第29回カネミ油症勉強会(4/26))での提言
【はじめに】
「へその緒プロジェクト」が発足したのは、2024年1月12日福岡でした。九州大学油症治療研究班による「油症対策委員会」開催される前に、摂南大学名誉教授宮田秀明さんを迎えて、地元メディアの方々に向けて開催された「記者懇談会」がスタートとなりました。
映画「母と子の絆~カネミ油症の真実」の撮影取材が始まって3年が経過、「すべてのカネミ油症被害者救済に向けて」へその緒の検査が重要との認識が撮影スタッフ間で”共有”されて始まったのでした。
【すべきことは・・・】
◆「へその緒検査」をいかに推進すべきか
母体から胎児へ、胎盤を通して、ダイオキシン類の毒性物質が移行していることは、研究者の文献やインタビューから明らかであることを確認済みでした。そこで
①まず検査するへその緒の提供者を見つける。
②検査会社を見つける。
③「へその緒検査」の必要・重要さを広く訴えること。
が当面取り組むべき”項目”となりました。
①へその緒の提供者については、「記者懇談会」において、カネミ油症被害者 岩村定子さん(故人 長崎県五島市奈留在住)から、保管されていた3名のお子さんのへその緒の提供が決まっており、1月12日の「記者懇談会」会場で、故 満広さん(長男、1973年死亡)のへその緒をご覧いただきました。
②へその緒の検査会社については、2021年から全国の民間会社、大学に検査依頼を行っていましたが、ことごとく断られ、暗礁に乗り上げていました。
③「へその緒検査」研究は、2009年の油症治療研究班の2つの報告(福岡医学雑誌100号掲載)で止まっていました。一つは長山淳哉助教授(当時)ら九州大学・福岡県保健環境研究所のチーム、二つ目は宮田秀明摂南大学教授(当時)のチームでした。へその緒検査の結果、母体から胎児に毒性物質が移行している事実を報告しながら、”その先“に繋げることはなかったのです。従って約15年の”空白“から立ち上がり、掘り起こしてゆく必要性を感じたのです。
【その後・・・】
その後2024年8月「母と子の絆~カネミ油症の真実」(86分)が完成。10月から全国公開が始まりました。一方「へその緒検査」を行う民間会社がようやく見つかり、島津テクノリサーチ(京都)と大塚製薬(徳島)の2社が引き受けてくれました。
7月末、島津テクノリサーチを訪ね、岩村定子さんからお預かりした3名のお子さんの「へその緒」を託しました。検査には約3か月を有するとの連絡を受けました。10月22日検査結果が届きました。分析資料は100ページを越えていました。早速宮田秀明さんに分析結果の解説を依頼し、11月11日に各メディア(共同、朝日、読売、毎日、東京、西日本、長崎、神戸、京都、NHKなど)に配信し、記事として取り上げていただきました。そして九州大学油症治療研究班にも送りました。
この検査結果を踏まえて、12月下旬には厚生労働省健康・生活衛生局総務課へ「要請書」を送付し、2025年1月20日に回答が届きました。1月30日に再「要請書」を提出し、3月19日に回答が届きました。
その翌日、3月20日に岩村定子さんが亡くなられました。享年75.生前取材において、「長男満広がカネミ油症であったことを国に認めさせ、墓前に報告するのが私の務め」と話しておられました。
4月16日再々「要請書」を提出し、回答を待っているところです。今回は映画撮影の過程で収録した、辻 学 前九州大学油症治療研究班長と原澤朋史 前厚労省課長補佐のぶら下がり会見の映像を追加提出(4月22日)しています。その理由は、前回の厚労省の回答の中で、「どのような文脈の中での発言が分からない」(“切り取りされた映像”というステレオタイプな反応)に対し、前後のノー編集の映像を送ったところです。
【へその緒プロジェクトからの提言】
