すべてのカネミ油症被害者救済へ㉕

 ~「へその緒プロジェクト」アクションの原理~

 2017年「憲法を武器として~恵庭事件 知られざる50年目の真実」を製作・公開しました。来る3月1日「第65回文京上映会」を東京・文京区民センター3C会議室で行います。これまでコツコツと年間10回程度上映会を続けてきたのです。

 恵庭事件は1962年北海道恵庭町(当時)の酪農家の兄弟が、自衛隊の騒音被害に抗議して、基地内の”送信線“を切断したことで、自衛隊法121条で起訴されました。40回に及ぶ札幌地裁の公判で、判決は兄弟は無罪が確定しました。その裁判に関わった北海道大学の深瀬教授は、「恵庭事件の闘いは、“理論・弁論・世論”が重要だ」と話しました。私はこの深瀬教授の言葉が大好きです。

 カネミ油症事件を取材する中で、「へその緒プロジェクト」が立ち上がり、先日「へその緒検査」によって、カネミ油症被害者のお子さん3名のダイオキシン類数値が極めて高いことが立証された、という記事が全国で流れました。「へその緒プロジェクト」の中で、私が担うのは”弁論“の一部と”世論“の担当と考えています。

 2月6日参議院議員杉尾秀哉議員の事務所で、カネミ油症事件と向き合う、厚生労働省の課長補佐らと面談し、1968年(昭和43年)10月22日に厚生省環境衛生局食品衛生課長が各都道府県、各指定都市の衛生主管部宛に送った「米ぬか油によると思料される食中毒事件の患者の診断について」という名の文書を受け取りました。手書きの文書とガリ版刷りの計3枚です。

 そして今、1月30日に厚労省の担当者に送った再「要請書」の返事を待っているところです。2月14日に”督促“したところ、2月20日に「返事は今しばらく待ってほしい」と連絡が来ました。とても”大事な回答”となりますので、お待ちしようと思います。

 いずれにしても57年前に「カネミ油症事件」を巡って、何が起きていたのか?すべてのカネミ油症被害者救済のために、何ができるのか?とても大事な局面を迎えつつあると認識しています。近々メディアの方々に何を伝え、何を国民の方々に届く情報とできるのか?しっかり”弁論と世論“に向き合いたいと思います。

                             映画監督       稲塚秀孝

すべてのカネミ油症被害者救済へ㉔

 ~助産婦60年の方から聞く~

 先日からこのHP上で、「母と子の絆~カネミ油症の真実」のダイジェスト版(35分)DVDを希望者に無料配布しています。結構の反応があるようです。

 今日はそのお一人の方と話しました。福岡在住、助産婦歴60年。連絡のあった電話番号にかけると、「おっぱい110番」の文字が出てきます。30万人の“おっぱい”を診てきたのだと言います。母乳で育てる大切さを皆さんに伝えているが、カネミ油症のような事が起きてしまったら、母子ともに危機に陥ることになる。

 幾つか大事なお話が聞けた。最近の母親は「へその緒」を保存・保管しないそうである。かつては赤ちゃんから「へその緒」が取れたら、桐の箱に収め、母親に渡すのが常だったのだが、今はへその緒を付けたまま、退院してしまうため、へその緒を消毒して遺す習慣がないらしい。また「人工栄養」は、母乳に近づけるため、さまざまな添加物が入っているという。とすると、ますます「へその緒プロジェクト」の果たす役割は大きい、と言えそうだ。
                                映画監督    稲塚秀孝

すべてのカネミ油症被害者救済へ㉓

 ~製作委員会への投稿から~
 先日から「全国の医学系、薬学系で指導されるみなさまへ」という文を映画HPの冒頭に掲げています。映画のダイジェスト版(35分)DVDをお送りするので、講義などで活用していただきたいという告知です。既に一部の医師の団体、学会へもお願い文を送っているところです。

 そうすると、こんな投稿が届きました。
「え、映像製作会社がDVDを無料配布しているんですか・・・。こういう事業に科学研究費(国の予算)を使うべきだと思います。カネミ油症について、教育することは大切だと思います。」

 またこんな投稿も・・・。
「公害や薬害は、ジャーナリズムが取材するのは非常に大事です。厚生労働省や文部科学省の予算で、公害・薬害に関する教材を、民間の報道機関や患者団体等に委託し、製作させるというのは、政策合理性があります。科学者がむだづかいしている科学研究費は、いっぱいあると思います。それを削って、製作委員会さんに回せばいいのです。」

 心強い、まっとうな“投稿”をお送りいただき、感謝いたします。既にDVDのコピーは60枚ありますので、どうぞお申込み願います。
送り先住所、お名前、活用される学校、企業等を書いて下記メールアドレスで稲塚まで・・お待ちしています。
 nazuka@takionjapan.onamae.jp
inazuka@takionjapan.onamae.jp  
                            映画監督        稲塚秀孝

すべてのカネミ油症被害者救済へ㉒


 ~北の観客は・・・~
 昨日は北海道函館市内で「母と子の絆~カネミ油症の真実」上映会を行いました。他の作品と共に、2回上映して、40名の観客の方々にご覧いただきました。70代男性のアンケートでは、「まだ、続いていたとは!原爆被災者も、水俣病も同じく、認定基準を勝手に作り、認めないことが、国の厚生行政の歴史!」と書き、かつてカネミ油症被害者支援活動を行っていたと話してくれました。

 中年以上の世代に交じって、地元函館西高校3年生の男性が1人、母親と一緒に観てくれました。まもなく卒業すると、千歳市の看護大学に通うと言います。高校でバレー部だった、185センチの寡黙な若者のこれからに期待したいと思います。

 なお今朝の熊本日日新聞には、「水俣病と重なる問題」と見出しに掲げた記事が掲載されていました。これから、水俣病とカネミ油症との”連携”を深めてゆきたいと、思います。

      映画監督     稲塚秀孝

すべてのカネミ油症被害者救済へ㉑

 ~全国へ伝える~
 映画「母と子の絆~カネミ油症の真実」を製作したキッカケは、カネミ油症被害者の実態を全国に伝える、という事でした。劇場公開、各地の上映会と共に、高校・大学での講義での活用も本格的に始まっています。カネミ油症事件を知る60代以上のみならず、若い世代にも伝えたいと考えています。

 一昨日、共同通信から全国47紙他の媒体に記事配信がありました。現在下記の新聞に記事掲載が行われました。
共同通信(2月13日配信)記事掲載の新聞社名(順不同)
茨城新聞、中国新聞、長崎新聞、中日新聞、福島新聞、岩手新聞、
北日本新聞、大分合同新聞、神戸新聞、福島民友新聞、高知新聞、
山陰中央日報、新潟日報、東京新聞、日本経済新聞、デイリースポーツ、
下野新聞、佐賀新聞、西日本新聞、奈良新聞、日本海新聞、
河北新報、沖縄タイムス、北海道新聞、日本経済新聞 (2月14日現在)

 記事の骨子は、長崎県五島市奈留に住む、岩村定子さんの3人のお子さんのへその緒のダイオキシン類の数値が、通常より高いことが明らかになった。抑制気味に、しかししっかり伝えて下さったことに感謝です。今後様々な角度からの記事アプローチを期待しています。
                            映画監督    稲塚秀孝