~被害者の仲間の絆の深さを伝えたい~
今年3月に亡くなった岩村定子さんは、長崎県五島市奈留に生まれ、生きた75年だったのです。そして同じ奈留に生まれ、同じ時期にカネミ油を食べた仲間の皆さんの”支柱”のような存在だったと思います。
ここまでお互い励まし合い、勇気づけてきた方々、それは「カネミ油を食べて、10年以内に生まれた子どもには、ダイオキシン類の影響が大きい」という元九州大学油症治療研究班、古江増隆班長からの言葉を一緒に聞いていたのです。岩村さんは、「母と子の絆~カネミ油症の真実」の取材で、「古江班長は後に、『僕はそんなことを言ったかな』ととぼけたと言い、その憤りを露わにしていたのです。
母体から胎盤を通して、ダイオキシン類の”毒性物質“が移行することは、明白な事実にもかかわらず、国・厚生労働省と九州大学は認めようとしない現実がある。「長男満広(生後4か月で死亡)が“カネミ油症由来”だったことを墓前に伝えてやるのが親の務めだと思う」と何度も訴えていた岩村さんの”無念“をどう晴らしたらいいのだろうか?
この国の”不条理“を一つでも”潰していきたい“私はただ、そう思うだけです。
映画監督 稲塚秀孝
追記)昨日(5/17)の毎日新聞記事を転載します。(許可を得ています)
