~メディアと研究者の怠慢と錯誤~
昨晩10月10日夜、福岡県北九州市黒崎駅前で「母と子の絆~カネミ油症の真実」2回目の勉強会が行われました。上映後、オンラインで来場者とお話ができました。
今回は北海道苫小牧市から参加。勉強会には、長年カネミ油症を研究し、その学識を披歴している研究者と地元新聞社の記者も参加していました。まず記者は映画の中で、何人の被害者に取材し、認定、未認定の方の比率などを聞き出そうとしますが、一言でいえば“ナンセンス”な問いかけに終始しました。
この映画では「カネミ油症被害者」とのみ表示し、国(厚生労働省)や九州大学が認定・未認定と被害者を分断し、大勢の被害者を放置してきた“事実”を弾劾しましたから、国や九州大学の無作為な策動に与するような”仕分け“には断固反対です。映画を観てもなお、そのことが分からないのかと感じ、残念を越えて失望しかありません。
一昨日、NHK福岡のスタッフから「メディアに所属する私たちは何を伝えたらいいのでしょうか?」というストレートな問いかけがありました。
「まず、自分の取材姿勢をきちんと見つめ、そのうえで、今伝えるべきことは何かを考えてほしい。そして一人の人間として、何ができるのか、行動に移してはいかがでしょうか?」と話しました。NHK内で番組企画を通すのは、至難の業ですが、彼女はラジオ番組で伝えたいと、その後のメールで知らせてきたした。私は“大賛成です”と答えておきました。
一方、半世紀近くカネミ油症研究をされてきた地元の研究者は、かなり錆びついたお考えと思いました。カネミ油症被害者の支援団体の申し入れがキッカケで九大の次世代の調査が進んでいると、平気で“楽観的な”考えを述べていました。今年6月の九大油症治療研究班では、歯の欠陥(永久歯の欠損等)について、あたかも研究の成果のように報告していましたが、それは今更な内容でした。九州大学油症治療研究班は、毎年数億円の研究調査費を厚労省から受け取り、半世紀に渡って“飼いならされたペット”に等しいと思います。
いよいよ明日から劇場公開が始まります。私は本日北海道から神戸へ移動いたします。神戸・元町映画館の来場者の皆さんには、映画をご覧になった後、“勇気と力”を発揮してくださるよう、“鼓舞”したいと考えています。
映画監督 稲塚秀孝