「カネミ油症事件」発生から55年経過した今、改めて母親から子や、孫にPCB(ポリ塩化ビフ ェニール)の毒性が繋がった「へその緒」を検証することが急務です。
これまでも九州大学油症治療班では、2009年の「福岡医学雑誌」に報告していますが、なぜかその後「へその緒」について、蔑ろにされてきています。こちらは長崎県在住のカネミ油症患者が保管する「へその緒」です。一度九州大学の検査後、返還されたもので、微量しか残されていません。1973年に誕生した男児と繋いでいた「へその緒」ですが、生後4カ月で亡くなりました。女性は今も訴えます。「息子がカネミ油症で口蓋口唇裂などで亡くなったことを証明してほしい」と。
今もこの「へその緒」は木箱に収められ、大事に神棚に載せられています。こちらがカネミ油症事件の原因となった「カネミライスオイル」の1升瓶と一斗缶です。
映画監督 稲塚秀孝
【参考資料】
油症被害者の次世代以降の子孫を対象とした汚染実態を究明するための「保存さい帯(へその緒)」
試料の有効性 (摂南大学名誉教授 宮田 秀明)


