すべてのカネミ油症被害者救済へ㉞

 ~2025年3月20日を忘れない~

 本日3月20日、「母と子の絆~カネミ油症の真実」の取材で、最もお話を聞きに伺った岩村定子さんが亡くなった、と連絡がありました。享年75。私の一つ上の”姉“でした。

 4年前に初めて伺った時、カネミ油を食べた5年後、1973年、長男満広さんを生後4か月で失くしたことを話していただきました。
「あの子に何もしてやれなかった。あの子が”カネミ油症“だった事実を墓前に報告しないことには、死にきれない」が口癖になっていました。満広さんは、チアノーゼ、口唇口蓋裂、肛門不全、心臓疾患などの重篤な症状で生まれてきたのです。2015年、満広さんのへその緒を調べた九州大学油症治療班は、FAXで「へその緒には農薬が振りかけられた疑いがある」と返事をよこしたのです。

 昨年7月、映画製作と並行して立ち上げた「へその緒プロジェクト」では、岩村さんの3人のお子さんのへその緒検査を行い、10月末に民間検査会社から結果が届きました。3人ともダイオキシン濃度は通常の数十倍あったのです。

 岩村さんは昨年2月から、がん治療のため、入退院を繰り返していました。そこで結果は、入院中の病院に届け、電話で話していたのです。1月後半には、「厚生労働省から回答があり、今月28日には参議院議員会館で上映会を行います。国会議員の方々に見ていただき、行動を移したいと思います」

 1月30日に厚労省に送った、再「要請書」の回答は、2度の督促を経て、昨日3月19日に届きましたので、岩村さんに連絡しなければ、と考えていた矢先、訃報が届いたのです。岩村さんの“思い”を叶えることをできぬまま、私は残念であり、不甲斐ないと感じています。抗がん剤治療の苦しさに耐えながら、満広さんの墓前に報告したいと言い続けていた、岩村定子さんの口惜しさと苦しさを胸に刻みながら、「へその緒プロジェクト」は“答え”を出したいと思います。

                               映画監督      稲塚秀孝

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