~厚労省へ!再々「要請書」提出の準備~
3月19日夕方、厚生労働省健康・生活衛生局の担当者から回答が届きました。1月30日に提出した
再「要請書」に対する再回答です。
これまでの応答内容を下段に掲載しましたので、皆さん、じっくりご覧ください。私の第一印象は「えらい”雑な対応“だな」でした。
まず相手(へその緒プロジェクト)を納得させることはどうでもいい、ただただ”壊れたテープレコーダー“(本当だろうか?)のような、漫然とした繰り返し文章。TBS「御上先生」でも紹介された典型的な官僚用語である、”承知している“。こっちは何も承知していない、のである。
4月10日をメドに、再々「要請書」を提出することの方針を立てました。”ネバー・ギブアップ“精神で行きます。またご報告いたします。
映画監督 稲塚秀孝
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【厚生労働省健康・生活衛生局との応答内容】
厚生労働省 健康・生活衛生局
総務課 九十九 悠太 課長補佐さま
再「要請書」送付の件
昨年 12 月末に「母と子の絆~カネミ油症の真実」製作委員会・「へその緒プロジェクト」名で、3 項目の「要請書」を作成し、厚生労働省 健康・生活課宛に送り(黒字)、本年 1 月 20 日に回答をいただきました。(青字)
ここに再「要請書」を作成いたしましたので、お送りいたします。(赤字)改めて、ご返事をお待ちいたします。
2025 年 1 月 30 日
「母と子の絆~カネミ油症の真実」製作委員会
「へその緒プロジェクト」 代表 稲塚秀孝
① 国(厚生労働省)及び全国油症治療研究班、九州大学油症治療研究班は、速やかに「カネミ油症被害者」のへその緒検査を実施し、子や孫の健康被害に対し、医学的措置と補償を行うことを要請する。
「母と子の絆~カネミ油症の真実」製作委員会・「へその緒プロジェクト」より
(厚労省 回答)
臍帯のダイオキシン測定については、正確性、再現性、当時の正常値が無いなどの問題が有るため、カネミ油症の診断基準に含まれておらず、測定しても認定に活用することは困難であるものと承知している。
【再・要請)】
(1)現時点、ダイオキシン類の分析技術は、高精度で超微量分析が可能な高分解能ガスクロマトグラフ・高分解能質量分析計(HRGC/HRMS)と分析目的ダイオキシン類の内標準物質を使用して、へその緒に含まれるダイオキシン類の「再現性」の高い方法である。従って、「臍帯のダイオキシン測定については、正確性、再現性、当時の正常値が無いなどの問題が有るため」との解答は、現在可能な分析状況を無視したものと言わざるを得ない。再考をお願いしたい。
【上記に対する厚労省再回答】
〇カネミ油症の診断基準については、これまでも、研究班において、PCB 等の毒性に関する科学的知見や、患者の検診結果等の最新の科学的知見を反映した見直しが行われております。そして、診断基準を参考に、♛中のダイオキシン濃度のほか、患者の症状等を総合的に判断した上で、各自治体において、カネミ油症の認定が行われています。
〇油症認定患者である母親を介して児にダイオキシン類が移行する場合もあることは承知しており、診断基準にもその旨記載されていますが、全国油症治療研究班の調査研究において、
・ ダイオキシン類が胎脂、胎便等の形で、高濃度で胎児から排出されること
・ 個人差はあるものの、患者の子の♛中ダイオキシン類濃度は、親と比較しても大幅に低くなっていること
等も明らかになっています。
〇また、臍帯におけるダイオキシン類の測定は、全国油症治療研究班から、技術的には可能であると伺っていますが、既に上記の研究結果が得られている上に、臍帯の保存状況によっては、ダイオキシン類の測定にあたり、正確性、再現性などの問題があると承知しています。
(2)「当時の正常値が無い」について
