「へその緒プロジェクト」通信㊾

 6月21日(金)九州大学油症治療研究班による「油症対策会議」は博多駅構内の会議室で開かれました。参加したのは、九州大学油症治療班メンバー、カネミ油症被害者全国連絡会のメンバー、報道は主に記者クラブ加盟社、厚労省メンバーです。

 今回早くから報道関係番組を制作してきたことをアピールし、会場内に参加することができました。前日午後、当日午前に渡り、「カネミ油症検討会議」(12名の報告)があり、この4月から班長となった中原剛士九州大学皮膚科学教授が司会を務め、前半は会議の報告と全国連絡会メンバーからの質問がありました。

 私たち報道関係者は、傍聴のみで録音・録画は禁止ということでした。頻繁に質問が出ます。
◆「へその緒」検査のよって、次世代の診断が行えると聞きますが、やるんですか?
◆国(厚労省)から年間いくら九大に支払われているのですか?
◆油症被害者に歯牙疾患が多いとありますが、一般の方との比較はできているんですか?

 しかし中原班長は「ごはん論法」のように、質問の意図をゆがめ、はぐらかし続けました。何一つ検討する、いついつまでに答えるなどの“言質”を与えません。休憩をはさんで3時間、「徒労に終わる会議」でした。

 疑問はいくつもあります。
◆年間国から降りる予算は2億2千万で、半分は全国で行う被害者(認定・未認定)健診、半分は研究費と言われますが、この金額では素人の私でも、治療研究はできないはずです。
◆1968年から56年、今も皮膚科学の意思が研究・治療の中心にいるのはおかしい。
 症状は「病気のデパート」と言われるほど多いのに、半世紀も皮膚科が独占しているのは、歪である。今回「へその緒」の重要性が指摘されたが、本来産婦人科医師が答えるべき。

 会議後のぶら下がりでは、長崎県五島市奈留の岩村定子さんからお預かりした3人分の「へその緒検査」を迫ったところ、
◆半世紀前のへその緒では、数値に信ぴょう性がないと考えられる、の一点張り。研究者・医師によると、すでに2015年まで、母体から胎児へ毒性物質は40%も移行していることが明らかになっており、”定説“である。

 本来、九大とこれまでタッグを組んできた公的施設、福岡県保健環境研究所及び北九州生活科学センターが検査をすべきである、中原班長には伝えた。

 翌日6月22日は「第23回三者協議」が福岡県合同庁舎内で開かれたので、次回お伝えしたい。

  映画監督 稲塚秀孝

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