これまでの「へその緒プロジェクト」の活動の経緯の説明が長くなりましたが、ここから”提言“です。
◆今後もカネミ油症被害者救済の大きな“武器”として、へその緒検査が 重要であり、検査実施を推進します。現在カネミ油症被害者の方々の へその緒を数件お預かりしています。
◆厚労省への再々「要請書」には、国(厚生労働省)がへその緒検査に取り組むべきと伝えています。
いまやカネミ油症救済のためには、へその緒検査の「正確性」「再現性」云々を国が言うのなら、自ら検査と分析を通じて、母体から胎児へ毒性物質が移行し、次世代のカネミ油症の症状を現れている事実を明らかにすべきと考えています。いよいよ民間から国に「へその緒検査」の軸足を移す時期になったと感じています。
ぜひ、この提言をご覧になった皆さんには、それぞれできることをしていただき、広く、深く国を動かす運動(戦略・戦術)の”最前線“に立って欲しい、と切に望みます。
2025年4月25日
「へその緒プロジェクト」 代表 稲塚秀孝
すべてのカネミ油症被害者救済へ㊻
~思いがけない”動き”が見られそう~
昨日当ホームページの来場者、2万回を越えました。これからますます加速できるように、発信を続けたいと思います。この“HPを見た”とメールをいただけることも増えてきました。今後が楽しみです。
さてここ1・2日の間で、嬉しい連絡がありました。一つ目は、カネミ油症被害者の方で”未認定“(毎年健診を受けても被害者と認められない)の方が、新たに”食中毒“として”カネミ油症被害者”として申請するため、診断を受けてもいい、というのです。以前もこの欄で書きましたが、医師とのマッチングが必要なので、これから医師を見つけることを急ぎたいと思います。
二つ目は、かつてカネミ油症事件の被害者運動の先頭に立っていた方が、まもなく戻ってきてくださるというのです。こうしたことは決して簡単ではないのですが、「母と子の絆~カネミ油症の真実」製作委員会として、ぜひ応援してゆきたいと考えています。過去の運動の成果と実態を知る方が加わることは、“大きな力“となることに違いありません。見守りながら、報告したいと思います。
映画監督 稲塚秀孝
すべてのカネミ油症被害者の救済へ㊺
~絞りこんでゆきたい~
北海道苫小牧市に戻り、2024年に取材した映像素材から”抜き取り”を行いました。
1. 2024年1月12日 「油症対策委員会」後のぶら下がり会見 九大辻 学班長(当時)
※厚労省と油症治療研究班の関係
2. 2024年1月13日 「三者協議」後ぶら下がり会見 厚労省原澤課長補佐(当時)
※厚労省と油症治療研究班の関係
3. 2024年6月22日 「三者協議」後
ぶら下がり会見 厚労省原澤課長補佐(当時)
※「へその緒検査」推進について
ここに掲げた3つのシーンは、”ノーカット版“です。先日厚労省の担当者に送った再々「要請書」の④において”約束“した素材です。
前回の再「要請書」の中で、当方が指摘した内容に対し、厚労省の担当者は、”あたかも切り取り映像で、どういう文脈の中なのか?分からない“と返してきたので、今回映像を昨日21日に送った内容です。別稿(youtube)になりますが、ご覧いただけたらと思います。こうして、少しずつ核心に向けて、絞りこみたいと思います。
映画監督 稲塚秀孝
すべてのカネミ油症被害者の救済へ㊹
~次は国会での質問を目指したい~
4月16日に厚生労働省健康・生活衛生局総務課宛に、すべてのカネミ油症被害者救済へ向けて、再々「要請書」をお送りしました。粛々と回答を待ちたいと思います。
が、いつ回答が届くかわかりません。前回は1月30日に再「要請書」を送り、3月19日に回答が参りました。「いついつまでに回答を下さい」と補足したいところですが、「その期日では回答できません」という返事が予想されるので、ここは「じっと待とう」と考えています。
