~厚労省への再「要請書」の回答~
昨晩(3月19日)厚生労働省健康・生活局総務課指導係の担当者から、「へその緒プロジェクト」が1月30日に提出した再「要請書」に対する回答が届きました。
本日から、速やかに回答内容を精査し、今後の対応を検討したいと考えています。まず見た限りでは、母体から胎児へ毒性物質が移行している事実は認めている(官僚用語で「承知している」)が、現在の”診断基準“なるものに照らして、無視されている、あるいは反応していないことが明らかです。
その細部に渡って、見解を糺すのが次のステップではないかと思われます。 とにかく近日中に、”次のステップ“を明らかにしたいと考えています。ここは「へその緒プロジェクト」にとって、”正念場“であると思います。
また一方、すでにカネミ油症被害者から預かっている「へその緒」に加え、新たに思いがけない被害者からのへその緒が「カネミ油症被害者支援者」の元に届いているとの情報が届きました。ぜひこの件も、今後に生かしたいと思います。
映画監督 稲塚秀孝
投稿者: inatsuka
すべてのカネミ油症被害者救済へ㉜
~年度末→新年度へ~
公的機関及び民間会社で今も使われる年号について、もう西暦に変更して欲しいとつくづく考える。今年は”昭和100年“というが、昭和世代の私は、昭和○○年に25を足すと19○○、20〇〇となるので、使い分ける。そして年度制度(4月から来年3月までが一区切り)についても、あるべきか否か?考えてみる。
本日2025年3月16日は、令和6年度(2024年度)の残り2週間となっている。今、次回作品の編集の合間に進めているカネミ油症に関する国会質問案については、数日前厚労省担当者から連絡がきた。
「遅れている再『要請書』に対する回答は、来週中にお送りします」と、1月30日に提出したのだから、約2か月が経過、おそらく”年度内に(回答)処理“しようと考えているのだろう。
いずれにしても、その回答を見て、最終的に国会での想定質問を固めて行こうと考えている。“機は熟した“となるのだろうか?
映画監督 稲塚秀孝
すべてのカネミ油症被害者救済へ㉛
~「へその緒プロジェクト」に新たな視点~
昨日、博多市内で平田喜代美さんのお話を伺った。”目から鱗“とはこのことだと思った。平田さんは助産師を1965年に九州大学付属助産師学校を卒業後、60年間助産師を続け、今は「おっぱい110番」(平田母乳育児心療所)を行っている方だ。3週間前に「母と子の絆~カネミ油症の真実」ダイジェスト版に関心を持ち、ご連絡をいただいた。
以前は街には助産師さんがいて、妊婦の相談を受け、自宅分娩のサポートをしていたのだが、今は産婦人科医院で出産するのが大半で、しかも母乳で育てるよりも“人工ミルク”に頼る。平田さんは「母と子の絆」こそ、母親から母乳によって栄養をお子さんに与えるのが”基本”と説く。
そして今では、胎盤、臍帯血、へその緒までも“資源”として売買されているのが現状という。「母乳バンク」もあるという。古来から日本独自の文化・風習となっている「へその緒」保存は今では、”風前の灯“になっているともいわれる。
一方「カネミ油症事件」では、ダイオキシン類の毒性物質が母乳から胎児に移行していたこと(40%という研究成果)により、次世代の子や孫に油症被害が広がった事実がある。取材の中で、ある母親は「油症により、途中から母乳から人工ミルクに変えた」というインタビューも得ている。そこで今一度整理してみたいと思う。
- 食生活において、食品の”安心・安全“に取り組む。
- 母は、長くても2年以内は、母乳で育てる。“母乳の大切さ”を再認識する。
- お子さんを産んだのち「へその緒」(生後1週間後)を確保・保存する。
「へその緒プロジェクト」は、カネミ油症被害がお子さんやお孫さんに及んでいる現実を明らかにし、被害者救済への”道しるべ“であると考えているが、さらに今回は「へその緒」を取り巻く道筋についても提案してゆくことに気付かされた。
映画監督 稲塚秀孝
