私は、かつてPCBを製造して販売した結果、販売時にPCBの毒性について、特にその生成過程や熱媒体としての加熱過程で、猛毒のダイオキシン類を副産物として非意図的に生成することを知りながら、販売時に説明責任を果たさなかったカネカの責任を問うために、株主になって株主総会でその責任を社長に問い掛けていますが、そのPCBを製造していたカネカの高砂工業所には、カネミ油症の主たる原因(病因)物質であるジベンゾフランを生成することが判明している水銀式苛性ソーダ製造の電解装置がかつて操業していたことを、これまで問題としてきました。
この度、花伝社から発行されたフォトジャーナリストの中村梧郎さんの新著『記者狙撃 ベトナム戦争とウクライナ』の中で取り上げられていることがわかりました。そのページを紹介させていただこうと思います。
この中に出てくる「鐘淵化学」とは、テレビや新聞で宣伝がされている「カガクでネガイをカナエル会社」の㈱カネカのことです。カネカの高砂工業所の操業当初に導入されたこの電解装置は、戦前に台湾の台南市安順に当時の海軍大臣の名で、毒ガスの原料にするための塩素や臭素や苛性ソーダなどを海水からセイゾアしていた電解装置の一部を高砂工業所に移設して稼働させていたものです。その台南の工場は、鐘淵曹達工業台南工場(安順工場)と称され、その工場跡地は水銀とダイオキシン類(ジベンゾフラン)で土壌が汚染されていることが戦後に判明して、半世紀以上だった現在も土壌汚染の無害化処理が行われています。
この跡地を私は3回視察見学を行って来ていますが、その内の1回は、中村梧郎さんそして摂南大学名誉教授の宮田秀明さんとご一緒に伺っています。ですので、カネカ高砂工業所にある電解装置でカネミ油症の原因となったジベンゾフランが生成して汚染をもたらしてきた可能性を否定できないと考えております。いずれ白黒をはっきりとさせたいと思います。(藤原寿和)