でも手をこまねいてもいられませんので、次の段階として、国会質問に向かいたいと考え、準備を始めています。時々NHKの「国会中継」を見ることがあります。また何度か見聞きした「公判」記録も参考にしながら、いかにして”理論“を”弁論”に生かすか?を考えています。
とにかく今は、私たち「へその緒プロジェクト」知りたいこと、訴えたいことを”論理的に筋立てて“行こうと思います。皆さんの支援を引き続きお願いいたします。
映画監督 稲塚秀孝
すべてのカネミ油症被害者の救済へ㊸
~本日 再々「要請書」を送りました~
本日、厚生労働省 健康・生活局 総務課 課長補佐 九十九悠太さま、佐野隆一郎さま宛に、、再々「要請書」を送りました。以下、その前文です。(再々「要請書」の内容は“別掲”いたします。)
3月19日に再「要請書」に関する回答を受け取りました。ありがとうございました。その翌日、3月20日にカネミ油症被害者、岩村定子さんがお亡くなりました。回答の内容をご本人がご覧になることはできなかったため、ご主人(喪主)の岩村正勝さまにお届けいたしました。
岩村さんは、映画の取材を通じて、1973年に生後4か月で亡くなった長男 満広さんが、重篤な症状(カネミ油症由来であると確信)だったことから、「満広がカネミ油症だったと認めて欲しい、墓前に報告したい」と切なる訴えをしておられたことを思い出しますし、岩村さんの御遺志を叶えたいと考えております。
今回、再々「要請書」を送らせていただきますので、お忙しい中と思いますが、ぜひ“意のあるところ”をお汲み取りいただければ幸いです。
2025年4月16日
「母と子の絆~カネミ油症の真実」製作委員会
「へその緒プロジェクト」代表 稲塚秀孝
“別掲”再々「要請書」(←クリックして下さい)
すべてのカネミ油症被害者救済へ㊷
~厚労省へ再々「要請書」提出~
4月15日(本日)厚生労働省 健康・生活衛生局総務課九十九悠太課長補佐、佐野隆一郎課長補佐宛に、すべてのカネミ油症被害者救済に向けた再々「要請書」を提出いたします。
お二人の課長補佐とは、2025年1月24日(金)「油症対策委員会」(九州大学油症治療研究班 主催)及び2月6日参議院議員杉尾秀哉議院事務所でお目にかかりました。
なお「要請書」は今回3回目となります。1回目は2024年12月26日提出、2025年1月20日回答。2回目は2025年1月30日提出、2025年3月19日回答。という流れがあり、3月20日には「母と子の絆~カネミ油症の真実」で中心的な証言をしてくださったカネミ油症被害者岩村定子さんが死去されました。岩村さんは3人のお子さんのへその緒を提供くださり、昨年10月にお子さんのダイオキシン類が高濃度だったことが証明されました。
1973年に生後4か月で亡くなった長男 満広さんがカネミ油症が原因だった事を認めるよう、何度も国や九州大学に訴え、早く満広さんの墓前に報告したいと話された日々が思い出されます。「へその緒プロジェクト」は、岩村定子さんの”無念“を胸に、さらに前に進めて参りたいと、決意を新たにしているところです。
映画監督 稲塚秀孝
●すべてのカネミ油症被害者救済へ㊶(4/13)
~再始動に入った!~
4月も半ばに近づきました。厚労省の担当者への再々「要請書」提出準備をこの週末に進めています。
週明けには送付しようと思います。
映画「母と子の絆~カネミ油症の真実」に協賛いただいた、グリーンコープ共同体のメンバーの方々の上映会が始まります。まずかごしまグリーンコープ様が7月15日に上映会を開催いたします。息の長い上映活動が希望ですので、これから各地で上映会が開かれる事を願っています。
