なぜ、”今“「へその緒」なのか?

 1968年に発生した「カネミ油症事件」は単なる食中毒事件ではありません。普段見聞きする
食中毒は、夏場のお弁当やこの夏は「流しソーメン」の機材の衛生環境から、実際に食した、口に
入れた皆さんが、下痢や嘔吐などを繰り広げるものですが、当事者の健康が回復すれば、収まる
傾向のものです。ただ「カネミ油症」では、「カネミライスオイル」を口にした母親から子や、孫
に、ダイオキシンの毒性が伝達されて、障害が起きていることに、特異性があります。

 九州大学油症治療班は、事件発生から40年経過した2007年~2009年にかけて、へその
緒を集め、検査をしました。そして2009年5月発行の「福岡医学雑誌」で2たつの報告が掲載
されています。

 一つは九州大学と福岡県保健環境研究所のチーム。もう一つは摂南大学薬学部宮田秀明教授を
中心としたチームです。その頃、ある新聞では「カネミ油症 胎児期汚染を証明」と見出しに書か
れています。しかしそれ以来15年間、「へその緒」調査は一向に進んでいないのです。

 「母と子の絆」である「へその緒」の徹底調査こそ、カネミ油症が次世代に及ぼす甚大な影響を
考察できる大きなツールであると思います。近々ご報告を続けます。
                                映画監督   稲塚秀孝

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