~カネミ油症の現在・過去・未来~
6月13日、九州大学油症治療研究班主催の「油症対策会議」に参加しました。開始は14時から、博多駅博多口側の9階の奥の奥、最初のドアは閉じていて、横の通用口からくねくねとした道を進むと会議室4に辿り着きました。どう見ても参加しにくい会場でした。会議は3時間10分(予定は17時終了)。
本来の目的はカネミ油症治療・研究の成果を年2回発表する場です。もっともらしく並ぶ12の研究報告ですが、目を引くものはありません。会議場には厚生労働省の佐野隆一郎課長補佐と数人の職員も参加していますが、何故か被害者の方からの質問はなし。翌日の「三者協議」と会議のすみ分けができているのです。淡々と九州大学皮膚科 中原剛士班長の進行が続き、質問に対する慇懃無礼な言葉だけがうつろに響きます。報道としている顔なじみの記者と顔を見合わせながら、”収穫のない“時間の空費を感じました。
そして昭和の名曲♪「現在 過去 未来・・・」で始まる「迷い道」のメロディと歌詞が浮かんできたのです。何故なら前回の「油症対策会議」に比べ、すべてにおいて“後退”しているのです。カネミ油症の“現在”は確実に”迷い道“に入っています。
「母と子の絆~カネミ油症の真実」では86分間の中で、十数人の被害者の証言、研究者・医師のインタビューを試みました。一定程度の”過去“を明らかにし、”未来”に向けた方向性を出せたと思っていましたが、これではまるで先が見えません。
一方、カネミ油症被害者の”疲労感””徒労感“をひしひしと感じました。さてどう打開してゆくか?ここから”未来のステージ”開幕したいと思います。
映画監督 稲塚秀孝