昨日は全国映連(全国の映画サークル30団体の集合体)総会が東京で行われました。今年6月28日~30日には、わが苫小牧映画サークルが主催して「苫東映画祭」を開催いたします。
映像の普及活動は、継続こそ大事だと思います。今日は熊本県山都町で上映会が行われます。全国津々浦々へ広げたいと思います。
映画監督 稲塚秀孝
●新聞記事(紙の街の小さな新聞4月号)
稲塚監督の投稿記事です。
ひらく

すべてのカネミ油症被害者救済へ㊶
~再始動に入った!~
4月も半ばに近づきました。厚労省の担当者への再々「要請書」提出準備をこの週末に進めています。
週明けには送付しようと思います。
映画「母と子の絆~カネミ油症の真実」に協賛いただいた、グリーンコープ共同体のメンバーの方々の上映会が始まります。まずかごしまグリーンコープ様が7月15日に上映会を開催いたします。息の長い上映活動が希望ですので、これから各地で上映会が開かれる事を願っています。
昨日は全国映連(全国の映画サークル30団体の集合体)総会が東京で行われました。今年6月28日~30日には、わが苫小牧映画サークルが主催して「苫東映画祭」を開催いたします。
映像の普及活動は、継続こそ大事だと思います。今日は熊本県山都町で上映会が行われます。全国津々浦々へ広げたいと思います。
映画監督 稲塚秀孝
すべてのカネミ油症被害者救済へ㊵
~「へその緒プロジェクト」から~
昨年1月福岡市内で「へその緒プロジェクト」を立ち上げ、地元のメディアの皆さんが参加して「記者懇談会」を開きました。映画「母と子の絆~カネミ油症の真実」の製作中に並行して活動開始した取り組みでした。
3月20日に亡くなった岩村定子さん(長崎県五島市奈留)からお借りした故 満広さん(長男)の「へその緒」を記者の方々に見ていただき、宮田秀明さん(摂南大学名誉教授)、藤原寿和さん(長年カネミ油症事件支援活動に取り組み、当映画のプロデューサー)が、「へその緒プロジェクト」のお話をしました。
私は岩村さんの取材を通じて、へその緒検査を模索し、国内数社に交渉しましたが、全く相手にされなかったり、「へその緒」を託す寸前で断られたりを繰り返していました。
「記者懇談会」の日の午後、九州大学油症治療研究班の辻学班長(当時)のぶら下がりである記者が「へその緒検査をするべきでは?」と尋ねていただきましたが、辻班長は「へその緒を調べても意味はない」とにべもない返答でした。
その後6月に検査会社が見つかり、岩村さんの3人のお子さんのへその緒検査を託し、10月に検査結果が出ました。ダイオキシン類の数値は高いものでした。11月からメディアの皆さんにもお伝えし、12月には厚労省健康・生活衛生局に「要請書」を提出し、今年1月20日に回答が届き、1月30日に再「要請書」を提出し、3月19日(岩村さんが亡くなる前日)に回答が届きました。
そこには「母体から胎児に毒性物質が移行することは承知している」と書かれています。ただ胎児から排出されるから検査の対象にしない、という内容でした。ただそこには一切移行する割合とか、数値は書かれていません。当方は過去の月森報告書などから、臍帯血及び胎脂では、母体から40~50%が移行していると確認しています。ですからすでに医師や研究者では“常識”になっているのです。
「へその緒プロジェクト」では、再々「要請書」作成の準備に入り、4月半ばをメドの厚労省の担当者に送る予定です。また今年6月13日(金)には「記者懇談会」を福岡で開催しようと考えています。詳しくは改めてこのHP上でお伝えしたいと思います。
映画監督 稲塚秀孝
カネミ油症被害者救済へ㊴
~厚労省へ!再々「要請書」提出の準備~
3月19日夕方、厚生労働省健康・生活衛生局の担当者から回答が届きました。1月30日に提出した
再「要請書」に対する再回答です。
