、北九州市には大勢の被害者が生活しているのです。
この町で「母と子の絆~カネミ油症の真実」を上映しなくてはなりません。昨日「小倉昭和館」の館主と直談判して、決めました。本来なら最低1週間は上映したいのですが、気が変わらないうちに決めようと思いました。1月18日・19日、私は上映後の舞台挨拶に立ちます。
小倉昭和館では、過去「NORIN TEN」「仲代達矢 役者を生きる」「役者として生きる~無名塾第31期生の4人」の3作を上映していただきました。ただ地元の市場の火事により、今年復活したばかりです。この映画の普及のため、劇場支援(おこがましいのですが)のためにも、1スクリーン・134席を満席にしなくてはなりません。
10月から北九州市黒崎駅前のスペースで、5回自主上映会が行われました。主催したのは北九州市立大学教員の原田和明さんです。早速昨晩小倉で”戦略会議”を開きました。北九州映画サークル、北九州市民劇場始め、上映会でご覧いただいたみなさんの力をお借りして、告知活動をお願いしました。メディアの皆さんにも、お力を借ります。「カネミ油症事件」の”聖地“小倉での上映を成功させたいと思います。
映画監督 稲塚秀孝
映画「母と子の絆~カネミ油症の真実」製作委員会では、今年10月から劇場公開、上映会(非劇場)を並行して行っています。さらに、普段ドキュメンタリー映画を観る機会が少ない若い世代に向けて、映画本編86分からダイジェスト版(35分)を作成し、全国の高校・大学の授業、講座の中で上映活用いただくことを始めました。
11月半ばに群馬大学医学部の講座「医系の人間学」でご覧になった学生190名の方々の感想が届き、公開が許されました。本ホームページの「映画を観て」でご覧いただきたいと思います。注目すべきなのは、「カネミ油症事件を知っていますか?」の問いかけに対し、86%の学生(18歳~20歳)が知らなかったと答えています。この映画の趣旨は「カネミ油症事件を知って欲しい」ですので、知らなかった学生の方々に今回知っていただけたことは大きな効果であり、喜びです。
ダイジェスト版に関する問い合わせ先は、090-3433-6644 稲塚までお願いいたします。
映画監督 稲塚秀孝
~12月2日 故満広さんの命日~
真夜中の博多港からフェリー「太古丸」に乗船し、今朝7時25分五島市奈留港に着船。出勤する奈留の方から声をかけられました。
「監督、これから取材ですか?」マスク越しなので、どなたか分からないまま、「ありがとうございます」と返事をしました。奈留に通うのも10回近くになり、顔見知りも増えたし、長崎新聞の記事や9月の奈留上映会に来られた方かもしれない。うれしい。
今回の目的は、岩村定子さんから預かった「へその緒検査」が終わり、残された3人のお子さんの「へその緒」をお返しに上がったのです。定子さんは福江の病院に入院中、今年2月から、がんと闘っています。ご主人に「へその緒」をお返しし、今日は長男満広さんの命日、1973年12月2日に生後4か月で亡くなったのだ。声を上げることができなかった、カネミ油症被害者なのです。満広さんの仏前に手を合わせたいとお願いし、ご主人から小さな木の札を見せていただく。私はこみ上げるものを感じながら、手を合わせました。まだ、まだ満広さんの”無念“を晴らすことができていない、が、今後いかなる方法を駆使しても、定子さんと満広さん親子のお気持ちに報いたいと誓いました。
映画監督 稲塚秀孝