~へその緒検査に着手、新たなステージへ~

6月20日、長崎県五島市奈留に住む岩村定子さんから、3名のお子さんのへその緒を預かりました。 既に通信において、6月22日の三者協議(福岡県合同庁舎)後の、ぶら下がり会見で厚生労働省健康・生活衛生局の原澤課長補佐にへその緒を示したことは、既報通りです。そして6月25日に京都にある検査会社の幹部の方と面談し、へその緒を託しました。その後、岩村さんにもお伝えしたところです。検査が速やかに行われるかは否かについては、7月1週まで待つこととなりました。
九州大学油症治療班は、へその緒を検査し。母体から胎児に毒性性が示唆したことは、2009年5月発行の「福岡医学雑誌」における2つの報告で明らかになっています。一つは長山淳哉准教授、検査技師の梶山淳睦氏(福岡県保健環境研究所)が関わったもの、もう一つは摂南大学 宮田秀明教授(現在名誉教授)のグループの報告です。さらに2013年頃には、故 月森清巳医師(福岡こども病院)らの研究報告で、母体から胎盤を経て胎児へ、かなり高い濃度で毒性物質移行の実態が明白になっています。
ここでいくつかの疑問が湧出いたします。
1. カネミ油症事件が明らかになり、「黒い赤ちゃん」が次々と生まれてきたことから、へその緒により、毒性物質の移行が推定されたにも関わらず、40年近く研究がなされなかったことは何故か?
2. 母体から胎児へ高濃度の毒性物質移行が明らかになって(2010年代)から、なお10年以上「へその緒」研究と検査が行われなかった理由は何か?
そして、カネミ油症研究と治療対策の責任者、班長が、皮膚科教授が代々担当しているのは何故か?(今年4月から、中原剛士皮膚科学教授が班長に就任)
今からでも遅くないので、へその緒については産婦人科他の分野の医師が前面に出るべきと思うのですが・・・。
まもなくこの映画は編集に入りますが、“一つ一つの疑問”を明らかにしていきたいと考えています。
映画監督 稲塚秀孝