facebookより

 今晩は。カネミ油症の継世代影響を紐解くために、堤治氏(山王病院長、国際医療福祉大学大学院教授)のご著書をこの1ヶ月かけて読み終えました。①環境生殖学入門、②生殖医療のすべて、③新版生殖医療のすべて、④妊娠の新しい教科書、⑤授かる 不妊治療と子どもをもつこと

 追記・堤さんはこれらの本の中で、医師として環境ホルモン問題を徹底追求されてます!母乳のダイオキシン汚染と子宮内膜症との関連や、流産防止剤のDESの服用による子どもの膣癌や精巣癌の発生など。

山木戸啓子
 厳しい継世代影響が記されているのでしょうね。 P CB 汚染の恐怖を知らない世代がたくさんいるでしょうけれども継世代影響の現実からは目を逸らしてはならないし二度と同じ過ちを繰り返してはならないと思いますね。
藤原寿和
 化学物質による健康被害で3世代、4世代への影響が明らかになっているのは、ベトナム枯葉剤被害と台湾油症、カネミ油症だけではないかと思います。おそらくイタリアセベソのダイオキシン汚染の影響も継世代への影響が出ていると思いますので、その実態の調査が必要と思います。

「へその緒プロジェクト」通信⑭

  日本の医学界に”奇跡“を起こしたい
~「へその緒プロジェクト」のロードマップへの道~

 「胎児性カネミ油症病」という新たな病名の提示が何を
意味するのか?信頼する医師、研究者との会話が行われている。

 家族で同じ「カネミオイル」に混入したダイオキシン類(PCDF)を
食べていながら、被害者認定、未認定に峻別されている不条理。

 毒の油を口にした母親から胎盤を通して新生児(子)に障害を持って生まれた
にもかかわらず、ダイオキシン類の血中濃度の数値だけで峻別される不合理。

 九州大学油症治療研究センターの元班長は、「ダイオキシン類を摂取した
母親から10年ほどの間に生まれた子どもには、何らかの障害がおき、
それはカネミ油症が原因と考えられる」と被害者に伝えている。

 私が取材した、その母親は毒の油を口にしたのは19歳の時。5年後の24歳で
長男を出産し、その後2年ごとに、長女、次男を持つことになった。まさに10年
以内に3人の子宝を得たのである。

 長男は生後4カ月で死亡。口唇口蓋裂や肛門がない状態で生まれた子だった。
そして今40代後半の2人のお子さんは、一人は虚弱体質で、身長が伸びず、
もう一人は内臓疾患に悩んでいるという。毎年行われている検診の結果では、
カネミ油症被害者と認定されていない。母親と父親は認定されている。

 こうした例は、ありふれたことで、決して例外ではない。
生まれた時に、へその緒のダイオキシン数値を測ることも、血液検査も受ける
仕組みがなかったことで、何もかも“ない”ことにしてはいけない。

 この映画製作と「へその緒プロジェクト」とは、並行で進行させるロードマップ
を作成中である。
 カネミ油症事件に”奇跡”を起こらせるために、これから奮闘しなくてはいけない、
と肝に銘じている。

                  映画監督   稲塚秀孝

「へその緒プロジェクト」通信⑬

  「胎児性カネミ油症病」の命名と告知開始
~「へその緒プロジェクト」のロードマップへの道

「へその緒プロジェクト」のロードマップ作成に向け、毎日各所と連絡を取り、協力のお願いをしています。そんな中、宮田秀明摂南大学名誉教授から”指針“が届きました。

稲塚様
 胎児は母体よりも10倍も感受性が高いばかりでなく、活発な細胞分裂をしている実態を顧慮

すると、染色体に変異を与えるエピゲノム変化が起こることも予想されるために、母胎に生じる
障害よりも遙かに広い範囲の障害の起こる可能性は否定できません。このような観点から、「胎
児性カネミ油症病」という表現もOKだと思います。 宮田

 ここで改めて確認したいと思います。昨年12月にいただいた宮田先生の文章についてです。

「油症被害者の次世代以降の子孫を対象とした汚染実態を究明するための『保存さい帯(へその緒)』試料の有効性」には、

◆胎児は環境汚染物質に対する感受性が成人よりも10倍程度高いと推定される
◆カネミ油症の原因物質である残留性の強いダイオキシン類は、原因油を直接摂取した当事者
 だけでなく、次世代子孫(子や孫)にも有毒性を及ぼす
◆次世代胎児の汚染実態を究明することが極めて重要である
(しかし、被害者の次世代子孫を対象として、出生時における血液の分析が行われていない)
◆「保存さい帯(へその緒)は、新生児の出生時における汚染実態を把握するための最適な試料
と考えられる
◆さい帯の原因油物質濃度は、出産時点での母親から新生児の体内に移行する原因物質濃度を反映
 しているものと推察できる