すべてのカネミ油症被害者の救済へ㉚
~「へその緒プロジェクト」推進の根拠~
「へその緒プロジェクト」構想が始まったのは2023年秋。一つは宮田秀明さん(摂南大学名誉教授)の打合せ・インタビューで「カネミ油症の母親から胎盤を通して胎児にダイオキシン類の毒性物質が移行するのは確実で、生まれたお子さんのへその緒を調べることで証明できる」という言葉でした。
そしてもう一つは、2021年から取材してきた岩村定子さん(長崎県・奈留)の長男、満広さん(1973年、生後4か月で死亡)の重篤な症状(チアノーゼ・口唇口蓋裂他)をお聞きし、同年11月に梶原淳睦さんとの電話でした。梶原さんは、2013年当時、満広さんのへその緒を検査したが、「カネミ油症由来ではなく、へその緒に農薬が振りかかっている」という返事が来ており、岩村さんは”農薬は身に覚えがない“と憤っていたのです。
「へその緒検査」を民間の複数の会社に依頼し、断られ続けた結果、2024年1月「へその緒プロジェクト」を立ち上げ、その夏ようやく民間の2社が協力することになり、検査結果が10月に出たのです。
九州大学油症治療研究班は、国(厚生労働省)から多額の治療研究費を得て、2年ごとに報告していました。「福岡医学雑誌2009年5月号」には、こちらのへその緒検査の記録が掲載されています。この記録では、カネミ油を食べた親から13年以内に生まれたお子さんにはダイオキシン類の毒性物資の影響が現れている、と書かれています。
しかし国と九大はその後、へその緒検査研究を中止したまま、15年が経過しているのです。なぜ止めたのか?そこには何らかの”疑惑“を考えざるを得ません。今「へその緒プロジェクト」では、途絶した「へその緒検査」研究の再開、続行を厚生労働省に訴えており、「要請書」を提出して、回答を待っているところです。2025年度予算は、参議院での審議に移りました。ぜひ国会質問に繋げたいと考えているところです。
映画監督 稲塚秀孝
すべてのカネミ油症被害者救済へ㉙
~次のアクションへ準備~
国会上映会(参議院議員会館講堂)を行ったのが1月28日。上映会後のトークは、川田龍平議員、カネミ油症被害者全国連絡会三苫哲也事務局長、カネミ油症被害者矢口敏子さん、摂南大学名誉教授宮田秀明さんで行われた。
2月6日には参議院議員杉尾秀哉事務所で厚生労働省生活・衛生課の課長補佐ら3名の担当者と話し合いが行われた。
★参考資料:(厚生省通知)環食第8393号
米ぬか油によると思料される食中毒事件の患者の診断について.
そして1月30日に厚生労働省へ提出した再「要望書」の返事を待っている段階となった。
続いての道筋は何か?国会での質問に移ることだと考えていて、今その質問のための資料(台本)を作成しているところである。3月中、若しくは4月には実現にこぎつけたいと思う。
映画監督 稲塚秀孝
すべてのカネミ油症被害者救済へ㉘
~やはり福岡・博多から始まる~
昨日博多に入り、医師の皆さんの組織の方とミーティングが始まった。57年前にカネミ倉庫製のダイオキシンが混入した毒の油を食べた人は、どれほどいたのだろうか?数万か?数十万か? 分からないが驚くべき数字であることに間違いない。
国(厚生省・当時)と九州大学油症研究班(当時)が何らかの”結託”をして、食中毒の取り扱い”逸脱”して、独自の(勝手な)”診断基準”に基づいて、被害者を認定・未認定と分断した。カネミ油症の十数年前に熊本県水俣で発生した「水俣病」に倣い、”被害者を抑える工作”があったことは明らかだ。先日厚生労働省の担当者から届いた一通の文書。それは当時(1968年10月22日)厚生省の担当者から都道府県の生活衛生課の担当者に送られた手書きとガリ版刷りのチラシに明らかなのだ。
朝日新聞福岡県大牟田支局の記者が「奇病発生!」と書いた1968年10月10日夕刊から2週間も経過していないことに驚く。カネミ油症を把握しながら、国と九州大学の医師たちは、以前から事態を把握し、協議を重ねていたことの“証左!”がここにある。
