すべてのカネミ油症被害者救済へ(66)

~原因企業「カネミ倉庫」をめぐる歪(いびつ)さ~

 高校時代に読んだ大江健三郎の小説に中で、いくつか印象深い言葉があったのだが、やはり最もインパクトがあったのは、”本当のことを言おうか”だったように思う。そして今、「カネミ倉庫」に関して、当てはまるのではないだろうか?整理してみると、
◆カネミ油症事件の原因はダイオキシン類で、「カネミ油」(カネミ倉庫製)によることは明白である。
◆1968年春ころから、ダイオキシン類が混入した「カネミ油」を口にした、福岡・長崎ほか、西日本一帯の消費者家族が被災している。
◆現在医療費補助は「カネミ倉庫」(原因企業)が行っており、その原資は国(農林水産省)が政府米の保管(倉庫業として)料が充てられている。
◆「カネミ倉庫」の経営状況が危ぶまれているとの情報がある。加藤社長の健康不調により、「三者協議」(半年ごと)に数回欠席しており、議事が滞っている。

 いま国は当然のこと、カネミ油症被害者、支援者、その周りの人々は、「カネミ倉庫」の今後の動向に関して、”息をひそめ”たまま、全く触れようとしていない。しかし遠くない未来において、溜まりに溜まった”漿液”は皮膚を破って流れ出すに違いない。

 カネミ倉庫は一民間企業であり、その民間企業の盛衰にカネミ油症被害者の”命と健康”が委ねられているという”歪な状態”がいつまでも続くわけがないからだ。ぜひ”漿液”が破裂する前に、手を打たなければならない。問題は簡単ではないが、もう気づいている方々と力を合わせたいと思います。
     
                                              映画監督 稲塚秀孝

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