~「へその緒プロジェクト」から~
昨年1月福岡市内で「へその緒プロジェクト」を立ち上げ、地元のメディアの皆さんが参加して「記者懇談会」を開きました。映画「母と子の絆~カネミ油症の真実」の製作中に並行して活動開始した取り組みでした。
3月20日に亡くなった岩村定子さん(長崎県五島市奈留)からお借りした故 満広さん(長男)の「へその緒」を記者の方々に見ていただき、宮田秀明さん(摂南大学名誉教授)、藤原寿和さん(長年カネミ油症事件支援活動に取り組み、当映画のプロデューサー)が、「へその緒プロジェクト」のお話をしました。
私は岩村さんの取材を通じて、へその緒検査を模索し、国内数社に交渉しましたが、全く相手にされなかったり、「へその緒」を託す寸前で断られたりを繰り返していました。
「記者懇談会」の日の午後、九州大学油症治療研究班の辻学班長(当時)のぶら下がりである記者が「へその緒検査をするべきでは?」と尋ねていただきましたが、辻班長は「へその緒を調べても意味はない」とにべもない返答でした。
その後6月に検査会社が見つかり、岩村さんの3人のお子さんのへその緒検査を託し、10月に検査結果が出ました。ダイオキシン類の数値は高いものでした。11月からメディアの皆さんにもお伝えし、12月には厚労省健康・生活衛生局に「要請書」を提出し、今年1月20日に回答が届き、1月30日に再「要請書」を提出し、3月19日(岩村さんが亡くなる前日)に回答が届きました。
そこには「母体から胎児に毒性物質が移行することは承知している」と書かれています。ただ胎児から排出されるから検査の対象にしない、という内容でした。ただそこには一切移行する割合とか、数値は書かれていません。当方は過去の月森報告書などから、臍帯血及び胎脂では、母体から40~50%が移行していると確認しています。ですからすでに医師や研究者では“常識”になっているのです。
「へその緒プロジェクト」では、再々「要請書」作成の準備に入り、4月半ばをメドの厚労省の担当者に送る予定です。また今年6月13日(金)には「記者懇談会」を福岡で開催しようと考えています。詳しくは改めてこのHP上でお伝えしたいと思います。
映画監督 稲塚秀孝