これまでの応答内容を下段に掲載しましたので、皆さん、じっくりご覧ください。私の第一印象は「えらい”雑な対応“だな」でした。
まず相手(へその緒プロジェクト)を納得させることはどうでもいい、ただただ”壊れたテープレコーダー“(本当だろうか?)のような、漫然とした繰り返し文章。TBS「御上先生」でも紹介された典型的な官僚用語である、”承知している“。こっちは何も承知していない、のである。
4月10日をメドに、再々「要請書」を提出することの方針を立てました。”ネバー・ギブアップ“精神で行きます。またご報告いたします。
映画監督 稲塚秀孝
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【厚生労働省健康・生活衛生局との応答内容】
厚生労働省 健康・生活衛生局
総務課 九十九 悠太 課長補佐さま
再「要請書」送付の件
昨年 12 月末に「母と子の絆~カネミ油症の真実」製作委員会・「へその緒プロジェクト」名で、3 項目の「要請書」を作成し、厚生労働省 健康・生活課宛に送り(黒字)、本年 1 月 20 日に回答をいただきました。(青字)
ここに再「要請書」を作成いたしましたので、お送りいたします。(赤字)改めて、ご返事をお待ちいたします。
2025 年 1 月 30 日
「母と子の絆~カネミ油症の真実」製作委員会
「へその緒プロジェクト」 代表 稲塚秀孝
① 国(厚生労働省)及び全国油症治療研究班、九州大学油症治療研究班は、速やかに「カネミ油症被害者」のへその緒検査を実施し、子や孫の健康被害に対し、医学的措置と補償を行うことを要請する。
「母と子の絆~カネミ油症の真実」製作委員会・「へその緒プロジェクト」より
(厚労省 回答)
臍帯のダイオキシン測定については、正確性、再現性、当時の正常値が無いなどの問題が有るため、カネミ油症の診断基準に含まれておらず、測定しても認定に活用することは困難であるものと承知している。
【再・要請)】
(1)現時点、ダイオキシン類の分析技術は、高精度で超微量分析が可能な高分解能ガスクロマトグラフ・高分解能質量分析計(HRGC/HRMS)と分析目的ダイオキシン類の内標準物質を使用して、へその緒に含まれるダイオキシン類の「再現性」の高い方法である。従って、「臍帯のダイオキシン測定については、正確性、再現性、当時の正常値が無いなどの問題が有るため」との解答は、現在可能な分析状況を無視したものと言わざるを得ない。再考をお願いしたい。
【上記に対する厚労省再回答】
〇カネミ油症の診断基準については、これまでも、研究班において、PCB 等の毒性に関する科学的知見や、患者の検診結果等の最新の科学的知見を反映した見直しが行われております。そして、診断基準を参考に、♛中のダイオキシン濃度のほか、患者の症状等を総合的に判断した上で、各自治体において、カネミ油症の認定が行われています。
〇油症認定患者である母親を介して児にダイオキシン類が移行する場合もあることは承知しており、診断基準にもその旨記載されていますが、全国油症治療研究班の調査研究において、
・ ダイオキシン類が胎脂、胎便等の形で、高濃度で胎児から排出されること
・ 個人差はあるものの、患者の子の♛中ダイオキシン類濃度は、親と比較しても大幅に低くなっていること
等も明らかになっています。
〇また、臍帯におけるダイオキシン類の測定は、全国油症治療研究班から、技術的には可能であると伺っていますが、既に上記の研究結果が得られている上に、臍帯の保存状況によっては、ダイオキシン類の測定にあたり、正確性、再現性などの問題があると承知しています。
(2)「当時の正常値が無い」について
カネミ油症発症当時、一般的に「胎児毒性」を考慮する毒性評価をしていなかったため、カネミ油症被害者からの出生児について、♛液検査は皆無であった。その後「胎児毒性」の評価が不可欠となっている。