と書かれています。しかも2009年5月「福岡医学雑誌」に掲載された「油症患者の保存さい帯(へその緒)中のダイオキシン類濃度」には、「油症原因物質の中で最も毒性と残留性が強い五塩化ジベンゾフランが、湯症患者のさい帯に高濃度で残留しており、その濃度は健常者(非汚染者の約40倍に達する」と福岡県保健環境研究所の梶原淳睦氏(当時)の研究で実証されています。

 そこまでわかっているにも関わらず、厚労省と九州大学油症治療研究班は、その後「へその緒」
研究に”ふた“をし、葬り去りました。それ以来、15年が経過しています。

 宮田先生が1月12日「へその緒プロジェクト」立ち上げの記者懇談会で話した“胎児毒性”は、水俣病(胎児性水俣病)だけでなくカネミ油症にもあったのではないか?へその緒を通して、胎児(新生児)に送り込まれたダイオキシン類の毒性について、被害が判明した1968年秋以降、全く顧みられていません。半世紀が経過した今、「胎児性カネミ油症病」という新たな病名を告知する”意味“は大きいと思います。宮田秀明先生のお答えを得て、今後「へその緒プロジェクト」の進む道筋が見えてきたのではないでしょうか?
                                映画監督   稲塚秀孝

「へその緒プロジェクト」通信⑫

      どこまでを目指すのか?
 ~「へその緒プロジェクト」のロードマップの道すじ~

 今日の東京の朝の空はどんよりと曇っている。間もなく雪が降る気配、積もるかもしれないという情報が流れている。

「へその緒プロジェクト」を始めてメディアの方々に伝えたのは、昨年12月12日(金)午前に福岡市役所内で行った「記者懇談会」。

記者懇談会(福岡・2023年12月12日)
カネミライスオイル(販売当時の1升瓶)

  当日配布したのは、お話しくださった宮田秀明摂南大学名誉教授が指針として書かれた「油症被害者の次世代以降の子孫を対象とした汚染実態を究明するための『保存さい帯(へその緒)』試料の有効性」のA4で2ページのものでした。かいつまんでお伝えしたい。

◆胎児は環境汚染物質に対する感受性が成人よりも10倍程度高いと推定される
◆カネミ油症の原因物質である残留性の高いダイオキシン類は、原因油を直接摂取した当事者だけでなく、次世代子孫(子や孫)にも有毒性を及ぼす
◆次世代胎児の汚染実態を究明することが極めて重要である
(しかし、被害者の次世代子孫を対象として、出生時における血液の分析が行われていない)
◆「保存さい帯(へその緒)は、新生児の出生時における汚染実態を把握するための最適な試料と考えられる。
◆さい帯の原因油物質濃度は、出産時点での母親から新生児の体内に移行する原因物質濃度を反映しているものと推察できる

 順番に読み進めていただくと、より理解が深まるはずである。この「宮田指針」ともいうべき要旨から、ロードマップを導き出すことにして、ほぼ1週間後の2月11日(へその緒プロジェクト通信⑮)には、「ロードマップ案」を皆さんにお示ししたいと考えています。

 今回は多くのメディアの方々に取材いただき、報道されてきました。今後も積極的に情報提供を行い、最終的には「カネミ油症被害者」全員(認定・未認定を問わず)の救済に向けて行動し、その過程(プロセス)を映画の中でお見せしたいと思います。

                                映画監督  稲塚秀孝

「へその緒プロジェクト」通信⑪

  へその緒における母親―胎盤―胎児の関係性
~”胎児毒性“から”胎児性カネミ油症病“に移行する~

 1月12日午前、福岡で行った記者懇談会で、宮田先生(摂南大学名誉教授)は“胎児毒性”という言葉を用いている。

宮田秀明摂南大学名誉教授

 また昨年12月に宮田先生にまとめていただいた「油症被害者の次世代以降の子孫を対象とした
汚染実態を究明するための『保存さい帯(へその緒)』試料の有効性」の文章には、