福岡県北九州市小倉、カネミ倉庫製の油が原因で起こったカネミ油症事件。57年経過した今だからこそ、今から始まる“事件解明”の道はこれから開かれるのかもしれない。
映画監督 稲塚秀孝
すべてのカネミ油症被害者救済へ㉗
~やはり、“実効性”が物事を動かす~
このHPの構成・管理をお願いしている森さんが、2週に渡って、広告出稿をしてくださった。その結果、多くの方々が、映画ダイジェスト版DVDに関心を持ってくださっている。今週に入り、数枚のDVDを郵送できる運びだ。
明日夜一旦帰京し、3月1日は」「憲法を武器として」第65回文京上映会、2日は「母と子の絆~カネミ油症の真実」の文京上映会が続く。そして3月3日は福岡へ。
いよいよカネミ油を食べて、今なお未認定とされる方々に改めて診断を受けていただき、当該保健所へ申請するためのアクションに着手する。
一つ一つ実現に向け、”実効性“を上げてゆく。「へその緒プロジェクト」の成果をメディアの皆さんに強く伝えることは、これからが”本番“である。
厚生労働省からは、再「要請書」の返事がまだ届かない。3月になれば、2回目の“催促”に取り掛かる。いずれ皆さんに伝えてゆきたいと、思います。
映画監督 稲塚秀孝
すべてのカネミ油症被害者救済へ㉖
~「へその緒プロジェクト」アクション原理Ⅱ~
作家 佐藤泰志「市街戦のジャズメン」の函館ロケから昨晩戻り、今日は6月末実施の「苫東映画祭」のため、滝川映画サークルの谷本代表にご挨拶。道の両側は雪山だが、東北・北陸の日本海側ほどではない。先日のさっぽろ「雪まつり」も雪不足と言われたらしい。
昨晩「御上先生」第6話を2回(ティーバ)観た。昨夜遅くと今朝と。”まっとうなドラマ“で見ごたえがある。御上先生の過去の秘密について語る場面、ある女性とは、「授業の範囲内で納めようとしたら、許さない」というセリフが耳に残った。脚本も良く練られていて、この”冬ドラマ“で一番だと思う。「授業」は、「国(厚労省)や九州大学ら医師と研究者」とも言い換えられると感じた。
「へその緒プロジェクト」はそもそも、長崎県五島市奈留に住む岩村定子さんのお子さんのへその緒検査から始まった。今から12年前に九大と福岡県の研究所に託した長男(1973年生、生後4か月で死去)のへその緒にダイオキシン類が含まれていれば、と託したが、結果は“へその緒に農薬が降りかかった疑い”あり、とFAX2枚と残された微量のへその緒とむべもない”回答“だった。既に亡くなって半世紀が経つが、「カネミ油症被害者」と認めて欲しい、という”母の切なる願い“を叶えたいと、私は国内の民間研究会社、数社に当たったが、すべて断られた。諦めかけて昨年夏、民間会社2社が検査を承諾し、10月22日に膨大な検査資料が届いたのである。
九大は2009年発表の報告書(国の予算で研究した)で、カネミ油症被害者とお子さんのへその緒の数値は、”毒の油”を食べてから13年後まで、影響が出ると明らかにしたが、その後研究は途絶えた。だから「へその緒プロジェクト」を立ち上げたのである。
来週から九州・筑豊に取材に入るが、1960年初頭、「大正行動隊」(中間・大正炭鉱の労働者)のテーゼは、
◆「やりたいものが、やる」
◆「やりたくないものは、やらなくていいが、やりたくないからと 言って、やりたいものの邪魔はしない」
私は学生時代から関わった”組織論”の中で、これが一番しっくりくる。私と数人で「へその緒プロジェクト」を始め、継続してゆこうと思います。批判は批判として、ぜひ新たな試みを始めていただきたいと切に願います。
映画監督 稲塚秀孝
国会上映会後のトーク動画
映画「母と子の絆~カネミ油症の真実」の国会上映会を1/28(火)に参院会館で催したことは既に以下の投稿でお知らせいたしました。
・新聞記事(北海道新聞)(1/29))
・すべてのカネミ油症被害者救済へ(1/30))
・新聞記事(東京新聞)(2/3)
上映会の後に行ったトークの動画をアップしましたのでご視聴下さい。


