「へその緒プロジェクト通信」④

 へその緒プロジェクトをどのように推進してゆくか?
 今日は、何故へその緒の調査が途絶したかについて考察します。

 2009年福岡医学雑誌(九州大学カネミ油症治療研究班)の報告の中に、へその緒に関する2件があったことは既に書きました。報告に関わった宮田秀明摂南大学名誉教授は、もう一つの報告のリーダーだった長山淳哉准教授が間もなく停年退職されたから、と1月12日記者懇談会で話しました。

 私は国(厚生労働省)が九州大学側に「これ以上へその緒に触れるな」と圧力をかけたと確信しています。そう考える根拠は、1983年までさかのぼります。2001年3月27日参議院環境委員会(当時)のやり取りです。まず政府参考人、農林省生産局畜産部長は、
「1983年に厚生省油症研究班がカネミ油症の原因はダイオキシン類である、と。農林水産省としても当該研究班の発表を承知していたと考えます。

清水澄子委員:厚労省に伺います。3月5日の毎日新聞によると、厚生省の油症研究班の小栗さんが 1983年にカネミ油症はダイオキシンだと発表していますが、厚生省はダイオキシンと結び付けるなと指示されたと出ています。厚生省はなぜ公表と対策を抑えたのか?答えてください。

尾嵜新平(政府参考人):1983年の時点でPCBとプラスダイオキシン類との複合汚染であるということで、治療法の研究あるいはその検診をしておりますので、そういうものを考えずにダイオキシン類の影響を研修するなと指示しておりませんし、(小栗)班長もそういう認識だったと思います。ただダイオキシン類だけを取り出した研究は別途あるので、臨床的な観点からの治療法の研究など、そういった観点の研究を中心にしていただきたいと事務方はお願いしていたようです。(ここは完全な議論のすり替えで、やはりダイオキシン類の研究はするな、という指示)

☆2001年3月5日の毎日新聞では、 
 カネミ油症 病状把握2割以下 厚労省 原因のダイオキシン検診せず の見出し。


 九州大学油症治療班長小栗一太さんは、「厚生労働省に、油症班は(ダイオキシン問題などと)混同しないで研究してください、と言われている」とはっきり厚労省からの指示を明言しています。

 この時と同じように、2009年5月「福岡医学雑誌」にへその緒に関する2つの報告がなされたことで、厚労省が「へその緒の研究を続けるな」と指したことを今後「へその緒プロジェクト」のなかで明らかにしたいと思います。

 次回は1月13日に行われた「三者協議」から紐解きます。

                              映画監督 稲塚秀孝

コメントを残す