◆胎児は環境汚染物質に対する感受性が成人よりも10倍程度高いと推定される
◆カネミ油症の原因物質である残留性の強いダイオキシン類は、原因油を直接摂取した当事者だけ
 でなく、次世代子孫(子や孫)にも有毒性を及ぼす
◆次世代胎児の汚染実態を究明することが極めて重要である
(しかし、被害者の次世代子孫を対象として、出生時における血液の分析が行われていない)
◆「保存さい帯(へその緒)は、新生児の出生時における汚染実態を把握するための最適な試料と
  考えられる
◆さい帯の原因油物質濃度は、出産時点での母親から新生児の体内に移行する原因物質濃度を反映
 しているものと推察できる

と書かれている。しかも2009年5月「福岡医学雑誌」に掲載された「油症患者の保存さい帯
(へその緒)中のダイオキシン類濃度」には、「油症原因物質の中で最も毒性と残留性が強い
五塩化ジベンゾフランが、湯症患者のさい帯に高濃度で残留しており、その濃度は健常者
(非汚染者の約40倍に達する」と福岡県保健環境研究所の梶原淳睦氏(当時)の研究で実証
されている。

 そこまでわかっているにもかかわらず、厚労省と九州大学油症治療研究班は、その後「へそ
の緒」研究に”ふた“をしてしまったのである。一旦葬り去ったのである。それ以来、15年が経過
している。 今回「へその緒プロジェクト」では、閉ざされていた「へその緒」研究・検証の
”扉“を開こうと考えている。

皆さんは、「胎児性水俣病」を知っているだろうか?
汚染された魚を直接食べていなくとも、妊娠中に母親がメチル水銀の魚を食べていると、へその緒
を通じて胎児の体内に入り、水俣病となって産まれてくるのです。胎児性水俣病のお子さんは、
脳が発育しなかったり、脳の神経細胞が破壊され、重い症状の場合、幼いうちに亡くなっています。

 宮田先生が話す“胎児毒性”は、水俣病だけでなくカネミ油症にもあったのではないか?
そこを追及することが「胎児性カネミ油症病」という新たな病名(指標)を見つけ、
告知することになると考えたのです。

 既にこの通信で紹介した、口唇口蓋裂、肛門がない状態、心臓疾患などで1973年8月に生まれ、わずか生後4カ月で亡くなった、岩村満広さん(長崎県五島市奈留)こそ、その「胎児性カネミ油症病」”証明“に違いないのです。

 母親の定子さんは、2013年に九大油症治療研究班のへその緒の調査を依頼し、異常な数値が検出されたデータを今も大切に保管しています。

 ぜひ今後の推移にご注目願いたいと思います。

                           映画監督  稲塚秀孝

「へその緒プロジェクト」通信⑩

 第22回三者協議・番外編
 ~カネミ倉庫からの連絡~

 一昨日(1月30日)午後、カネミ倉庫の総務部長から電話が入った。

 1月13日の三者協議終了後、帰り際に部長に私の名刺を渡し、
「今日は加藤社長が体調不良でお休みでしたが、ドキュメンタリー映画の中で
お話をお聞きしたいので、お伝え願います。改めてご連絡させていただきます」
と伝えた。部長は「社長はおそらく取材は受けないと思いますが、こういうお話が
あったことは伝えておきます」と言い残して帰った。

 翌週、レターパックライトに、取材依頼書、企画提案書、当社プロフィールと
DVDを2枚(「奇跡の子どもたち」「仲代達矢”役者”を生きる」)入れ、
カネミ倉庫 加藤大明社長あてに送った。取材依頼書には、
 率直なお話が聞きたい。国とPCB製造企業「カネカ」への思い

  1. ドキュメンタリ映画(90分想定)の中で、5分間は流したい
  2. 最終編集前に、映画で使わせていただくインタビュー内容の確認をしていただきたい

以上を書き込んだ。

 取材申し込みの時は、後々トラブルにならないように、率直に伝えることにしている。
映画公開が前提なので、日本中で、さまざまな人々がご覧になる。
従って、後に禍根は残したくないと考えた。曖昧なことは言えない。
映像はありのままを描き出す。取材対象者の喜び、怒り、悲しみをほぼそのままに表すと思う。

 部長の答えは、予想通り「取材はお断りしたい」という返事。
「私はこの会社に入って短いですし、カネミ油症事件の時は生まれていませんでした」
確か40代前半のようにお見受けした。
「加藤社長は以前から、『カネカは札束(※)で被害者に対し、その代わり自分たちの責任を免除
された』ことに憤りを持っていたことは事実です。
しかしわが社は(カネミ油症事件の)加害企業ですし、何を言うかと思われることはできないです」
※カネカは最高裁判所の和解勧告に応じ、補償金の意味を持った見舞金を被害者の方々に払い、
 責任は免除された。今では一切責任の追及を拒否し続けている。

