2024年1月、「へその緒プロジェクト」始動❗


 既にHPでお伝えしている「へその緒プロジェクト」が1月に始動します。
1月12日午前、カネミ油症を取材して来られたメディアの記者の方々と記者懇談会を企画しました。
「へその緒プロジェクト」から参加するのは、宮田秀明さん(摂南大学名誉教授)と藤原寿和さん
(カネミ油症被害者支援センター・初代事務局長)です。
 宮田さんは2007年から、カネミ油症被害者のへその緒におけるダイオキシン類の検査を行い、
2009年「福岡医学雑誌」に報告しています。年内に詳細をお伝えします。
                             12月26日 映画監督 稲塚秀孝

映画最大のポイント「へその緒」について

 母から子へダイオキシン類の毒性が繋がったことの証明となる「へその緒」の検査を徹底させ、被害者の認定制度を糺したいと思っています。稲塚監督から本映画の鍵となる「へその緒」に関する研究についてコメントをいただきました。▽動画はこちら

 1968年に主に西日本で発生したカネミ油症事件。様々な障害・被害が起こりましたが、その後お母さんの母体からお子さん・孫へとそのダイオキシン類(PCDF)の毒性がつながったことが、今問題になっています。

 事件発生から50年以上経っていますが、いまだこの問題は解決していません。本映画の製作にあたっては「へその緒」を調べることによって、今に至るもダイオキシン類の毒性があるということを証明したいと思っています。

 母から子へダイオキシン類の毒性が流れたことの実証こそ、この映画を通じて皆さんに知ってほしい最大のポイントであり、被害者の認定制度という欺瞞を抜本的に糾すことにつながります。この点こそが、本映画の”社会的意味”であると確信しています。

 映画製作にあたってはクラウドファンディングを実施中です。半世紀以上たっても続くカネミ油症事件の真相を伝えるため、映画「母と子の絆~カネミ油症の真実」の製作にご支援をお願いいたします。 
★クラウドファンディング★実施中(12月20日~2月29日)・目標金額:1,000万円

「へその緒」とは何だろうか?

 「カネミ油症事件」発生は1968年。九州大学油症治療班が、「へその緒」の検証をしたのは、
2007年以降で検証報告は2009年でした。事件発生から数年後には、原因物質がPCB(ポリ塩化
ビフェニール)と言われていたので、当然被害者が女性の場合、体内に蓄積した毒性物質が
「へその緒」を通じて、胎児の体に送られることは容易に理解でできたはずである。

 では「へその緒」とは何であろうか?「胎児は胎盤を通して母側から酸素や栄養分を受け取り、
老廃物を母体側に渡し、胎児と胎盤を繋いでいるのが臍帯、つまりへその緒である。概ね太さは
2㎝、長さは50~60㎝の管状である。」

 今こそ「へその緒」の検証・鑑定することで、ダイオキシン類は母親から子に繋がっている
証明を求めたいと考えている。そして認定、未認定に峻別される不条理を粉砕し、幅広く被害者
救済を国にさせたいと願っています。 
                               映画監督   稲塚秀孝

なぜ、”今“「へその緒」なのか?

 1968年に発生した「カネミ油症事件」は単なる食中毒事件ではありません。普段見聞きする
食中毒は、夏場のお弁当やこの夏は「流しソーメン」の機材の衛生環境から、実際に食した、口に
入れた皆さんが、下痢や嘔吐などを繰り広げるものですが、当事者の健康が回復すれば、収まる
傾向のものです。ただ「カネミ油症」では、「カネミライスオイル」を口にした母親から子や、孫
に、ダイオキシンの毒性が伝達されて、障害が起きていることに、特異性があります。

 九州大学油症治療班は、事件発生から40年経過した2007年~2009年にかけて、へその
緒を集め、検査をしました。そして2009年5月発行の「福岡医学雑誌」で2たつの報告が掲載
されています。

 一つは九州大学と福岡県保健環境研究所のチーム。もう一つは摂南大学薬学部宮田秀明教授を
中心としたチームです。その頃、ある新聞では「カネミ油症 胎児期汚染を証明」と見出しに書か
れています。しかしそれ以来15年間、「へその緒」調査は一向に進んでいないのです。

 「母と子の絆」である「へその緒」の徹底調査こそ、カネミ油症が次世代に及ぼす甚大な影響を
考察できる大きなツールであると思います。近々ご報告を続けます。
                                映画監督   稲塚秀孝

