●「カネミ油症」編集通信⑬(8月4日)
●「カネミ油症」編集通信⑫(8月1日)
●「カネミ油症」編集通信⑪(7月31日)
●「カネミ油症」編集通信⑩(7月23日)
●「カネミ油症」編集通信⑨(7月20日)
●「カネミ油症」編集通信⑧(7月18日)
●「カネミ油症」編集通信⑦(7月16日)
●「カネミ油症」編集通信⑥(7月14日)
~編集の“相棒”は最初の観客~
7月7日から始まった博多での編集も、五島取材をはさんで第6日目の朝を迎えた。
今日からいよいよ「ペタペタ」が始まる。
「ペタペタ」とは、編集の項目を書いた紙を白板などの並べ、編集の流れを作って
行くプロセスで、これから際限もなく、貼ったり、外したり、入れ替えしたりしながら、
構成を形作って行くことになる。
そしてすでに編集担当者とは、編集を進めるうえでの”用語“や”進行“について、
すり合わせが済み、彼には「最初の観客」として、感想や意見を聞きながら進めて
行くことになる。
「母と子の絆・・」というタイトル(一年前に決めているのだが・・)の意味は、
カネミ油症被害者で、母親でもある5人の女性たちの生活と証言から感じ取って
もらっている。 今日から17日までの4日間で、ほぼ3時間まで絞って行きたい。
映画監督 稲塚秀孝
●「カネミ油症」編集通信⑤(7月12日)
~臨機応変の日々~
昨日朝、フェリー「太古」で五島市福江に到着。
あいにくの雨。しかも断続的に降り注ぐ。
カネミ油症被害者玉之浦分会、会長代理の山下さんに
お話を聞く。山下さんは先日、九州大学油症対策会議内で
「へその緒検査」を!と質問された。
山下さんの考えをじっくり聞いたのち、玉之浦支所で行われた
カネミ油症被害者の一斉検診会場へ。
今回は40名ほどの方々が」受診。いわゆる認定、未認定の
方々が混在している。長崎県庁生活衛生課の担当者に話を聞く。
井持浦教会や玉之浦の港の実景を撮影後、五島中央病院に向かい、
入院加療中の岩村定子さんへ、お手紙を届ける。面会可能なのは、
ご主人とお二人のお子さんのみ。
奈留島のドローン撮影について、技術会社と相談。これから天候具合を
見ての撮影。初対面だが、そこは率直に相談することができました。
映像が月内に無事届くことを期待したいと思う。
15時台のフェリーで奈留へ。雨はさらにひどい状態となる。
今回の実景撮影は諦めざるを得ない。編集の日程は決まっているので、
見極めをする、臨機応変の判断、決断が欠かせない。
先日撮影に協力いただいた、地元の写真店の方に、相談のメールを送る。
今朝、雨は上がり、曇り空。予報では昼頃から雨らしい。
予定を早めて、昼のフェリーで長崎経由、高速バスで博多に向かう。
明日からの編集再開に備えたいと思います。
映画監督 稲塚秀孝
●「カネミ油症」編集通信④(7月10日)
~発見が何より~
2年前から何度も通ってきた五島市奈留の岩村定子さんは、今闘病を
重ねている。編集の画面で、一昨日からインタビューを見直すと、
頬がこけ、顔色もよくない。ここ10カ月で10㌔もやせたという。
元気を取り戻して欲しい。
今日は15時に編集室を出て、JRで篠栗(ささぐり)駅に下車。
田中あつ子さんにお会いし、インタビューを行う。
かつて明治炭鉱の炭住跡に住んでおられる。ご主人を亡くし、子供たちは
独立して、一人住まい。お部屋はきれいに整頓されている。
中学生の時、カネミ油を口にし、入退院を繰り返したと聞く。
5人兄弟の4番目で、一人だけ女性だったので、毎日のように炊事をしたのだと
いう。父は炭鉱、7人家族の食事は大皿に盛り、皆食べ盛りだから油を使う料理が
中心という。
体中から、しぼりだすように「脂分」が出てくる。悪臭もひどい、おそらく
学校でいじめられたのだろうが、男勝りの迫力で、問題にしなかったらしい。
お子さん、お孫さん、曾孫さんを含めると20人、という。
「すべての子どもを守りたい」
それが母親の切なる思いだ、と私も思う。
そして博多に戻り、23時45分発、五島行きのフェリー「太古丸」に乗船した。
ほぼ3週間前も乗ったが、WI-FIが航海中もほぼ通じるのがありがたい。
福江着は明日朝、8時15分。
今日の編集で、いくつかの”発見“があった。
編集担当の伊野さんの前で、思わず手を叩き、びっくりさせてしまった。
こうした”発見”の積み重ねが、「編集の楽しみ」でもある。
「カネミ油症」映画の航海(公開)は、思いがけない展開を辿るかもしれない。
映画監督 稲塚秀孝
●「カネミ油症」編集通信③(7月10日)
~編集は生き物・日々変化する~
7月7日から博多に編集拠点をおきました。博多駅からバスで30分、三宅本町下車で徒歩3分。映像製作会社の一角で、始まりました。
今日は4日目。約3年間の撮影素材を見直し、まずブロック編集から。毎日9時から19時をめどに行います。合間に奈留島のドローン映像や過去の映像の検索・交渉、追加取材の段取り、ナレーターの手配など、やることは山積しています。時間に追われて、見落としがないか?気にかかります。
今晩遅く「太古丸」というフェリーで五島列島に向かいます。明日五島市玉之浦、明後日は五島市奈留で「カネミ油症被害者」の一斉検診(年1回)が行われますので、取材とインタビュー。天候は今一つですが、実景も撮影したいと思います。船中と奈留の「宮の森キャンプ場」のバンガローの2泊となります。12日から編集再開です。
映画監督 稲塚秀孝
●「カネミ油症」編集通信②(7月8日)
朝日新聞 福岡本部 御中
お世話になっております。
映画「母と子の絆~カネミ油症の真実」の編集に昨日7月7日から博多市内で始めました。今回編集拠点を博多に置いたのは、追加取材を適宜行うためでもあります。7月10日~12日は、福岡市内、五島市玉之浦、奈留の一斉健診などの取材を行い、8月10日頃までに、完成させたいと考えています。関係者向け試写会は、9月半ば、全国公開は10月12日から順次行う予定ですので、改めてご案内申し上げます。
一方「へその緒プロジェクト」については、岩村定子さんの3人のお子さん(故 長男満広さん、次男、長女さん)のへその緒を関西・四国の検査会社2社(共同で取り組み)に託しました。検査結果(9月初めと想定)が出次第、また途中経過を随時お伝えしてまいります。引き続きよろしくお願いいたします。
タキオンジャパン 稲塚秀孝090-3433-6644
●「カネミ油症」編集通信①(7月7日)
今日(7月7日)から「母と子の絆~カネミ油症の真実」の編集が始まります。しかし、まだ撮影取材を続けたいと思っています。そこで今回は編集拠点を福岡県博多におくことにしました。博多にある映像技術会社の一角で行います。
ドキュメンタリー映画の編集は、あらかじめ立てた構成案を基にしながら、映像を確認しながら、どんどん変化を重ねて行くものです。ですから編集が始まる直前では、ワクワク感がいっぱいです。最終的な映画の完成見込みは8月10日頃。どんな展開となるのか?大きな楽しみでもあります。
とことん悩みながら、どのように映画ができるのか?皆さんにお伝えしてゆきたいと思います。ほぼ毎日、編集通信を発信、更新して参ります。どうぞよろしくお願いいたします。 映画監督 稲塚秀孝