すべてのカネミ油症被害者救済へ㉛

 ~「へその緒プロジェクト」に新たな視点~

 昨日、博多市内で平田喜代美さんのお話を伺った。”目から鱗“とはこのことだと思った。平田さんは助産師を1965年に九州大学付属助産師学校を卒業後、60年間助産師を続け、今は「おっぱい110番」(平田母乳育児心療所)を行っている方だ。3週間前に「母と子の絆~カネミ油症の真実」ダイジェスト版に関心を持ち、ご連絡をいただいた。

 以前は街には助産師さんがいて、妊婦の相談を受け、自宅分娩のサポートをしていたのだが、今は産婦人科医院で出産するのが大半で、しかも母乳で育てるよりも“人工ミルク”に頼る。平田さんは「母と子の絆」こそ、母親から母乳によって栄養をお子さんに与えるのが”基本”と説く。

 そして今では、胎盤、臍帯血、へその緒までも“資源”として売買されているのが現状という。「母乳バンク」もあるという。古来から日本独自の文化・風習となっている「へその緒」保存は今では、”風前の灯“になっているともいわれる。

 一方「カネミ油症事件」では、ダイオキシン類の毒性物質が母乳から胎児に移行していたこと(40%という研究成果)により、次世代の子や孫に油症被害が広がった事実がある。取材の中で、ある母親は「油症により、途中から母乳から人工ミルクに変えた」というインタビューも得ている。そこで今一度整理してみたいと思う。

  1. 食生活において、食品の”安心・安全“に取り組む。
  2. 母は、長くても2年以内は、母乳で育てる。“母乳の大切さ”を再認識する。
  3. お子さんを産んだのち「へその緒」(生後1週間後)を確保・保存する。

 「へその緒プロジェクト」は、カネミ油症被害がお子さんやお孫さんに及んでいる現実を明らかにし、被害者救済への”道しるべ“であると考えているが、さらに今回は「へその緒」を取り巻く道筋についても提案してゆくことに気付かされた。
                               映画監督      稲塚秀孝

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