一体、何をしようとしているのか?第25回油症対策委員会から読み解く
「へその緒プロジェクト通信」②を掲載した後、水俣病、カネミ油症事件の両方の研究、診察に関わっている藤野糺(ふじの ただし)医師(水俣協立病院名誉院長)からメールが届きました。
「へその緒の分析は水俣病の経験からも、汚染の実態を知る上で大事だと思います。今回の(12日辻 学九州大学油症治療研究班長ぶら下がり取材)記者を通じてのやり取りが本当とすれば、はやくも辻先生の人格が見えてきたと言えるようです。今後稲塚さんと記者の方が、もう一度辻先生にお会いし、少なくとも訂正させることが必要だと思います。辻先生と一緒にやれるかどうかの分かれ道だと思います。その記者さんを大事にしてください」と。
実に含蓄のある藤野医師の言葉だと思います。同じ医師として、信じたいが、どうなのか?という思いが伝わってきます。また同じぶら下がり取材を共にした記者(メディア)を大事してください、というご配慮に感謝です。
油症対策委員会は法律により、毎年2回開かれています。今回は1月12日(金)13:30~15:30まで、福岡県福岡市博多駅筑紫口前のホテルで行われました。因みに翌1月13日(土)9:30~三者協議が福岡県第2合同庁舎で開かれましたが、こちらは次回にお伝えします。
第25回油症対策委員会の参加者は、九州大学油症治療研究班、厚生労働省の担当者、カネミ油症被害者全国連絡会、メディア(新聞・放送局)は撮影のみで、会議終了後のぶら下がり取材がありました。
議題は3つ。
◆令和5年度健康実態調査結果報告
◆令和6年度健康実態調査業(案)の提示などについて
◆油症次世代調査について
いつも思うのですが、令和を廃止して、官民とも西暦にしてほしい。切に望みます。分厚い紙が配布されますが、ただただ読み上げるだけです。約1時間以上続きます。今回 映画「母と子の絆~カネミ油症の真実」製作委員会は、報道関係者ではない、という理由で、会場内に入ることが出来ませんでした。屈辱的な対応で、きつく抗議しましたが、拒否は変わりませんでした。
参加した記者の方々、被害者の方々から伺った内容では、カネミ油症被害者(患者)のダイオキシン類の血中濃度と、子や孫ら次世代が糖尿病、肥満症、甲状腺の疾病になりやすいかどうかについて相関関係は見られなかったという報告。今後歯牙欠損について解析する、と正直実りの乏しい報告になった。
参加したカネミ油症被害者からは、次世代救済を望む声が、会議後半の質疑で出されたが、辻班長は「次世代には何かしらの健康被害があると考えている」という曖昧な、不誠実な回答だったという。
ぶら下がりに記者が「支援者(映画製作委員会のこと)が発表した『へその緒プロジェクト』と質問したことについては、「さい帯血に含まれるダイオキシン類の血中濃度が高いことは既に分かっている。ただへその緒の胎盤によって、かなり減少している」と答えた。なぜ「へその緒」を調べないかについては、記者の追加質問が出なかったことから、課題を積み残す結果となった。
次回の第26回油症対策委員会は、本年6月21日の予定である。
映画監督 稲塚秀孝