「へその緒」を検証することが急務

 「カネミ油症事件」発生から55年経過した今、改めて母親から子や、孫にPCB(ポリ塩化ビフ ェニール)の毒性が繋がった「へその緒」を検証することが急務です。

 これまでも九州大学油症治療班では、2009年の「福岡医学雑誌」に報告していますが、なぜかその後「へその緒」について、蔑ろにされてきています。こちらは長崎県在住のカネミ油症患者が保管する「へその緒」です。一度九州大学の検査後、返還されたもので、微量しか残されていません。1973年に誕生した男児と繋いでいた「へその緒」ですが、生後4カ月で亡くなりました。女性は今も訴えます。「息子がカネミ油症で口蓋口唇裂などで亡くなったことを証明してほしい」と。

 今もこの「へその緒」は木箱に収められ、大事に神棚に載せられています。こちらがカネミ油症事件の原因となった「カネミライスオイル」の1升瓶と一斗缶です。 
                                映画監督    稲塚秀孝
【参考資料】
油症被害者の次世代以降の子孫を対象とした汚染実態を究明するための「保存さい帯(へその緒)」
 試料の有効性
 (摂南大学名誉教授 宮田 秀明)

    カネミ油(一升瓶と一斗缶)


クラウドファンディングを開始するにあたり

 今回、ドキュメンタリー映画「母と子の絆~カネミ油症の真実」製作支援のためのクラウドファンディングを開始するにあたり、この映画への想いを書きました。

  1. この映画製作にかける想い

 私が「カネミ油症事件」を知ったのは、2006年夏のことでした。この年春に完成した記録映画「二重被爆」(広島と長崎で二度被爆した7人の証言ドキュメンタリー)を、長崎セントラル劇場(長崎市内のミニシアター)で上映した後でした。

 舞台挨拶を行って、スクリーンのある2階から階段を降りようとしている私の背中に声をかけてくれた女性がいました。
「稲塚監督、お話いいですか?『カネミ油症事件』をご存知ですか?」と。私はその時まで、「カネミ油症事件」のことを知りませんでした。
「いいえ、分かりませんが・・」
その女性は追いかけるように、「カネミ油症事件」の概要を話し、
「一度、五島に来ませんか?奈留島で待っていますから」と連絡先を教えてくれました。

 その後、数回長崎県五島市奈留島、福岡県博多、中間市を取材に訪ねたまま、取材は頓挫してしまいました。「二重被爆」の継続取材を取り組むことになったからでしたが、私にとっては、ずっと心の奥底に”痛恨の想い“が沈殿したままになっていました。

 2000年秋、東京で行われた別の作品の上映会後に、同じような問いかけを聞きました。別な女性から「監督は『カネミ油症事件』をご存知ですか?」と。これは運命のめぐり合わせではないか、と思いました。

 そこから再び「カネミ油症事件」の取材が始まりました。改めて取材してみると、まさしく日本各地にある”棄民“の事件の一つだと思いました。被害者の人権も救済も放置されたまま。国がこれまで数多く積み重ねてきた“棄民政策!と同じ構図であり、それは間違いないと思いました。

 半世紀たってもカネミ油を口にした人々が、認定、未認定と区別されたままです。しかも「カネミ油症事件」は、単純な食中毒(一過性)事件ではありません。カネミ油(ライスオイル)に混入したPCB(ポり塩化ビフェニール)の毒性は、油を摂取した当事者の母親から油を摂取していない子や、孫に「へその緒」や母乳を通じて繋がっているのです。

 事件発生から55年経過した今だからこそ、カネミ油症事件の原因の究明、患者と家族の苦痛・苦悩を皆さんに伝えたいと思います。

  1. この映画を製作することの社会的意味

 これまで10本を越えるドキュメンタリー映画を製作してきました。
・広島と長崎で二度被爆した「二重被爆」
・2011年3月11日の東日本大震災による津波被害によって多くの方々が命を失いましたが、その一方東京電力福島第一原子力発電所のメルトダウン(炉心溶解)により、放射性物質が拡散し、大勢の人々が被曝し、避難生活を余儀なくされた「フクシマ2011被曝に晒された人々の記録」
・AADC欠損症患者の3人の子どもたちと家族を描いた「奇跡の子どもたち」
・自衛隊基地に接した酪農家の闘いを描いた「憲法を武器として~恵庭事件・知られざる50年目の真実」。
・台風被害により、鉄路がゆがみ、ついに廃線に追い込まれた「日高線と生きる」等。

 人が生き、生活するうえで、矛盾や不条理に晒される事柄を追う時、「ドキュメンタリーとは告発である」という大きな理念に行き着きました。

 「母と子の絆~カネミ油症の真実」では、小さな一原因企業の責任に留まらず、被害者の救済を蔑ろにする「国民の生活の安心・安全」を担う国の“無作為”と長年治療法の研究をおざなりにしてきた九州大学油症治療班を始めとする厚生行政の”怠慢“を明らかにすることが”告発“の原点です。

