すべてのカネミ油症被害者救済へ⑬

 ~”全体が分かった”との感想~

 一昨日、1月28日17時から参議院議員会館講堂で「母と子の絆~カネミ油症の真実」上映会と”対話集会“が行われました。

 一般参加者とメディアの記者の方々と共に、6名の国会議員がお見えになりました。通常国会が開催されて、慌ただしい中、お越しいただいたことに感謝申し上げます。現在衆議院議員465名、参議院議員124名、合わせて689名の方々の1%となりますが、ここから始まり、拡げられると思いました。国(厚生労働省)の施策を動かすには、さまざまな方法があると思います。
1.国会の場で流れを作る
2.裁判に訴え、国と対峙する

 そして欠くことができないのは、”世論喚起”だと思います。多くの皆さんに「カネミ油症事件」を知っていただき、その“不合理さ”を理解いただき、応援していただくことです。国会上映会に参加された方のアンケートに、”カネミ油症事件の全体が分かった“という感想がありました。また昨日ナゴヤキネマ・ノイ(名古屋の劇場)でご覧になったカネミ油症被害者の方から、同じ言葉があったと聞きました。2025年1月28日は、”始まりの一歩“になると、改めて思います。
                             映画監督    稲塚秀孝

カネミ油症被害者岩村定子さんの第一子、第二子、第三子の保存臍帯(へその緒)における ダイオキシン類に関する報告

本報告は、岩村定子さん(長崎県五島市奈留在住)の3人の子どものへその緒中で検出されたダイオキシン類についてカネミ油症被害によるものであります。なお岩村定子さんはカネミ油症認定被害者です。

カネミ油症被害者岩村定子さんの第一子、第二子、第三子の保存臍帯(へその緒)における ダイオキシン類に関する報告

厚生労働省健康・生活衛生課宛の「要請書」とその回答

 昨年12月末に「母と子の絆~カネミ油症の真実」製作委員会・「へその緒プロジェクト」名で、3項目の「要請書」を作成し、厚生労働省 健康・生活課宛に送りました。本年1月20日に回答(青色)がありました。

①国(厚生労働省)及び全国油症治療研究班、九州大学油症治療研究班は、速やかに「カネミ油症被害者」のへその緒検査を実施し、子や孫の健康被害に対し、医学的措置と補償を行うことを要請する。

②国(厚生労働省)は、現在の認定制度基準(ダイオキシン類の血中濃度、50ピコグラム、1968年12月31日現在の同居家族)を撤廃し、すべてのカネミ油症被害者の救済に着手することを要請する。 

すべてのカネミ油症被害者救済へ⑫

 ~”言葉遊び“と”工程表“なし~

 昨日1月24日「第27回 油症対策委員会」は博多駅前のホテルで行われた。半年に1回、カネミ油症の治療・研究の成果(?)を示す名目で、九州大学油症治療研究班が開き、新たに厚労省の担当者も顔を見せ、カネミ油症被害者全国連絡会の方々に報告し、質問を受ける形式で1時間半行われた。

 報道(私も含め)関係者は、奥の一隅で、質問はできず、会議後の”ぶら下がり”は5分間と限定される、先日のフジテレビ会見並みの劣悪さだった。前回2024年6月から、見事なほど進展はなかった。認定・未認定問題に関わる「診断基準見直し」について、九大の中原班長は、過去に話された「有識者会議」設立(未定)とは異なる「再評価委員会」(診断基準見直しに関する)を立ちあげたいと宣言した。しかし、その内容といつから始まるのか?工程表は語られなかった。何か”新味“を出そうと思いつきを言ったようだった。勿論同席した厚労省の担当者は一切発言しなかった。私なら「厚労省の方は了承していますか?」と聞きたい所だが、被害者の方々に”詰めろ“というのは、無理か?

 今朝の地元紙には「再評価委員会に期待」的なニュアンス記事が出ているが、現場で感じた空気は違っていたように思える。会議後の被害者の方々の”検討会議”でも、「再評価会議」に期待する声が躍った。本当にこれでいいのだろうか?厚労省の担当者は長くて1年半で交代する。九大の班長も数年で交代する。そして担当記者も数年とくれば、何度もこうした状況が繰り返され、“行きつ戻りつ”どころか、“戻りつ、戻りつ”ではないだろうか?何とか被害者救済に向けて、風穴を開けたい、と思う気持ちには、じれったくて、じれったい。
                             映画監督       稲塚秀孝