 部長は丁寧にお話しくださった。そして「送っていただいたDVDはどうしましょうか?
仲代さんのDVDもあって・・」と聞かれ、私は「お時間のある時にご覧ください」と伝えた。
そして
「こうしてお電話をいただき、お話の内容は分かりました。ただここ数カ月の間で、
カネミ油症事件に関して、何らかの変化というか、動きがあるかもしれません。その時は
改めてご連絡させてください」と話して、電話を切った。

 映画の製作委員会として、どのような動きができるだろうか?
「賽はこちらに投げられた」と思った。何とか”答え”を出さないといけない。

                  映画監督  稲塚秀孝

「へその緒プロジェクト」通信⑨

  6パーセントからの反撃
 ~「へその緒プロジェクト」共に~

 映画「母と子の絆~カネミ油症の真実」の製作支援のために昨年12月20日
から開始したクラウドアンディングは、昨日までで目標額の6%に達した。
残る期間は30日。正直、厳しい実情だ。

 しかし”奇跡”を信じたい。まだ30日あるのだから、やれることはたくさん
ある、と思う。前回「へその緒プロジェクト」との並走150日と書いた。
「へその緒プロジェクト」はまだその先があるが、映画製作は劇場公開という
目標がある。今年10月公開のためには、6月末が製作のギリギリだ。劇映画
ならば最低10カ月前に”初号”が完成していないといけないが、そこはドキュ
メンタリー映画なので、ギリギリまで撮影することができるのだ。

「へその緒プロジェクト」は今、全国の医師、研究者、メディアの方々の協力
を求めて、日々アプローチを続けている。これまで何の接点もなかった皆さんに、
「へその緒プロジェクト」の趣旨とカネミ油症事件との関りを伝え、アドバイス
を求めている。「私にできることなら・・」とご返事をいただけると、正直嬉しい。

 毎日、”小さな奇跡“に一喜一憂しながら過ごすことを大切にしたい、と思う。
               
                        映画監督 稲塚秀孝

「へその緒プロジェクト」通信⑧

  映画「母と子の絆~カネミ油症の真実」製作と
 「へその緒プロジェクト」推進の150日の並走が始まった!

  昨日1月27日(土)朝日新聞首都圏版、 朝日新聞デジタルの記事をご覧いただきたい。

  朝日新聞西部本社の伊藤隆太郎記者が2カ月間かけて取材していただいた
 記事が掲載されている。
 既に全国に宅配されている1月28日付けの「しんぶん赤旗日曜版」に私が
 寄稿した記事とリンクして、「へその緒プロジェクト」始動のマニフェストと
 なっている。

 ちなみに「しんぶん赤旗日曜版」に見出しタイトルは、
 「“毒の油”口にした母は病に 被害は生まれた子や孫まで」
と担当記者が付けた。
 一編の短歌のような、詩の一節のような表現は、見事言うほかはなく、
 記者の了解を得て、この初夏に出版予定の本の目次を飾ることになる。
 この言葉群に漂うのは、1968年(昭和43年)のカネミ油症事件発生した、
 ”昭和の匂い“ではないだろうか?

 「へその緒プロジェクト」を前へ進めるために、今 全国の医師、研究者、ジャー
ナリスト、メディア(新聞・放送ほか)、代議士の方々に連絡を取り、協力をお願いし始めて
いる。2月末までに、20名のボードメンバーを定めるつもりだ。

 1月13日の三者協議(福岡県第2合同庁舎)終了後のぶら下がり記者会見で、厚労省
の担当官は、何度も「カネミ油症被害者」へ救済に向けた「ロードマップ」を作成する、と言っ
たが、“いつまでに”とは一切語っていない。

 私たちは「へその緒プロジェクト」は認定・未認定の峻別を許さず、まだ名乗り出
ていない被害者(“毒の油”口にした母と生まれし子や孫まで)の全員救済と国と九州大学油症治
療研究班らの”不作為“ を糾すための“ロードマップ”を2月末までに作成する決意を固めている。

 次回油症対策会議(九州大学油症治療研究班主催)は6月21日(金)、三者協議
(カネミ油症被害者全国連絡会、国=厚生労働省・農林水産省、カネミ倉庫)は、6月22日(土)までに、どこまで閉塞状況を突破できるか。どこまで迫れるのか。そこに「へその緒プロジェクト」とこのドキュメンタリー映画における告発の行方がかかっている、試されていると言っていい、と考えている。            
                     映画監督    稲塚秀孝

