
昨年12月に「へその緒プロジェクト」を考え始めて3カ月、1月に記者懇談会を開いて
メディアの皆さんにご案内してから2カ月が経ちました。
「カネミ油症事件」被害者の方々を救済するために、「へその緒プロジェクト」が喫緊の
課題であることは、このHPでも、2月末まで行ったクラウドファンディングでも周知して
きました。
私はテレビ番組を製作してきましたが、主に単発=スペシャルが多かった中、
テレビ業界では、レギュラー番組は3カ月=1クール単位で製作・放送します。
特に民間放送では、番組は3カ月ごとに継続するかどうかを判断します。
1992年10月に開始した「テレビ近未来研究所」は、6か月間製作・放送しました。
あるテーマについて、今後どのような経過と結果が起こるかを、まさしく近未来は
どうなるのか?を検証・考察する番組でした。某電機メーカーの1社提供の番組でした。
「へその緒プロジェクト」の次のクール(4月から6月)のテーマを次のように考えています。
1.母親がカネミライスオイルという毒の油を口にし、本人も辛い被害を受けた上で、
「へその緒」を通じて胎児(新生児)に毒性が移行(胎児毒性)していることを
明らかにしたい。これまで医師、研究者の方から、母親の毒性の25~40%が生まれてくる子に
移行していると、資料をいただいています。
この事実を受けて、現在カネミ油症被害者の認定基準(ダイオキシン類の血中濃度のみ)の
壁を突き崩し、未認定(子や孫世代など)の被害者救済に繋ぎたい。
2月半ば、カネミ油症被害者で高レベルのダイオキシン類が検出された方が、
50年前に亡くなったお子さんがカネミ油症由来であったとの申請を行い、
日本で初めて、被害者個人の申請として長崎県庁の担当課に受理され、返事を待っている
ところです。今後、多くの被害者の調査結果を基に、全国各地でカネミ油症である
”同時・集団申請“を行いたいと思います。
2.先日お聞きした男性の被害者は、翌年結婚した女性との間に2人の子どもが
生まれましたが、お二人には「カネミ油症」による被害が現れています。
母親はカネミライスオイルを口にしていません。
ということは、男性の精子に何らかの原因があり、受胎した後の「へその緒」を通じて
被害が現れたことになります。しかし、男性が原因という研究は行われていません。
新たなテーマが見つかったことで、調査を進めたいと思います。
3.なぜ、国(厚生労働省)と九州大学油症治療センターは“不作為”なのか?
そこに「カネミ油症事件」が未解決のまま放置された理由が隠されています。
PCBを生産した企業は、世界中に広がっており、国を越えた”不作為”がある可能性があります。
”不作為“の証明は容易ではありませんが、その糸口を掴みたいと思います。
次のクールは以上3点を軸に取材して参ります。
映画監督 稲塚秀孝