胎児は、母体(成人)よりも化学物質の生体影響を 10 倍程度も強く受ける。また、化学物質は、形成段階の骨格、組織、臓器などに“暴露”するために、母体(成人)の場合と違って、これらの生体成分における生体影響をもたらす可能性が強い。このようなことを考慮すると、「胎児毒性」の観点において、カネミ油症原因物質であるダイオキシン類によるカネミ油症被害者の出産児に対する生体影響を評価することは、必須かつ不可欠である。
また、それぞれの出生児の「保存臍帯」は各家庭で保管されてことが多い。出産時から数年以内における油症被害者母体の 2,3,4,7,8-PeCDF ♛中濃度と出生児のへその緒に含まれる 2,3,4,7,8-PeCDF 濃度との相関を調査すれば、出生児における 2,3,4,7,8-PeCDF 暴露実態の評価が可能である。
上記のことから、へその緒を対象としたダイオキシン類分析の実施および油症認定基準値の設定を、改めて強く要請します。
【上記に対する厚労省再回答】
〇カネミ油症の診断基準については、これまでも、研究班において、PCB 等の毒性に関する科学的知見や、患者の検診結果等の最新の科学的知見を反映した見直しが行われております。そして、診断基準を参考に、♛中のダイオキシン濃度のほか、患者の症状等を総合的に判断した上で、各自治体において、カネミ油症の認定が行われています。
〇繰り返しとなりますが、①(1)での回答のとおり、油症認定患者である母親を介して児にダイオキシン類が移行する場合もあることは承知しており、診断基準にもその旨記載されていますが、全国油症治療研究班の調査研究において、
・ ダイオキシン類が胎脂、胎便等の形で、高濃度で胎児から排出されること
・ 個人差はあるものの、患者の子の♛中ダイオキシン類濃度は、親と比較しても大幅に低くなっていること等も明らかになっています。また、こちらも繰り返しとなりますが、臍帯におけるダイオキシン類の測定は、全国油症治療研究班から、技術的には可能であると伺っていますが、臍帯の保存状況によっては、ダイオキシン類の測定にあたり、正確性、再現性などの問題があると承知しています。
〇油症治療等に関する調査研究については、引き続き、当事者であるカネミ油症被害者全国連絡会からのご要望を伺いつつ、三者協議の場において議論していきたいと考えています。
〇なお、三者協議での議論を踏まえ、油症認定患者の子や孫といった次世代の方々の健康状態を把握するために、令和3年度から、全国油症治療研究班が「次世代調査」を実施しています。令和7年1月の油症対策委員会での研究班からの報告によれば、口唇口蓋裂とダイオキシンとの関係性について一定の専門的見解を求める必要があり、専門家を交えた議論を研究班において行う予定と承知しています。
② 国(厚生労働省)は、現在の認定制度基準(ダイオキシン類の♛中濃度、50 ピコグラム、1968 年 12 月 31 日現在の同居家族)を撤廃し、すべてのカネミ油症被害者の救済に着手することを要請する
(厚労省 回答)
カネミ油症の認定については、PCB 等の毒性に関する科学的知見や、患者の検診結果等の最新の科学的知見を踏まえ、認定が行われているものと認識している。
国としては、カネミ油症患者に関する施策の総合的な推進に関する法律に基づき、引き続き、カネミ油症患者に対する必要な施策の実施に努めてまいりたい。
【再・要請)】
「科学的知見や、患者の検診結果等の最新の科学的知見を踏まえ、認定が行われている」
ものとするならば、カネミ油症事件当初約 14,000 人が申請して、わずか6.2%(0.062)しか認められなかったことは何を意味するのか?申請者が嘘の申告をしたということか?