 そしてこの映画における新たな”提案“があります。それは被害者の認定制度という欺瞞を抜本的に糾す「へその緒」の検査を徹底させることです。母から子へPCBの毒性が流れたことの実証こそ、この映画を通じて皆さんに知ってほしい、最大のポイントであり、この映画の持つ”社会的意味”であると確信しています。

  1. 誰に伝えたいか

 生きること、生活することに日々向き合っている方々、日本国内に限らず、真摯に人と社会と接している世界の方々に向けて、発信したいと思います。また社会の仕組みを知り、そこに欺瞞を感じながら、中学から高校に通う世代の方々にぜひ届けたいと思います。

 私も当時、学校の授業や様々な本、テレビ番組、映画を通じて、学び、憤り、自分の生き方、社会へ参加する(アンガージュ)する意思を持つことになりました。“今、このままでいいのか?”と感じている方、感じ始めている方々に向けて、この映画が届くことを願っています。

                         映画監督  稲塚秀孝

タキオン・ジャパン製作映画上映とトークの集い

 年明け1月6日(土)に水俣市で開かれる「水俣交流集会」に藤原さんと共に、私稲塚も参加いたします。「母と子の絆~カネミ油症の真実」製作委員会として、本映画について、20分間ご案内させていただくことになりました。そして翌7日、タキオンジャパン製作映画3本の上映会を開催いたします。

◆「憲法を武器として~恵庭事件・知られざる50年目の真実」
◆「奇跡の子どもたち」
◆フクシマ2011~被曝に晒された人々の記録」です。

大勢の皆さまにご覧いただければと思います。
                               映画監督 稲塚秀孝

延岡訪問

延岡訪問

  昨日は延岡でカネミ油症の未認定被害者とその介護支援専門員の方の同席のもとで1時間半近く、じっくりとお話を聞くことが出来ました。

  被害者の方とは2006年小倉で開催されたカネミ油症被害者大集会電子お会いしてからですので、実に17年ぶりに再会が出来ました。当時はお元気でしたが、今では車椅子生活なのと、化学物質過敏症を併発されてますので、外出ができず、油症検診にも受けられないでおられます。油症治療研究班も厚労省も在宅訪問検診はしてくれないので、汚染油を食べて油症の被害があるにもかかわらず、認定のための検診が受けられないため、この55年間、未認定のままでおられます。

  したがって私の課題は、現在、月2回訪問検診をしてくださっている延岡市内にある「縁・在宅クリニック」の院長さんにお願いして、被害者の方に症状がカネミ油症であることのシンダンシを作成していただき、汚染油を買って食べたことの証明をすることで、宮崎県知事と交渉してくださっている認定するように要請交渉を行うことです。これからその準備を行ったうえで、次回には県知事交渉のために宮崎入りする予定です。
                                  藤原寿和

お世話になっている皆さまへ

  2023年も残り少なくなりました。皆さまにとって、どのような一年だったでしょうか?
その年の瀬に、皆さまにお願いがあり、ご連絡させていただきました。

  2020年から、コロナ禍の中、取材を続けて参りました「カネミ油症事件」のドキュメンタリー映画において、製作費捻出のためにクラウドファンディングを12月20日(水)午前0時から開始します。タイトルは、「母と子の絆~カネミ油症の真実」今なお続く問題の真相を映像で伝えたいとなっています。

  クラウドファンディング開始次第、このタイトルをパソコン、スマホで打ち込んでいただくと、当該ページをご覧いただけます。

  お願いは二つです。
一つ目は、クラウドファンディングに寄付をお願いしたい、こと。
二つ目は、このドキュメンタリー映画「母と子の絆~カネミ油症の真実」を応援いただくメッセージを送っていただきたい、ことです。

  大勢の皆さんにご参加いただくために、お一人400字前後でinazuka@takionjapan.onamae.jp  宛にお願いいたします。映画は来年、2024年秋公開を目指しています。今後とも よろしくお願いいたします。

                             母と子の絆~カネミ油症の真実 
                               製作委員会代表 稲塚秀孝

製作便り(12月13日)

 お早うございます。 いよいよドキュメンタリー映画「母と子の絆~カネミ油症の真実」の製作支援の クラウドファンディングが、1週間後の12月20日(水)午前0時から始まり、 来年2月29日(木)までとなります。 タイトルは、 「母と子の絆~カネミ油症の真実」今なお続く問題の真相を映像で伝えたい と決めました。
 クラウドファンディングのページをお探しの時は、タイトルを打ち込んで、クリック していただければと思います。 大勢の皆さまにこのページを見ていただき、製作支援のご寄付をいただければ幸いで す。
 なお年末に向けて、「カネミ油症の真実」取材も進行します。 急遽来週12月19日から九州・博多を中心に取材打合せに参ります。 年明けは1月6日の「水俣交流集会」参加から始まります。 どうぞよろしくお願いいたします。  稲塚秀孝