すべてのカネミ油症被害者救済へ⑳

 ~全国の医学生・薬学生に伝えたい~

 映画「母と子の絆~カネミ油症の真実」が昨年8月20日に完成して、9月長崎県五島市奈留、福江、福岡市で試写会を行った。劇場公開は10月12日から始まったが、その前に摂南大学(大阪府)薬学部1年生220人に観てもらうことになった。女性が7割、18歳から20歳まで、上映後にアンケート用紙を集めてみると、「カネミ油症事件」を知らなかった、初めて映画で見た、と答えたのは、90%を越えていた。

 続いて12月に群馬大学医学部1年生200人が「医系の人間学」という名の講義の中で見てくれた。やはりここでも90%を越えていた。その後京都教育大学、大阪市内の高校から依頼があり、まもなく学生たちがダイジェスト版(35分)を見てくれる。

【参照を!】全国の医学系・薬学系大学で指導されるみなさまへ

 昨日久しぶりに昭和大学小児科学講座の加藤光広先生を訪ねた。最初に会ったのは、2007年、山形大学小児科でAADC欠損症の子ども2人を診察する時だった。生まれながらドーパミンやセロトニンを持っていない兄と妹は、首が座らず、母親がすりつぶした食事を流し込んでいました。ご家族の日常と医師や特別支援学校の生活を7年間撮影し、ついに食事は口からではなく“胃ろう”を通すことになっていた。
 2015年、自治医科大学で行われた“遺伝子治療”(脳に2か所穴を開け、そこから遺伝子を流し込む)が行われ、自力で車椅子を操作して、食事を口から食べるまでに改善したのだった。ずっと子供たちを診察し、見守って来た加藤医師は今、日本小児神経学会の理事長を務めている。18年前に山形で会った時と同じように、至極“まともで”“患者と向き合う“のままである。

 本題は全国の小児神経医が個人的に患者の症状を持ち寄って検討する”蔵王セミナー“が2月下旬にかみの山温泉で開かれ、加藤先生がダイジェストDVDを使う講義の希望を取ってくれることになったのである。全国に80か所強の医学部、薬学部がある。すべての大学で講義の中で、ダイジェスト版を視聴し、話し合うキッカケになることを願っている。
                   映画監督            稲塚秀孝

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