認定わずか6.2%という結果は科学的知見や、患者の検診結果等の科学的知見を踏まえた認定が行われていないことの証左に他ならない。
上記①で記載したように、油症被害者からの出生児は、母親よりも10倍程度も原因物質による生体影響が強いと推察されるだけでなく、母親よりも広範囲な生体影響による障害を受ける可能性が高い。換言すれば、出生児は母親より10倍程度低い原因物質暴露濃度でも、同程度以上の生体影響を受けることになる。従って、「胎児毒性」を考慮すれば、現在設定されている「油症診断基準値」は、科学的に不適切な設定値であると言わざるを得ない。
カネミ油症事件発症から57年を経過している。この長い経過期間を考慮すると、油症被害者の♛中ダイオキシン類濃度は、代謝排泄等により暴露当時よりもかなり低くなっている。この時間的低濃度化を考慮すると、以前(およそ 20 年前)に設定された「油症診断基準値」は、現時点の油症被害者に対して科学的に対応できるものではない。
この科学的実態を踏まえて、国(厚生労働省)は、現在の認定制度基準(ダイオキシン類の♛中濃度、50 ピコグラム、1968 年 12 月 31 日現在の同居家族)を撤廃・修正するとともに、油症原因油を摂取したすべてのカネミ油症被害者の救済に着手することを改めて要請します。
【上記に対する厚労省再回答】
〇診断基準については、カネミ油症患者に関する施策の総合的な推進に関する法律に基づく「カネミ油症患者に関する施策の推進に関する基本的な指針」にあるように、「今後とも、カネミ油症に関する調査及び研究の成果、検診の結果等を踏まえ、最新の科学的知見に基づいて随時見直しを行っていく必要がある」ものと考えています。
〇これまでも、PCB が高熱により変化して出来る PCQ や PeCDF についても、測定が技術的に可能となり、油症患者の♛中濃度に異常が認められ、濃度と症状に科学的な関連が認められることが研究班において明らかになるなどした段階で、診断基準に反映されてきたところです。
〇また、これらの♛中濃度については、全国油症治療研究班において、毎年の検診受診者の検査結果により、その推移を分析しているところと承知しております。
〇なお、①(2)での回答のとおり、油症認定患者の子については、母親を介してダイオキシン類等が移行する場合もあることから、油症認定患者の子や孫といった次世代の方々の健康状態を把握するための調査を令和3年度から実施しているところです。
③ 国(厚生労働省)は、1968 年当時カネミライスオイル(ダイオキシン類が混入した油)を食べた親から生まれた子や孫に「カネミ油症被害の症状」が診断された場合、「カネミ油症被害者」と認めることを要請する。
(厚労省 回答)
子や孫世代においてもカネミ油症の診断基準を踏まえて認定が行われていると認識している。診断基準に関しては、研究成果や検診結果等の最新の科学的知見に基づき、必要に応じ、研究班において見直しが検討されるものと承知している。
【再・要請)】
カネミ倉庫製汚染油を直接経口摂取していない子や孫世代に、直接経口摂取した第一世代を対象としたカネミ油症の診断基準を当てはめることにどんな科学的根拠があるのか、お示しいただきたい。
また九州大学油症治療研究班は、厚労省の担当部署に対し、診断基準の見直しを具申する立場にない、と辻 学前班長(2024 年 1 月 12 日「油症対策委員会」後のブラ下がり会見)は述べており、翌日行われた三者協議後のぶら下がり会見において、厚労省生活・衛生局原澤朋史課長補佐(当時)も辻氏の発言通りと述べている。
「必要に応じ、研究班において見直しが検討されるものと承知している 」との回答は現実と異なっており、我々を欺くものであると考える。
【上記に対する厚労省再回答】
〇①(2)への回答のとおり、油症認定患者の子については、母親を介してダイオキシン類等が移行する場合もあることから、油症認定患者の子や孫といった次世代の方々の健康状態を把握するための調査を令和3年度から実施しているところです。
〇繰り返しとなりますが、カネミ油症の診断基準については、これまでも、研究班において、PCB 等の毒性に関する科学的知見や、患者の検診結果等の最新の科学的知見を反映した見直しが行われており、これからも同様です。
〇なお、当時の辻学先生のご発言については、会見全体の中で、どのような文脈での発言であるか不明であり、見解を述べることは困難です。また、当時の健康・生活衛生局の総務課長補佐については、辻先生の発言内容が不明な中で、一般論を述べたものです。
※このくだりは映画「母と子の絆~カネミ油症の真実」内に収録されているので、ご確認いただきたい。