カネミ油症発症当時、一般的に「胎児毒性」を考慮する毒性評価をしていなかったため、カネミ油症被害者からの出生児について、♛液検査は皆無であった。その後「胎児毒性」の評価が不可欠となっている。
胎児は、母体(成人)よりも化学物質の生体影響を 10 倍程度も強く受ける。また、化学物質は、形成段階の骨格、組織、臓器などに“暴露”するために、母体(成人)の場合と違って、これらの生体成分における生体影響をもたらす可能性が強い。このようなことを考慮すると、「胎児毒性」の観点において、カネミ油症原因物質であるダイオキシン類によるカネミ油症被害者の出産児に対する生体影響を評価することは、必須かつ不可欠である。
また、それぞれの出生児の「保存臍帯」は各家庭で保管されてことが多い。出産時から数年以内における油症被害者母体の 2,3,4,7,8-PeCDF ♛中濃度と出生児のへその緒に含まれる 2,3,4,7,8-PeCDF 濃度との相関を調査すれば、出生児における 2,3,4,7,8-PeCDF 暴露実態の評価が可能である。
上記のことから、へその緒を対象としたダイオキシン類分析の実施および油症認定基準値の設定を、改めて強く要請します。
【上記に対する厚労省再回答】
〇カネミ油症の診断基準については、これまでも、研究班において、PCB 等の毒性に関する科学的知見や、患者の検診結果等の最新の科学的知見を反映した見直しが行われております。そして、診断基準を参考に、♛中のダイオキシン濃度のほか、患者の症状等を総合的に判断した上で、各自治体において、カネミ油症の認定が行われています。
〇繰り返しとなりますが、①(1)での回答のとおり、油症認定患者である母親を介して児にダイオキシン類が移行する場合もあることは承知しており、診断基準にもその旨記載されていますが、全国油症治療研究班の調査研究において、
・ ダイオキシン類が胎脂、胎便等の形で、高濃度で胎児から排出されること
・ 個人差はあるものの、患者の子の♛中ダイオキシン類濃度は、親と比較しても大幅に低くなっていること等も明らかになっています。また、こちらも繰り返しとなりますが、臍帯におけるダイオキシン類の測定は、全国油症治療研究班から、技術的には可能であると伺っていますが、臍帯の保存状況によっては、ダイオキシン類の測定にあたり、正確性、再現性などの問題があると承知しています。
〇油症治療等に関する調査研究については、引き続き、当事者であるカネミ油症被害者全国連絡会からのご要望を伺いつつ、三者協議の場において議論していきたいと考えています。
〇なお、三者協議での議論を踏まえ、油症認定患者の子や孫といった次世代の方々の健康状態を把握するために、令和3年度から、全国油症治療研究班が「次世代調査」を実施しています。令和7年1月の油症対策委員会での研究班からの報告によれば、口唇口蓋裂とダイオキシンとの関係性について一定の専門的見解を求める必要があり、専門家を交えた議論を研究班において行う予定と承知しています。
② 国(厚生労働省)は、現在の認定制度基準(ダイオキシン類の♛中濃度、50 ピコグラム、1968 年 12 月 31 日現在の同居家族)を撤廃し、すべてのカネミ油症被害者の救済に着手することを要請する
(厚労省 回答)
カネミ油症の認定については、PCB 等の毒性に関する科学的知見や、患者の検診結果等の最新の科学的知見を踏まえ、認定が行われているものと認識している。
国としては、カネミ油症患者に関する施策の総合的な推進に関する法律に基づき、引き続き、カネミ油症患者に対する必要な施策の実施に努めてまいりたい。
【再・要請)】
「科学的知見や、患者の検診結果等の最新の科学的知見を踏まえ、認定が行われている」
ものとするならば、カネミ油症事件当初約 14,000 人が申請して、わずか6.2%(0.062)しか認められなかったことは何を意味するのか?申請者が嘘の申告をしたということか?