岩村定子さんからのコメント

へその緒プロジェクト協力者 岩村定子さんからコメントを頂きました。
今日の朝日新聞デジタルにも関連する記事が載っています。
関連投稿:●岩村定子さんの想いは深く!1月10日)
     ●「へその緒」を預かりました1月8日)

  「へその緒プロジェクト」通信⑦

    厚労省と九州大学油症治療研究班の”関係性” 
 ~第22回三者協議から読み解く(3)~

  1月12日「油症対策委員会」に続いて、翌日1月13日朝9時30分から
  「第22回三者協議」が福岡県第2合同庁舎内で開かれました。

   三者協議のメンバーは、
  ◆国(厚生労働省、農林水産省)
   ◆カネミ倉庫(「カネミ油症」原因企業、カネミオイル製造会社)
  ◆被害者団体「カネミ油症被害者全国連絡会」
  全14団体のうち、この日は9団体が参加した。

   前回の通信⑥で書いたように、この日の三者協議にカネミ倉庫加藤大明社長は、
 体調不良を理由に欠席した。昨年6月に加藤社長が発言した
 「政府米の保管で余剰金が約1億円あり、被害者団体が求めるなら、支払う用意が
  ある。但し、農水省の了解がいるかも」
  と話していたことから、全国連絡会は農水省の担当者に迫った。担当者は
 「カネミ倉庫が毎年診療費を被害者に払い続けられるのか?見届けてゆく必要があり、
  余剰金に手を付けることは考えていない」
  全国連絡会側は、
 「ではカネミ倉庫がもしも経営不振に陥ったら、、国が肩代わりすることになるのか?」
  と質問しても、
  「仮定の質問には答えられない」「今後検討する」
  など曖昧な答弁を繰り返しているうちに、何の回答も方針も示されないまま、
  三者協議は12時30分過ぎに終了となった。

    前回の通信⑥で書いたように、この日の三者協議にカネミ倉庫加藤大明社長は、
  体調不良を理由に欠席した。昨年6月に加藤社長が発言した
 「政府米の保管で余剰金が約1億円あり、被害者団体が求めるなら、支払う用意が
  ある。但し、農水省の了解がいるかも」
  と話していたことから、全国連絡会は農水省の担当者に迫った。担当者は
 「カネミ倉庫が毎年診療費を被害者に払い続けられるのか?見届けてゆく必要があり、
  余剰金に手を付けることは考えていない」
  全国連絡会側は、
 「ではカネミ倉庫がもしも経営不振に陥ったら、、国が肩代わりすることになるのか?」
  と質問しても、
  「仮定の質問には答えられない」「今後検討する」
  など曖昧な答弁を繰り返しているうちに、何の回答も方針も示されないまま、
  三者協議は12時30分過ぎに終了となった。

   その後記者会見(いわゆるぶら下がり会見)が会議室で行われた。
  ここでも「余剰金の処理」に関してメディアの記者から質問が出たが、
  農水省の担当者の回答は同じ文言を繰り返すばかりだった。

   私は厚労省の担当者に質問を試みた。
  「カネミ油症のドキュメンタリー映画製作中のタキオンジャパン稲塚です。
  厚労省と九大油症治療班の関係性についてお聞きしたい。
  昨日油症対策員会後のぶら下がり会見で、辻班長は、油症班はデータを提
  出するが、認定基準の見直しや診断基準などについての提案をする立場になく、
  あくまで厚労省に資料を提出しているだけで、発言権は持っていないと
  おっしゃっていましたが、ざっくりと言うと厚労省と油症治療班の関係性は
  どうなっているのですか?」

   記者の皆さんの関心は、まじかに記事を掲載するために、何がこれまでと
  違うのか?何が始まるのか、始まらないのかなど、身近の興味と関心を呼ぶ
  ための質問となるのは止むを得ない。その点私はやや中長期的な視点で聞こう
  と考えたのである。

   厚労省の担当官は、あっさりと認めた。
  「九大の油症治療班が集め、まとめられた資料をいただいて、今後の政策を
   どのようにするか、予算を付けるのかは、私達厚労省の判断と役割だと
   考えています」

    つまり長年カネミ油症被害者と向き合い、検査を行い、被害者の苦悩や
   要望を知りうる九大油症治療班には、何ら問題解決ができない、と言って
   いるのである。全国連絡会の方々は、今も九大油症治療班に期待感を抱いて
   いるにも関わらずである。

    厚労省の担当者は、最後に
   「本省と油症治療班はそれぞれの役割分担によって、被害者の方々と向き合っていきます」
   と話したが、私にとっては
   「それは後の祭りでしょ」
    と思わざるを得ませんでした。

                          タキオンジャパン 稲塚秀孝