9/3西日本新聞me(webサイト)試写会紹介記事

カネミ油症のドキュメンタリー映画完成 10日、西南大で無料試写会


映画「母と子の絆~カネミ油症の真実」のチラシ「カネミ倉庫」が当時販売していた「ライスオイル(米ぬか油)」が入っているとされる瓶(左)と、映画に出演した認定患者と子どもをつないだへその緒(右)(写真の一部を加工しています)

 1968年に西日本一帯で被害が発覚した食品公害「カネミ油症」の新作ドキュメンタリー映画「母と子の絆~カネミ油症の真実」の試写会が10日午後1時半から、福岡市早良区の西南学院大西南コミュニティーセンターで開かれる。稲塚秀孝監督は「本来は食中毒として広く救済されるべき問題が、認定、未認定という枠組みに矮小(わいしょう)化された根本的な問題も問い直したかった。ぜひ足を運んでほしい」と話している。

 カネミ油症は米ぬか油(ライスオイル)にダイオキシン類が混入し、健康被害が出た事件。福岡、長崎両県を中心に油が流通し、発覚当初は約1万4千人が頭痛や手足の痛みを訴えたが、認定患者は2023年度末で2377人(死者を含む)にとどまる。

 稲塚氏は06年に手がけた記録映画「二重被爆」を長崎市で上映した際、認定患者と出会った。直後から関係者を取材し、本格的に映画化に取り組んだのは20年秋。20人を超える被害者に会う中で、2世の未認定問題を主題に据えた。

 先天性疾患「口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)」などの症状がある長男を生後4カ月で亡くした長崎県の認定患者の女性が、子どもへの被害が認められず、自責の念にさいなまれてきた苦悩を描いた。母親が摂取したダイオキシン類が胎児にどう影響したのか、専門家の証言を集めることにも力を注いだ。

 10日の試写会は入場無料で定員200人。86分の映画上映後、稲塚氏や油症被害者らのトークもある。その後は、全国で上映予定。問い合わせは、稲塚氏=090(3433)6644。

                            (記事転載の承諾を得ています)

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