認定わずか6.2%という結果は科学的知見や、患者の検診結果等の科学的知見を踏まえた認定が行われていないことの証左に他ならない。
上記①で記載したように、油症被害者からの出生児は、母親よりも10倍程度も原因物質による生体影響が強いと推察されるだけでなく、母親よりも広範囲な生体影響による障害を受ける可能性が高い。換言すれば、出生児は母親より10倍程度低い原因物質暴露濃度でも、同程度以上の生体影響を受けることになる。従って、「胎児毒性」を考慮すれば、現在設定されている「油症診断基準値」は、科学的に不適切な設定値であると言わざるを得ない。
カネミ油症事件発症から57年を経過している。この長い経過期間を考慮すると、油症被害者の♛中ダイオキシン類濃度は、代謝排泄等により暴露当時よりもかなり低くなっている。この時間的低濃度化を考慮すると、以前(およそ 20 年前)に設定された「油症診断基準値」は、現時点の油症被害者に対して科学的に対応できるものではない。
この科学的実態を踏まえて、国(厚生労働省)は、現在の認定制度基準(ダイオキシン類の♛中濃度、50 ピコグラム、1968 年 12 月 31 日現在の同居家族)を撤廃・修正するとともに、油症原因油を摂取したすべてのカネミ油症被害者の救済に着手することを改めて要請します。
【上記に対する厚労省再回答】
〇診断基準については、カネミ油症患者に関する施策の総合的な推進に関する法律に基づく「カネミ油症患者に関する施策の推進に関する基本的な指針」にあるように、「今後とも、カネミ油症に関する調査及び研究の成果、検診の結果等を踏まえ、最新の科学的知見に基づいて随時見直しを行っていく必要がある」ものと考えています。
〇これまでも、PCB が高熱により変化して出来る PCQ や PeCDF についても、測定が技術的に可能となり、油症患者の♛中濃度に異常が認められ、濃度と症状に科学的な関連が認められることが研究班において明らかになるなどした段階で、診断基準に反映されてきたところです。
〇また、これらの♛中濃度については、全国油症治療研究班において、毎年の検診受診者の検査結果により、その推移を分析しているところと承知しております。
〇なお、①(2)での回答のとおり、油症認定患者の子については、母親を介してダイオキシン類等が移行する場合もあることから、油症認定患者の子や孫といった次世代の方々の健康状態を把握するための調査を令和3年度から実施しているところです。
③ 国(厚生労働省)は、1968 年当時カネミライスオイル(ダイオキシン類が混入した油)を食べた親から生まれた子や孫に「カネミ油症被害の症状」が診断された場合、「カネミ油症被害者」と認めることを要請する。
(厚労省 回答)
子や孫世代においてもカネミ油症の診断基準を踏まえて認定が行われていると認識している。診断基準に関しては、研究成果や検診結果等の最新の科学的知見に基づき、必要に応じ、研究班において見直しが検討されるものと承知している。
【再・要請)】
カネミ倉庫製汚染油を直接経口摂取していない子や孫世代に、直接経口摂取した第一世代を対象としたカネミ油症の診断基準を当てはめることにどんな科学的根拠があるのか、お示しいただきたい。
また九州大学油症治療研究班は、厚労省の担当部署に対し、診断基準の見直しを具申する立場にない、と辻 学前班長(2024 年 1 月 12 日「油症対策委員会」後のブラ下がり会見)は述べており、翌日行われた三者協議後のぶら下がり会見において、厚労省生活・衛生局原澤朋史課長補佐(当時)も辻氏の発言通りと述べている。
「必要に応じ、研究班において見直しが検討されるものと承知している 」との回答は現実と異なっており、我々を欺くものであると考える。
【上記に対する厚労省再回答】
〇①(2)への回答のとおり、油症認定患者の子については、母親を介してダイオキシン類等が移行する場合もあることから、油症認定患者の子や孫といった次世代の方々の健康状態を把握するための調査を令和3年度から実施しているところです。
〇繰り返しとなりますが、カネミ油症の診断基準については、これまでも、研究班において、PCB 等の毒性に関する科学的知見や、患者の検診結果等の最新の科学的知見を反映した見直しが行われており、これからも同様です。
〇なお、当時の辻学先生のご発言については、会見全体の中で、どのような文脈での発言であるか不明であり、見解を述べることは困難です。また、当時の健康・生活衛生局の総務課長補佐については、辻先生の発言内容が不明な中で、一般論を述べたものです。
※このくだりは映画「母と子の絆~カネミ油症の真実」内に収録されているので、ご確認いただきたい。